看護記録 NANDA-Iに基づく記載例 領域7

【NANDA-I看護診断】領域7「役割関係」の看護記録(SOAP)の記載例まとめ【コピペ可】

この記事では、NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)の記載例を公開しています。

今回は領域7「役割関係」です。

看護記録の書き方が分からない…と悩んでいる看護実習生、新人の方々はぜひ参考にしてみてください!

トコル
トコル

看護記録(SOAP)の書き方に関しては、コチラの記事(【完全保存版】看護記録「SOAP」の書き方と記載例まとめ【NANDA-Iの看護診断対応】)を参考にしてください!

【完全保存版】看護記録「SOAP」の書き方と記載例まとめ【NANDA-Iの看護診断対応】

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新人看護師
新人看護師

他の領域の記載例を知りたい!という人は、この記事最後にまとめているので見てみてね!

*ご紹介しているのはあくまでも記載例ですので、実際は担当する患者にあわせて修正してご使用ください。
*できるだけ多くの患者に適応できるよう、あえて抽象的な内容を含めている部分がございます。こちらもご活用いただく際はご注意ください。

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【NANDA-I看護診断】領域7「役割関係」の看護計画の記載例まとめ【コピペ可】

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NANDA-I領域7「役割関係」の看護診断名一覧

NANDA-I領域7「役割関係」は、類①〜③に分けられます。

それぞれの診断名一覧は以下の通りです。

類① 介護役割
・養育行動障害
・養育行動障害リスク状態
・養育行動促進準備状態
・親役割葛藤過剰

類② 家族関係
・家族相互作用パターン混乱
・家族相互作用パターン混乱リスク状態
・家族機能障害
・家族機能促進準備状態
・愛着行動混乱リスク状態

類③ 役割遂行
・役割遂行不良
・親密パートナー関係不良
・親密パートナー関係不良リスク状態
・親密パートナー関係促進準備状態
・社会的相互作用障害
・出産育児行動不良
・出産育児行動不良リスク状態
・出産育児行動促進準備状態

類①-養育行動障害(旧:ペアレンティング障害)

コード:00436

定義
主たるケア提供者が、一貫した共感的な権限の行使と子どものニーズに応じた適切な行動で、子どもに最適な成長と発達を育み、守り、促す能力に限界がある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
養育行動障害(旧:ペアレンティング障害)
S(主観的情報)「子どもにどう接していいのか分からなくなることがある。」「育児が思うようにいかず、いつもイライラしてしまう。」
O(客観的情報)子どもとのコミュニケーションが不十分で、叱責や無関心な対応が見られる。
育児に対する負担感を訴える頻度が高く、家事や仕事との両立に苦労している様子がある。
育児に関する知識やスキルが不足しており、適切な育児方法についての情報が不足している。
ストレスの影響で、育児への積極性が低下し、疲労や精神的な不安定さが観察される。
A(評価)育児に対するストレスや知識不足、生活環境の影響により、親としての役割遂行に困難を感じているペアレンティング障害の状態にある。親子関係の改善と育児スキル向上を支援する介入が必要である。
P(計画)育児に対する不安やストレスを軽減するため、信頼できる相談窓口(例:地域の育児支援センター)を紹介する。
育児に必要な基本的な知識やスキルについての情報を提供し、具体的な方法(例:子どもとのコミュニケーションの取り方、しつけのコツ)を指導する。
日常生活の中で育児と自分自身のリフレッシュ時間をバランスよく取るためのタイムマネジメント方法を提案する。
必要に応じて、家族や地域のサポート体制(例:一時預かりサービス、家族の協力)を活用し、育児負担を軽減する環境を整える。
親子関係を深める活動(例:一緒に遊ぶ時間や共通の趣味を見つける)を提案し、ポジティブな関わりを増やす。
心理的な負担が大きい場合には、カウンセリングや精神科医のサポートを提案し、心身の健康を守るケアを行う。

類①-養育行動障害リスク状態

コード:00437

定義
主たるケア提供者が、一貫した共感的な権限の行使と子どものニーズに応じた適切な行動で、子どもに最適な成長と発達を育み、守り、促す能力に限界が起きやすい状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
養育行動障害リスク状態
S(主観的情報)「子どもにどう接するべきか迷うことが多い。」「育児が思ったより大変で、自分がうまくやれるか不安になる。」
O(客観的情報)育児に対する不安や自信のなさが観察され、ストレスを感じやすい状況にある。
生活環境に育児負担を増大させる要因(例:仕事との両立、経済的な問題、家族の支援不足)が存在する。
育児に必要な知識やスキルの不足が見られ、適切な対応が難しい場面がある。
子どもとの関わりが限られ、親子関係の構築が十分でない可能性がある。
A(評価)育児に対する不安や支援不足、生活環境の影響により、ペアレンティング障害のリスクが高い状態にある。早期のサポートと環境調整を通じて、育児負担を軽減し、親としての自信を高める支援が必要である。
P(計画)育児に対する不安や疑問について話せる相談窓口(例:地域の育児支援センター、子育てホットライン)を紹介する。
育児に役立つ基本的な知識やスキルについて情報提供を行い、具体的な対応方法(例:泣いたときの対応、子どもとの遊び方)を指導する。
育児と自分自身の休息時間を両立させるため、タイムマネジメント方法やリラクゼーションの取り方を提案する。
家族や地域の支援(例:祖父母の協力、一時保育サービス)を活用し、育児負担を分散できる環境を整える。
親子関係を深めるため、子どもとのポジティブな関わりを増やす活動(例:一緒に遊ぶ、読み聞かせ)を提案する。
心理的負担が強い場合には、心理カウンセリングを提案し、不安感やストレスへの対処スキルを学べるよう支援する。

類①-養育行動促進準備状態

コード:00438

定義
主たるケア提供者が、一貫した共感的な権限の行使と子どものニーズに応じた適切な行動で、子どもに最適な成長と発達を育み、守り、促すパターンが強化可能な状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
養育行動促進準備状態
S(主観的情報)「子どもともっと良い関係を築きたいと思っている。」「育児について学んで、自分にできることを増やしたい。」
O(客観的情報)子どもとの関わりに前向きな姿勢が見られ、育児に対する意欲が高まっている。
子どもの成長や行動に対する関心が強く、育児についての質問や相談が増えている。
日常生活の中で、子どもとの時間を大切にする様子が観察される。
育児に関する情報を自ら調べたり、他者に聞いたりする行動が見られる。
A(評価)育児に対する意欲が高まり、知識やスキルを習得してペアレンティングを向上させる準備が整っている状態である。適切なサポートを行うことで、さらに良好な親子関係が築ける可能性が高い。
P(計画)育児に関する情報を分かりやすく提供し、具体的なスキル(例:子どもとのコミュニケーション方法、遊びの取り入れ方)を指導する。
子どもの成長や発達を理解するための講座やワークショップへの参加を提案する。
ポジティブな子育て方法(例:褒めるタイミングやルール設定)について話し合い、取り入れる方法を一緒に考える。
地域の育児支援グループや子育てコミュニティに参加する機会を提供し、他の親との交流を促す。
子どもとのポジティブな経験を記録し、成長や成功体験を振り返ることで、育児のやりがいや喜びを再確認できるよう支援する。
家族やパートナーと連携し、育児における役割分担やサポート体制を見直して、負担を減らす環境を整える。

類①-親役割葛藤過剰

コード:00387

定義
主たるケア提供者が、子どものニーズを満たすために、一貫性のない、競合する、矛盾する期待や責任を経験している状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
親役割葛藤
S(主観的情報)「子どもにどう接するのが正解なのか分からなくなることがある。」「仕事と育児のバランスが取れなくて、どちらも中途半端に感じる。」
O(客観的情報)育児や家庭での親としての役割に対する自信のなさが見られる。
仕事や家庭内の他の役割との両立が難しく、ストレスや疲労を訴える場面が増加している。
子どもとの接し方に迷いがあり、関わり方が一貫しない様子が見られる。
親としての役割遂行に対する期待(自己期待または他者からの期待)が高く、プレッシャーを感じている。
A(評価)親役割に対する負担感や葛藤が強く、心理的ストレスや不安を引き起こしている状態にある。このままでは、親子関係や親自身の心理的健康が損なわれるリスクがある。
P(計画)親としての役割や期待について整理し、現実的かつ達成可能な目標を設定できるようサポートする。
育児に関する知識やスキルを向上させるため、育児講座や地域の子育て支援サービスを活用することを提案する。
仕事や家庭内での役割分担を見直し、配偶者や家族、地域の支援を取り入れることで負担を軽減する。
親子間のポジティブな関わりを増やすため、短時間でも子どもと楽しく過ごせる活動(例:遊びや読み聞かせ)を提案する。
親自身のストレスを軽減するためのリラクゼーション法(例:深呼吸、瞑想)や趣味の時間を確保することを奨励する。
心理的なサポートが必要な場合、カウンセリングを提案し、葛藤を整理しながら親役割への自信を高められるよう支援する。

類②-家族相互作用パターン混乱

コード:00389

定義
家族の組織や構造が乱れ、メンバーのウェルビーイングを支えることができない状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
家族相互作用パターン混乱
S(主観的情報)「家族で話し合うことが減って、お互いの考えが分からなくなってきた。」「家の中がバラバラな感じがして、不安になる。」
O(客観的情報)家族間の役割分担やコミュニケーションが途絶え、日常生活の調整や支援が滞っている。
家庭内のストレスや環境の変化(例:病気、離婚、転居)が確認され、家族の調和が崩れている様子が見られる。
特定の家族への依存や孤立があり、他の家族との協力が不足している。
家庭全体での意思決定が困難となり、対立や無関心が増えている。
A(評価)家庭内の役割や機能が十分に果たされず、家族機能が中断している状態にある。この状態が続くと、家族全体の心理的安定や健康が損なわれるリスクが高い。
P(計画)家庭内での問題を共有するため、家族全員が参加できる話し合いの場を設ける。
役割や責任を再確認し、それぞれの負担を軽減しつつ公平に分担する方法を検討する。
家族間の信頼と協力を促進するため、ポジティブな体験を共有できる活動(例:家族旅行、趣味の共有)を提案する。
ストレスや困難に対応するため、家族療法やカウンセリングを提案し、問題解決能力の向上を支援する。
地域の支援サービスや専門機関(例:ソーシャルワーカー、心理カウンセラー)と連携し、家庭環境の改善をサポートする。
家族が日常生活での課題を一緒に解決できるよう、定期的に進捗を確認し、必要に応じて計画を見直す。

類②-家族相互作用パターン混乱リスク状態

コード:00440

定義
家族の組織や構造が乱れ、メンバーのウェルビーイングを支えることができないおそれのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
家族相互作用パターン混乱リスク状態
S(主観的情報)「家族に迷惑をかけている気がして言い出せない」「治療や介護のことを家族と話すのが難しい」「家族も疲れているみたいで心配になる」
O(客観的情報)家族間で治療やケアの方針について意見の違いやすれ違いが見られる
家族の面会頻度が減少しており、表情や態度に疲労や戸惑いがみられる
患者と家族との会話が少なく、コミュニケーションに緊張感がある
患者本人が家族への遠慮や気兼ねを繰り返し口にしている
家族のサポート体制や役割分担が明確でなく、今後の在宅療養や支援に不安が残る
A(評価)病気や療養生活の変化により、家族間の役割・責任・感情バランスが乱れるリスクが高まっている
このままでは患者・家族双方に心理的負担が蓄積し、関係性の悪化や支援困難につながる可能性がある
P(計画)患者と家族双方の思いを傾聴し、相互理解が深まるよう面談の場を設定する
療養や治療方針に関する情報を共有し、家族間での共通認識を持てるよう支援する
必要に応じて医師・MSW・在宅支援スタッフと連携し、家族支援の体制を整える
家族の介護負担や心理的ストレスに配慮し、福祉サービスや相談機関の利用を提案する
定期的に家族との関係性や支援状況を振り返り、必要に応じて介入方法を調整する

類②-家族機能障害

コード:00388

定義
家族関係がメンバーのウェルビーイングを支えることができない状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
家族機能障害
S(主観的情報)「家族と話すのがしんどく感じることがある。」「家の中がギスギスしていて、うまくまとまらない気がする。」
O(客観的情報)家族間でのコミュニケーションが不足し、意思疎通が円滑に行われていない様子がある。
家族の中で役割や責任が不明確で、日常の問題解決が滞っている。
ストレスやトラブルが増え、家族間に緊張感や対立が見られる。
家庭内でのサポートが不十分で、特定の家族に負担が偏る状況が観察される。
A(評価)家族機能が十分に発揮されておらず、家庭内の問題解決能力やサポート体制が低下している状態である。このままでは家族全体の健康や心理的安定がさらに損なわれるリスクがある。
P(計画)家族全員が意見を共有できる話し合いの場を設け、問題点や課題を明確化する。
役割や責任を見直し、家庭内での負担を公平に分担できるよう調整する。
ストレスを軽減し、家族の一体感を高めるために、楽しい時間(例:家族での外出やイベント)を計画する。
コミュニケーションを改善するために、家族全員が参加できるワークショップやカウンセリングを提案する。
必要に応じて地域のサポート機関や専門家(例:ソーシャルワーカー、心理カウンセラー)と連携し、支援体制を整える。
家庭内でのポジティブな相互作用を促進し、家族間の信頼関係を再構築するための方法を提案する。

類②-家族機能促進準備状態

コード:00159

定義
家族関係のパターンが、メンバーのウェルビーイングを支えるために強化可能な状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
家族機能促進準備状態
S(主観的情報)「家族みんなで協力してもっと良い関係を築きたいと思う。」「家庭の中での役割分担をしっかり決めたい。」
O(客観的情報)家族が意見交換に積極的で、家庭内の課題解決に取り組む姿勢が見られる。
家庭内でのコミュニケーションが増え、互いの話を聞こうとする態度が確認される。
家族全員が家庭の目標や価値観を共有する意欲を示し、一体感を高めようとしている。
日常生活における役割や責任分担が明確化されつつあり、協力体制が整備されてきている。
A(評価)家族機能を改善し、さらに促進する準備が整いつつある状態にある。家族全体での一体感を高め、家庭内の調和と効率性を向上させるための支援が効果的である。
P(計画)家庭内での目標や価値観を明確化するため、家族全員が意見を共有できる話し合いの場を定期的に設ける。
役割や責任を公平に分担し、それぞれが家庭に貢献できるような計画を一緒に立てる。
家族間のポジティブな交流を増やすため、楽しい活動(例:家族ゲーム、外出)を提案する。
問題解決能力を向上させるため、家族で協力して小さな課題に取り組む機会を提供する。
家庭内の良好な関係を継続するため、進捗を確認しながら必要に応じて調整を行う。
家族がさらに絆を深められるよう、地域のイベントや家族支援プログラムへの参加を促す。

類②-愛着行動混乱リスク状態

コード:00439

定義
主たるケア提供者と乳児の間の、保護的で養育的な相互関係を促進する活動を育む相互作用プロセスが乱れやすい状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
愛着行動混乱リスク状態
S(主観的情報)「子どもがなかなか自分になつかない気がする。」「どう接していいか分からず、距離を感じることがある。」
O(客観的情報)親子間のスキンシップや積極的なコミュニケーションが少なく、親が戸惑いを見せる場面がある。
子どもの感情表現(泣く、笑う)に対する親の反応が一貫せず、適切な応答ができていない。
親自身が育児に対する不安を抱えており、子どもとの関わりを避ける傾向がある。
親子の接触時間が少ない(例:長時間の分離、親のストレスや疲労の影響)ことで、愛着形成が十分に進まないリスクがある。
A(評価)親と子どもの間で愛着形成が進むプロセスに課題があり、愛着障害が発生するリスクが高い状態である。適切な介入を通じて、親子関係の構築を支援する必要がある。
P(計画)親が子どもの感情やニーズを理解するための教育やワークショップ(例:子どもの行動のサインを読み取る方法)を提案する。
親子のスキンシップ(例:抱っこ、遊び)を増やし、ポジティブな体験を共有する時間を確保するよう支援する。
親の育児不安を軽減するため、育児に関する相談窓口やサポートグループを紹介し、孤立感を緩和する。
育児を一人で抱え込まず、家族や地域の支援(例:家族の協力、一時保育サービス)を活用する環境を整える。
愛着形成を促すため、親子で行う読み聞かせや歌遊びなどの活動を提案し、親子の交流を深める機会を提供する。
心理的な支援が必要な場合には、心理カウンセリングを提案し、親が自分の感情や不安を整理しながら育児に取り組めるよう支援する。

類③-役割遂行不良

コード:00055

定義
行動と自己表現のパターンが、周囲の状況、規範、期待に合わない状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
役割遂行不良
S(主観的情報)「仕事と家庭の両立が難しくて、どちらも中途半端になっている気がする。」「周りの期待に応えられていないと感じることが多い。」
O(客観的情報)家庭内や職場での役割が曖昧で、期待される行動が果たせていない場面が見られる。
ストレスや疲労のため、日常生活における役割遂行が不十分。
役割を果たす際の困難さから自己評価が低下し、無力感や落ち込みが観察される。
サポート体制が不足しており、役割負担が過剰になっている。
A(評価)役割遂行に困難を感じており、ストレスやサポート不足により非効果的役割遂行の状態にある。このままでは自己評価の低下や役割混乱が進むリスクがある。
P(計画)家庭や職場での役割を明確化し、優先順位を整理して負担を軽減する計画を立てる。
サポートを得るため、家族や職場のメンバーと話し合い、役割の分担や調整を提案する。
日常生活での役割遂行を助けるため、具体的なスキル(例:タイムマネジメント、ストレス管理)を指導する。
心理的ストレスを軽減するため、カウンセリングやリラクゼーション法(例:深呼吸、ヨガ)を取り入れる。
小さな成功体験を重ねられるよう、現実的で達成可能な短期目標を設定し、自己効力感を高める。
地域や専門機関のサポート(例:家事代行サービス、職場の相談窓口)を活用し、負担を分散する方法を支援する。

類③-親密パートナー関係不良

コード:00449

定義
パートナーの一方または両方の健康状態の経過・予後・治療に影響する相互関係パターンが不十分な状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
親密パートナー関係不良
S(主観的情報)「最近、パートナーと話しても意見が合わず、うまくいかないことが多い。」「一緒にいるのに孤独を感じることがある。」
O(客観的情報)コミュニケーションが減少し、意見の食い違いや衝突が頻繁に起きている。
相手への配慮や思いやりが不足し、相互理解が進んでいない様子が見られる。
問題解決や意思決定の際に協力が見られず、それぞれが独立した行動を取っている。
家庭や日常生活における役割分担が不明確で、不満が蓄積している。
A(評価)パートナーシップが十分に機能しておらず、コミュニケーションの不足や相互協力の欠如が確認される。これにより、関係性の悪化や心理的ストレスが増加している状態にある。
P(計画)パートナー間で定期的に話し合う時間を設け、相互の意見や感情を共有できる場を提供する。
お互いの価値観や役割を尊重しながら、家庭内や日常生活での役割分担を明確化する。
ストレスの原因や解決策を一緒に考え、協力して問題に取り組む姿勢を育む。
関係性を改善するためのカップルカウンセリングやワークショップを提案する。
ポジティブな体験を共有する活動(例:一緒に趣味を楽しむ、旅行に出かける)を計画し、信頼関係を強化する。
日常的な感謝の言葉や行動を奨励し、互いへの肯定的な関わりを増やす。

類③-親密パートナー関係不良リスク状態

コード:00445

定義
パートナーの一方または両方の健康状態の経過・予後・治療に影響する相互関係パターンが不十分なになりやすい状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
親密パートナー関係不良リスク状態
S(主観的情報)「最近、パートナーとの会話が少なくなっている気がする。」「忙しくて、一緒に過ごす時間が減っている。」
O(客観的情報)パートナー間でのコミュニケーション頻度が低下し、意思疎通が不十分。
お互いのスケジュールが合わず、共有する時間が不足している。
家庭内や日常生活での役割分担が不明確で、不満や摩擦が生じやすい状況にある。
ストレスや環境の変化(例:仕事、育児、健康問題)がパートナーシップに影響を与えている。
A(評価)ストレスや環境要因により、パートナー間のコミュニケーションや協力が不足し、非効果的なパートナーシップが生じるリスクが高い状態にある。早期の支援が必要である。
P(計画)パートナー間で話し合いの機会を作り、お互いの感情やニーズを共有する時間を設ける。
家庭内や日常生活における役割分担を明確化し、公平な分担を図ることで負担を軽減する。
一緒に過ごす時間を確保するため、スケジュール調整や計画(例:定期的なデート、食事の時間の共有)を提案する。
お互いのストレスや不安を軽減するため、リラクゼーションやストレス管理の方法を学び、一緒に実践する。
カップル向けのコミュニケーションスキル向上プログラムやカウンセリングの利用を提案し、問題解決能力を高める。
ポジティブな体験や思い出を増やすための活動(例:趣味やイベントへの参加)を奨励し、パートナーシップを強化する。

類③-親密パートナー関係促進準備状態

コード:00446

定義
パートナーの一方または両方の健康状態の経過・予後・治療をサポートする相互関係パターンが強化可能な状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
親密パートナー関係促進準備状態
S(主観的情報)「もっとお互いの気持ちを理解し合える関係になりたい。」「一緒にいる時間を大切にして、関係を良くしていきたいと思う。」
O(客観的情報)パートナー間で前向きなコミュニケーションが増え、互いの意見や気持ちを共有する姿勢が見られる。
日常生活や家庭内で協力的な態度が観察され、お互いを尊重する行動が増えている。
パートナー間で活動を計画するなど、一緒に時間を過ごす意欲が高まっている。
問題解決や目標達成に向けた協力姿勢が確認されている。
A(評価)パートナーシップを改善・強化しようとする意欲が高まり、互いの絆を深める準備が整っている状態である。適切な支援により、さらに良好な関係を築くことが期待される。
P(計画)パートナー間のコミュニケーションを促進するため、定期的に話し合う機会(例:ウィークリーのチェックインタイム)を設ける。
お互いの価値観やニーズを共有し、それを尊重した目標(例:家計管理、生活の改善)を一緒に設定する。
一緒に楽しめる活動(例:趣味や旅行、共同のプロジェクト)を計画し、ポジティブな経験を増やす。
コミュニケーションスキルを向上させるワークショップやカウンセリングの活用を提案し、問題解決能力を強化する。
日常的に感謝の気持ちや励ましを言葉や行動で表現することを奨励し、互いへの肯定的な関わりを深める。
進捗を振り返りながら、必要に応じて計画を柔軟に見直し、さらに良い関係を築けるよう支援する。

類③-社会的相互作用障害

コード:00052

定義
社会的交換が量的に不足か過剰、あるいは質的に不十分な状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
社会的相互作用障害
S(主観的情報)「人と話すと緊張して、うまく言葉が出てこない。」「他の人とうまく関われていない気がして、不安になる。」
O(客観的情報)他者とのコミュニケーションがぎこちなく、会話が一方的または途切れることが多い。
社会的な場面での行動が消極的で、孤立する傾向が見られる。
視線を合わせる、適切なタイミングで反応するなどの非言語的コミュニケーションが不足している。
社会的ルールや期待される行動が十分に理解できていない様子が観察される。
A(評価)他者との関わり方や社会的スキルに困難があり、社会的相互作用障害の状態が見られる。このため、人間関係や日常生活に支障をきたし、心理的な負担が増大している。
P(計画)コミュニケーションスキルを向上させるため、具体的な練習(例:挨拶や自己紹介の方法、会話のタイミングをつかむ練習)を段階的に行う。
社会的状況に慣れるため、少人数での交流や支援的な環境での参加を提案する。
非言語的コミュニケーション(例:表情、視線、身振り)について具体的な例を示しながら指導する。
心理カウンセリングやソーシャルスキルトレーニング(SST)を取り入れ、対人スキルの向上を支援する。
安心して交流できる場(例:趣味のサークル、支援グループ)を紹介し、ポジティブな経験を増やす。
家族や支援者に、本人の特性を理解し、焦らず見守る姿勢を持つよう指導する。

類③-出産育児行動不良

コード:00221

定義
ウェルビーイングを確保するための健康的な妊娠・出産・新生児ケアを準備や維持することが困難な状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
出産育児行動不良
S(主観的情報)「赤ちゃんの世話が思うようにいかなくて不安。」「どう対応すればいいのか分からず、手探りの状態。」
O(客観的情報)育児行動に対する自信のなさが見られ、ケアが一貫性を欠く場面がある。
赤ちゃんの泣き声や睡眠パターンに適切に対応できず、不安や戸惑いを感じている様子。
育児に必要な知識やスキルが不足しており、適切なサポートが得られていない。
母親または父親がストレスや疲労を訴えることが多く、心理的・身体的負担が増加している。
A(評価)育児に対する不安や知識不足、サポートの欠如により、非効果的な出産育児行動が見られる。これにより、親子関係や育児の質に悪影響が生じるリスクがある。
P(計画)出産後の母親または父親の育児スキル向上を支援するため、具体的なケア方法(例:授乳、抱っこ、寝かしつけ)の実演や指導を行う。
地域の子育て支援センターや育児相談窓口を紹介し、専門家からのアドバイスを受けられる環境を整える。
家族や地域の支援体制を活用し、育児負担を軽減するためのサポートを提供する(例:一時保育、家事代行)。
親が育児の中で成功体験を得られるよう、小さな目標(例:1日のスケジュール作り)を設定し、達成を支援する。
ストレス管理のため、リラクゼーション法(例:深呼吸、短時間の休憩)を教え、親の心身の健康を守る。
必要に応じて、心理カウンセリングや母親教室・父親教室への参加を促し、安心感と育児スキルの向上を図る。

類③-出産育児行動不良リスク状態

コード:00227

定義
ウェルビーイングを確保するための健康的な妊娠・出産・新生児ケアを準備や維持することが困難になりやすい状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
出産育児行動不良リスク状態
S(主観的情報)「初めての育児で自信がなく、何をどうすればいいのか分からない。」「赤ちゃんが泣くたびにどうしていいか分からず、不安になる。」
O(客観的情報)育児に必要な知識や経験が不足しており、赤ちゃんの行動やサインに戸惑いが見られる。
母親または父親が疲労やストレスを訴えることが増え、心身の負担が蓄積している。
家族や地域の支援が不足しており、育児を一人で抱え込みがちな状況。
適切な育児スキルを身につける機会が少なく、不安感が高まっている様子が確認される。
A(評価)育児に対する知識やスキルの不足、サポート体制の欠如、心理的な不安などにより、非効果的な出産育児行動を取るリスクが高い状態にある。このリスクが続くと、親子関係や育児の質に悪影響を及ぼす可能性がある。
P(計画)育児に関する基礎的な知識やスキル(例:授乳、抱っこ、オムツ替え)を学ぶ機会を提供するため、育児講座や母親・父親教室への参加を勧める。
赤ちゃんの行動やサイン(例:泣く理由、眠いときの仕草)についての情報を提供し、育児への理解を深める。
家族や地域の支援を活用する方法(例:祖父母や一時保育の利用、地域の子育て支援サービス)を提案し、育児負担を軽減する。
親が自分自身のケアを大切にできるよう、短時間の休息やリラクゼーションの時間を確保する方法を指導する。
育児の成功体験を積み重ねられるよう、小さな目標を設定し、達成を本人と一緒に確認する。
ストレスや不安が強い場合は、心理カウンセリングを提案し、安心感を持って育児に取り組めるよう支援する。

類③-出産育児行動促進準備状態

コード:00208

定義
ウェルビーイングを確保するための健康的な妊娠・出産・新生児ケアを準備や維持するパターンが強化可能な状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
出産育児行動促進準備状態
S(主観的情報)「赤ちゃんのことをもっと理解して、しっかりお世話をしていきたい。」「育児を楽しめるようになりたいと思っている。」
O(客観的情報)赤ちゃんとの関わりに積極的な姿勢が見られ、育児に対する意欲が高まっている。
赤ちゃんの行動やサインに興味を示し、理解を深めようとする姿勢が確認される。
育児についての質問や相談が増え、学びたい意欲がある。
家族や地域のサポートを受け入れる姿勢が見られ、協力的な関係を築こうとしている。
A(評価)育児に前向きに取り組む準備が整っており、知識やスキルを向上させることで、さらに効果的な出産育児行動を実践できる可能性がある状態である。
P(計画)育児に必要なスキルや知識を学ぶため、育児講座や地域の母親・父親教室に参加することを提案する。
赤ちゃんの行動やサインを観察し、適切に対応するための具体的な方法(例:授乳、寝かしつけ、泣き止ませ)を実演しながら指導する。
育児に関する成功体験を増やすため、短期的な目標を設定し、その達成を積極的に評価する。
家族や地域のサポートを活用するため、利用可能な支援サービス(例:一時保育、訪問支援)の情報を提供する。
親自身のリラクゼーションやリフレッシュの時間を確保する方法を提案し、育児への意欲を保てるよう支援する。
育児中の不安や疑問を解消できるよう、定期的に相談の場を設け、進捗や状況に応じたサポートを提供する。

NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)&看護計画の記載例まとめ

当サイトでは、今回ご紹介した領域の他にも、NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)&看護計画の記載例を多数まとめています。

ぜひ、日々の業務のご活用ください!

看護記録(SOAP)の記載例

領域1領域2領域3
領域4領域5領域6
領域7領域8領域9
領域10領域11領域12
領域13

看護計画の記載例

領域1領域2領域3
領域4領域5領域6
領域7領域8領域9
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引用・参考文献
T. ヘザー・ハードマン 編,上鶴 重美 訳:NANDA-I看護診断 定義と分類 2020-2023.医学書院.

-看護記録, NANDA-Iに基づく記載例, 領域7