当サイトでは、看護学生や新人看護師のために、NANDA-Iの看護診断に基づく看護計画&看護記録の記載例・書き方を多数ご紹介しています。
今回は、NANDA-I領域4の看護診断「睡眠パターン混乱」の患者の観察ポイントを解説してまいります。
感染リスク状態は、看護診断の中でも使用頻度が高く、しっかりと抑えておくべき診断の一つです。
記事の最後には、看護計画と看護記録(SOAP)の記載例を公開しており、すべてコピペ可です。
あくまでも一例であり、所属している病院や法人によって、書き方やルールは異なる場合も考えられますので、各自カスタマイズしてご活用ください。
睡眠パターン混乱(NANDA-I領域4)とは
睡眠パターン混乱とは、通常の睡眠サイクルが乱れ、睡眠の質や量が十分でなくなる状態を指します。
この状態では、眠りにつくまでの時間が長い、眠りが浅い、夜間に何度も目が覚める、早朝に目が覚めてしまうなどの症状が現れます。
睡眠の乱れは身体的・精神的な健康に悪影響を及ぼし、日常生活に支障をきたすことがあります。
睡眠パターン混乱(NANDA-I領域4)の原因
睡眠パターン混乱(NANDA-I領域4)を引き起こす主な原因は以下の通りです。
身体的要因
- 疼痛や不快感(例:関節痛、呼吸困難)
- 尿意や頻尿による中断(例:前立腺肥大、妊娠)
- 疾患(例:睡眠時無呼吸症候群、不眠症)
心理的要因
- ストレスや不安、抑うつ
- トラウマや緊張感
環境的要因
- 病室の騒音や明るさ
- シフト勤務や時差ぼけ
生活習慣の影響
- 過度のカフェイン摂取やアルコールの使用
- 不規則な睡眠スケジュールや昼寝のしすぎ
薬剤の影響
- ステロイド、利尿薬、抗うつ薬などの副作用
睡眠パターン混乱(NANDA-I領域4)の評価方法
睡眠パターン混乱(NANDA-I領域4)を評価するには、患者の睡眠に関する情報を収集し、観察と測定を行います。
身体的評価
- 疲労感や眠気の有無
- 目の下のクマ、顔色、表情などの観察
睡眠の主観的評価
- 「なかなか眠れない」「夜中に何度も目が覚める」など、患者の訴えを聴取
- 睡眠日誌の記録(睡眠時間、寝つきまでの時間、覚醒回数など)
環境の確認
- 病室や家庭の環境(騒音、明るさ、温度)を評価
関連疾患や薬剤の影響
- 基礎疾患や服用薬の確認
- 睡眠に影響する疾患(例:不安障害、うつ病)を評価
睡眠スケールの活用
- ピッツバーグ睡眠品質指数(PSQI)やエプワース眠気尺度を使用して、睡眠の質や日中の眠気を評価
睡眠パターン混乱(NANDA-I領域4)の治療方法
睡眠パターン混乱(NANDA-I領域4)の治療は、原因に応じた介入を行い、患者の睡眠環境や習慣を整えることを目的とします。
環境の整備
- 寝室を静かで暗く、快適な温度に保つ
- 適切な寝具を選び、寝心地を改善する
睡眠衛生の指導
- 規則正しい睡眠スケジュールの確立
- 就寝前のカフェインやアルコール摂取を控える
- スマートフォンやテレビなどの電子機器を就寝前に使用しない
リラクゼーション法
- 深呼吸や瞑想、軽いストレッチを行う
- アロマセラピーや温かい飲み物(カフェインレス)を活用する
薬物療法
- 必要に応じて、睡眠薬や抗不安薬を使用(例:ゾルピデム、ロラゼパム)
- 痛みや不快感が原因の場合は鎮痛薬を使用する
心理的介入
- ストレスや不安が原因の場合はカウンセリングや認知行動療法(CBT-I)を実施
生活習慣の改善
- 日中の適度な運動を推奨
- 規則正しい食事を取り、体内時計を整える
睡眠パターン混乱(NANDA-I領域4)の患者をケアする上で気をつけること
睡眠パターン混乱(NANDA-I領域4)の患者をケアする際には、以下の点に注意する必要があります。
患者の訴えに寄り添う
睡眠障害の悩みに耳を傾け、共感的に対応する。
環境の調整を優先する
病室や家庭の環境を見直し、睡眠を妨げる要因を除去する。
患者の負担を軽減する
睡眠スケジュールの変更や新しい習慣の導入は無理のない範囲で進める。
安全に配慮する
夜間の転倒リスクを防ぐため、適切な照明を確保する。
継続的なフォローアップ
睡眠の状態を定期的に評価し、必要に応じて介入を見直す。
睡眠パターン混乱(NANDA-I領域4)の看護計画を立案する上でのポイント
睡眠パターン混乱(NANDA-I領域4)の看護計画(観察計画、援助計画、行動計画)は、以下のポイントに注意をして立案すると良いでしょう。
観察計画(O-P)の立案ポイント
患者の睡眠時間や質、日中の眠気の程度を観察します。
また、環境要因やストレスの有無を確認します。
援助計画(T-P)の立案ポイント
睡眠を促進するための環境調整やリラクゼーション技術を提案し、患者の安心感を高めるケアを行います。
教育計画(E-P)の立案ポイント
睡眠衛生の基本や生活習慣の改善方法を指導し、患者が実践しやすい方法を提案します。
睡眠パターン混乱(NANDA-I領域4)の看護計画の記載例・書き方
看護診断 | #1 睡眠パターン混乱 |
患者目標 | 長期目標:適切な睡眠パターンを確立し、日常生活でのパフォーマンスが向上する。 短期目標:1週間以内に、6~8時間の連続した睡眠が取れる。 |
観察計画(O-P) | 睡眠時間と覚醒回数を記録する。 患者の主観的な睡眠の質を確認する。 睡眠に影響を与える環境要因(騒音、明るさ)を観察する。 日中の眠気や疲労感の程度を記録する。 睡眠薬の使用状況と効果、副作用を確認する。 就寝前の習慣や生活リズムを聴取する。 睡眠障害に関連する身体的要因(疼痛、不快感)を評価する。 |
援助計画(T-P) | 静かで快適な環境を提供するため、カーテンや耳栓を使用する。 就寝前に温かい飲み物(ノンカフェイン)を提供する。 深呼吸やリラクゼーション法を指導し、実践を支援する。 就寝前の電子機器使用を控えるよう促す。 必要に応じて医師に相談し、睡眠薬を処方する。 痛みや不快感がある場合は、適切な体位や枕を調整する。 昼寝の時間を短縮し、夜間の睡眠に影響を与えないよう助言する。 日中の適度な運動を推奨する。 患者が不安やストレスを感じた場合、傾聴し心理的サポートを行う。 定期的に睡眠状況を評価し、計画を見直す。 |
教育計画(E-P) | 規則正しい睡眠スケジュールの重要性を説明する。 睡眠を妨げる要因(カフェイン、アルコール)の回避方法を指導する。 日中の活動と夜間の睡眠の関連性を教える。 ストレス管理の方法(深呼吸、瞑想)を提案する。 睡眠に適した環境作り(室温、明るさ)のポイントを説明する。 睡眠日誌の記録方法を教え、睡眠パターンの把握を支援する。 必要に応じて、専門医や睡眠外来への相談を勧める。 生活習慣の改善が睡眠に与える効果を具体的に説明する。 家族に患者の睡眠を妨げないよう協力を依頼する。 睡眠改善の進捗をモニタリングし、適宜フィードバックを行う。 |
看護計画作成におけるルールは、コチラの記事(【完全保存版】看護計画の作成ルールと記載例まとめ【NANDA- I】)を参考にしてください!
【完全保存版】看護計画の作成ルールと記載例まとめ【NANDA- I】
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睡眠パターン混乱(NANDA-I領域4)の看護記録(SOAP)の記載例・書き方
看護診断 (看護問題) | 睡眠パターン混乱 |
S(主観的情報) | 「夜中に何度も目が覚めて、熟睡できません。」 「朝起きると疲れが取れていません。」 |
O(客観的情報) | 睡眠時間:4~5時間。 夜間の覚醒回数:3回。 日中の強い眠気を訴える。 |
A(評価) | 睡眠パターン混乱により、患者が十分な休息を取れていない状態。環境調整と睡眠衛生の改善が必要。 |
P(計画) | 静かで暗い環境を提供し、睡眠を妨げる要因を排除する。 就寝前にリラクゼーション法(深呼吸、瞑想)を指導する。 温かい飲み物を提供し、リラックスを促進する。 睡眠日誌を患者と一緒に記録し、原因を特定する。 昼間の活動量を増やすことで夜間の睡眠を促す。 必要に応じて医師に睡眠薬の処方を依頼する。 規則正しい睡眠スケジュールの重要性を説明する。 環境要因(騒音、室温)を見直し、適切に調整する。 睡眠状態を定期的に再評価し、計画を調整する。 患者が睡眠改善に対して安心感を持てるよう、ポジティブなフィードバックを行う。 |
看護記録(SOAP)作成におけるルールは、コチラの記事看護記録(【完全保存版】「SOAP」の書き方と記載例まとめ【NANDA-Iの看護診断対応)を参考にしてください!
【完全保存版】看護記録「SOAP」の書き方と記載例まとめ【NANDA-Iの看護診断対応】
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NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)&看護計画の記載例まとめ
当サイトでは、今回ご紹介した領域の他にも、NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)&看護計画の記載例を多数まとめています。
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看護記録(SOAP)の記載例
看護計画の記載例
引用・参考文献
T. ヘザー・ハードマン 編,上鶴 重美 訳:NANDA-I看護診断 定義と分類 2020-2023.医学書院.