この記事では、NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)の記載例を公開しています。
今回は領域8「セクシュアリティ」です。
看護記録の書き方が分からない…と悩んでいる看護実習生、新人の方々はぜひ参考にしてみてください!
トコル
看護記録(SOAP)の書き方に関しては、コチラの記事(【完全保存版】看護記録「SOAP」の書き方と記載例まとめ【NANDA-Iの看護診断対応】)を参考にしてください!
【完全保存版】看護記録「SOAP」の書き方と記載例まとめ【NANDA-Iの看護診断対応】
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新人看護師
他の領域の記載例を知りたい!という人は、この記事最後にまとめているので見てみてね!
*ご紹介しているのはあくまでも記載例ですので、実際は担当する患者にあわせて修正してご使用ください。
*できるだけ多くの患者に適応できるよう、あえて抽象的な内容を含めている部分がございます。こちらもご活用いただく際はご注意ください。
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【NANDA-I看護診断】領域8「セクシュアリティ」の看護計画の記載例まとめ【コピペ可】
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NANDA-I領域8「セクシュアリティ」の看護診断名一覧
NANDA-I領域8「セクシュアリティ」は、類①〜③に分けられます。
それぞれの診断名一覧は以下の通りです。
- 類① 性同一性
- 本類には現在該当する看護診断なし
- 類② 性機能
- ・性機能障害
・非効果的セクシュアリティパターン
- 類③ 生殖
- ・非効果的出産育児行動
・非効果的出産育児行動リスク状態
・出産育児行動促進準備状態
・母親/胎児二者関係混乱リスク状態
類①-本類には現在該当する看護診断なし
類②-性機能障害
コード:00059
- 定義
- 性的反応の欲望期・興奮期・オーガズム期のすべてあるいはいずれかの段階で、性機能の変化を経験し、満足感がない、報われない、不十分と見なされる状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 性機能障害 |
S(主観的情報) | 「最近、性行為に対する興味が薄れている。」「自分の体がうまく反応しないようで、不安になる。」 |
O(客観的情報) | 性行為に関する不安やストレスが増加しており、身体的・心理的な問題が関与している可能性がある。 パートナーとのコミュニケーションが不足しており、性に関する話題を避ける傾向が見られる。 身体的な健康問題(例:慢性疾患、ホルモンバランスの変化、薬物療法の影響)が背景に存在する場合がある。 心理的負担(例:ストレス、うつ症状、自己評価の低下)が影響している様子がある。 |
A(評価) | 身体的・心理的要因が複合的に影響し、性機能に障害が生じている状態である。これにより、本人の自己評価やパートナーシップに悪影響を及ぼしている可能性がある。 |
P(計画) | 性機能障害の原因を明確にするため、医師(例:泌尿器科、婦人科)や専門医(例:セラピスト)の診察を受けるよう勧める。 ストレスや心理的要因が関与している場合は、心理カウンセリングやリラクゼーション法(例:瞑想、深呼吸)を導入する。 パートナーとのオープンなコミュニケーションを促進し、性行為に対する不安や期待を共有する場を作る。 性機能を支援するための具体的な方法(例:段階的な親密さの構築、性に関する正しい知識の提供)を提案する。 必要に応じて、薬物療法や治療器具の利用を検討し、医師と連携して対処する。 パートナーとの信頼関係を強化するため、カップルセラピーの利用を提案し、性機能障害の影響を共同で乗り越える支援を行う。 |
類②-非効果的セクシュアリティパターン
コード:00065
- 定義
- 自分のセクシュアリティについての懸念を表す状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 非効果的セクシュアリティパターン |
S(主観的情報) | 「性に関することがうまくいかなくて、どう対応すればいいのか分からない。」「自分の性に関する気持ちが以前とは変わった気がする。」 |
O(客観的情報) | 性に関する自己認識や行動に混乱が見られ、性行動や性的満足に関して問題が観察される。 性に関する話題を避けたり、パートナーとのコミュニケーションが不足している様子が確認される。 身体的、心理的、または社会的な要因(例:病気、ストレス、文化的背景)が性に対する認識や行動に影響を及ぼしている可能性がある。 パートナーシップや自己評価に悪影響が出ている兆候がある。 |
A(評価) | 心理的、身体的、または社会的な要因により、セクシュアリティのパターンが非効果的な状態にあり、性に関する自己認識や関係性に困難を抱えている。この状態が続くと、さらに自己評価やパートナーシップに悪影響を及ぼす可能性がある。 |
P(計画) | 性に関する悩みを話しやすい環境を提供し、安心して相談できる場を整える。 身体的要因が関与している場合には、医師(例:泌尿器科、婦人科、内分泌科)と連携して原因を特定し、治療を検討する。 心理的要因(例:ストレス、自己評価の低下)に対しては、カウンセリングや心理療法を提案し、感情や考え方を整理できるよう支援する。 パートナーと性についてのオープンな話し合いを促進し、相互の期待や不安を共有する場を作る。 性に関する正しい知識を提供し、自己理解とパートナーシップの向上に役立てる。 必要に応じて、性に特化したセラピストや支援グループを紹介し、包括的な支援を提供する。 |
類③-非効果的出産育児行動
コード:00221
- 定義
- ウェルビーイングを確保するための健康的な妊娠・出産・新生児ケアを、準備や維持することが困難な状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 非効果的出産育児行動 |
S(主観的情報) | 「赤ちゃんの世話が思うようにいかなくて不安。」「どう対応すればいいのか分からず、手探りの状態。」 |
O(客観的情報) | 育児行動に対する自信のなさが見られ、ケアが一貫性を欠く場面がある。 赤ちゃんの泣き声や睡眠パターンに適切に対応できず、不安や戸惑いを感じている様子。 育児に必要な知識やスキルが不足しており、適切なサポートが得られていない。 母親または父親がストレスや疲労を訴えることが多く、心理的・身体的負担が増加している。 |
A(評価) | 育児に対する不安や知識不足、サポートの欠如により、非効果的な出産育児行動が見られる。これにより、親子関係や育児の質に悪影響が生じるリスクがある。 |
P(計画) | 出産後の母親または父親の育児スキル向上を支援するため、具体的なケア方法(例:授乳、抱っこ、寝かしつけ)の実演や指導を行う。 地域の子育て支援センターや育児相談窓口を紹介し、専門家からのアドバイスを受けられる環境を整える。 家族や地域の支援体制を活用し、育児負担を軽減するためのサポートを提供する(例:一時保育、家事代行)。 親が育児の中で成功体験を得られるよう、小さな目標(例:1日のスケジュール作り)を設定し、達成を支援する。 ストレス管理のため、リラクゼーション法(例:深呼吸、短時間の休憩)を教え、親の心身の健康を守る。 必要に応じて、心理カウンセリングや母親教室・父親教室への参加を促し、安心感と育児スキルの向上を図る。 |
類③-非効果的出産育児行動リスク状態
コード:00227
- 定義
- ウェルビーイングを確保するための健康的な妊娠・出産・新生児ケアを、準備や維持することが困難になりやすい状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 非効果的出産育児行動リスク状態 |
S(主観的情報) | 「初めての育児で自信がなく、何をどうすればいいのか分からない。」「赤ちゃんが泣くたびにどうしていいか分からず、不安になる。」 |
O(客観的情報) | 育児に必要な知識や経験が不足しており、赤ちゃんの行動やサインに戸惑いが見られる。 母親または父親が疲労やストレスを訴えることが増え、心身の負担が蓄積している。 家族や地域の支援が不足しており、育児を一人で抱え込みがちな状況。 適切な育児スキルを身につける機会が少なく、不安感が高まっている様子が確認される。 |
A(評価) | 育児に対する知識やスキルの不足、サポート体制の欠如、心理的な不安などにより、非効果的な出産育児行動を取るリスクが高い状態にある。このリスクが続くと、親子関係や育児の質に悪影響を及ぼす可能性がある。 |
P(計画) | 育児に関する基礎的な知識やスキル(例:授乳、抱っこ、オムツ替え)を学ぶ機会を提供するため、育児講座や母親・父親教室への参加を勧める。 赤ちゃんの行動やサイン(例:泣く理由、眠いときの仕草)についての情報を提供し、育児への理解を深める。 家族や地域の支援を活用する方法(例:祖父母や一時保育の利用、地域の子育て支援サービス)を提案し、育児負担を軽減する。 親が自分自身のケアを大切にできるよう、短時間の休息やリラクゼーションの時間を確保する方法を指導する。 育児の成功体験を積み重ねられるよう、小さな目標を設定し、達成を本人と一緒に確認する。 ストレスや不安が強い場合は、心理カウンセリングを提案し、安心感を持って育児に取り組めるよう支援する。 |
類③-出産育児行動促進準備状態
コード:00208
- 定義
- ウェルビーイングを確保するための健康的な妊娠・出産・新生児ケアを、準備や維持するパターンがさらに強化可能な状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 出産育児行動促進準備状態 |
S(主観的情報) | 「赤ちゃんのことをもっと理解して、しっかりお世話をしていきたい。」「育児を楽しめるようになりたいと思っている。」 |
O(客観的情報) | 赤ちゃんとの関わりに積極的な姿勢が見られ、育児に対する意欲が高まっている。 赤ちゃんの行動やサインに興味を示し、理解を深めようとする姿勢が確認される。 育児についての質問や相談が増え、学びたい意欲がある。 家族や地域のサポートを受け入れる姿勢が見られ、協力的な関係を築こうとしている。 |
A(評価) | 育児に前向きに取り組む準備が整っており、知識やスキルを向上させることで、さらに効果的な出産育児行動を実践できる可能性がある状態である。 |
P(計画) | 育児に必要なスキルや知識を学ぶため、育児講座や地域の母親・父親教室に参加することを提案する。 赤ちゃんの行動やサインを観察し、適切に対応するための具体的な方法(例:授乳、寝かしつけ、泣き止ませ)を実演しながら指導する。 育児に関する成功体験を増やすため、短期的な目標を設定し、その達成を積極的に評価する。 家族や地域のサポートを活用するため、利用可能な支援サービス(例:一時保育、訪問支援)の情報を提供する。 親自身のリラクゼーションやリフレッシュの時間を確保する方法を提案し、育児への意欲を保てるよう支援する。 育児中の不安や疑問を解消できるよう、定期的に相談の場を設け、進捗や状況に応じたサポートを提供する。 |
類③-母親/胎児二者関係混乱リスク状態
コード:00209
- 定義
- 共存疾患または妊娠関連の健康状態の結果、母親と胎児の共生的な二者関係が途絶えやすく、健康を損なう恐れのある状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 母親/胎児二者関係混乱リスク状態 |
S(主観的情報) | 「お腹の赤ちゃんに対して実感が湧かないことがある。」「ちゃんと母親になれるか不安。」 |
O(客観的情報) | 妊娠に対する感情が不安定で、胎児との関係に積極的に向き合えない様子が見られる。 妊娠に関する知識が不足しており、胎児の発達や妊娠中の母親の役割について理解が十分でない。 ストレスや外部要因(例:妊娠中の健康問題、家庭環境の不安定さ、社会的サポートの不足)が観察される。 母親になることへのプレッシャーや不安が強調され、胎児への意識が希薄になる傾向がある。 |
A(評価) | 妊娠への不安やサポート不足により、母親と胎児の二者関係が十分に形成されず、混乱が生じるリスクが高い状態にある。適切な支援を通じて、母親としての役割認識と胎児への愛着形成を促進する必要がある。 |
P(計画) | 妊娠に関する知識を提供し、胎児の発達や母親としての役割について理解を深めるための支援を行う。 胎児への愛着形成を促進するため、妊娠中のケア(例:胎動を感じる時間を持つ、胎児に話しかける)を提案する。 ストレス管理の方法(例:リラクゼーション法、ヨガ、瞑想)を導入し、心理的な負担を軽減する。 妊婦健診や母親学級への参加を勧め、妊娠に対する安心感とポジティブな経験を増やす。 家族やパートナーとの協力体制を強化し、妊娠期を支える環境を整える。 必要に応じて心理カウンセリングや支援グループを紹介し、母親としての不安や葛藤を軽減するための専門的なサポートを提供する。 |
NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)&看護計画の記載例まとめ
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引用・参考文献
T. ヘザー・ハードマン 編,上鶴 重美 訳:NANDA-I看護診断 定義と分類 2020-2023.医学書院.