看護記録 NANDA-Iに基づく記載例 領域11

【NANDA-I看護診断】領域11「安全/防御」の看護記録(SOAP)の記載例まとめ【コピペ可】

この記事では、NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)の記載例を公開しています。

今回は領域11「安全/防御」です。

看護記録の書き方が分からない…と悩んでいる看護実習生、新人の方々はぜひ参考にしてみてください!

トコル
トコル

看護記録(SOAP)の書き方に関しては、コチラの記事(【完全保存版】看護記録「SOAP」の書き方と記載例まとめ【NANDA-Iの看護診断対応】)を参考にしてください!

【完全保存版】看護記録「SOAP」の書き方と記載例まとめ【NANDA-Iの看護診断対応】

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新人看護師
新人看護師

他の領域の記載例を知りたい!という人は、この記事最後にまとめているので見てみてね!

*ご紹介しているのはあくまでも記載例ですので、実際は担当する患者にあわせて修正してご使用ください。
*できるだけ多くの患者に適応できるよう、あえて抽象的な内容を含めている部分がございます。こちらもご活用いただく際はご注意ください。

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【NANDA-I看護診断】領域11「安全/防御」の看護計画の記載例まとめ【コピペ可】

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NANDA-I領域11「安全/防御」の看護診断名一覧

NANDA-I領域11「安全/防御」は、類①〜⑥に分けられます。

それぞれの診断名一覧は以下の通りです。

類① 感染
・感染リスク状態
・手術部位感染リスク状態

類② 身体損傷
・非効果的気道浄化
・誤嚥リスク状態
・出血リスク状態
・歯列障害
・ドライアイリスク状態
・非効果的ドライアイ自主管理
・口腔乾燥リスク状態
・成人転倒転落リスク状態
・小児転倒転落リスク状態
・損傷リスク状態
・角膜損傷リスク状態
・乳頭乳輪複合体損傷
・乳頭乳輪複合体損傷リスク状態
・尿路損傷リスク状態
・周術期体位性損傷リスク状態
・熱傷凍傷リスク状態
・口腔粘膜結合性障害
・口腔粘膜結合性障害リスク状態
・末梢性神経血管機能障害リスク状態
・身体外傷リスク状態
・血管外傷リスク状態
・成人褥瘡
・成人褥瘡リスク状態
・小児褥瘡
・小児褥瘡リスク状態
・新生児褥瘡
・新生児褥瘡リスク状態
・ショックリスク状態
・皮膚統合性障害
・皮膚統合性障害リスク状態
・乳児突然死リスク状態
・窒息リスク状態
・術後回復遅延
・術後回復遅延リスク状態
・組織統合性障害
・組織統合性障害リスク状態

類③ 暴力
・女性器切除リスク状態
・対他者暴力リスク状態
・対自己暴力リスク状態
・自傷行為
・自傷行為リスク状態
・自殺行動リスク状態

類④ 環境危険
・汚染
・汚染リスク状態
・労働災害リスク状態
・中毒リスク状態

類⑤ 防御的プロセス
・ヨード造影剤有害反応リスク状態
・アレルギー反応リスク状態
・ラテックスアレルギー反応リスク状態

類⑥ 体温調節
・高体温
・低体温
・低体温リスク状態
・新生児低体温
・新生児低体温リスク状態
・周術期低体温リスク状態
・非効果的体温調節
・非効果的体温調節リスク状態

類①-感染リスク状態

コード:00004

定義
病原体が侵入して増殖しやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
感染リスク状態
S(主観的情報)「最近、体力が落ちている気がする。」「周りで風邪をひいている人が多くて不安になる。」
O(客観的情報)免疫力の低下が疑われる要因(例:慢性疾患、栄養不足、ストレス)が確認される。
外科手術後、侵襲的な医療処置(例:カテーテル留置)が行われている場合がある。
感染のリスク要因となる行動(例:頻繁な手洗いの欠如、不適切な衛生管理)が見られる。
環境的リスク(例:過密な生活環境、感染症流行地域)が存在する。
A(評価)感染を引き起こす可能性が高い状態であり、適切な予防策が取られない場合、身体的健康に重大な影響を及ぼす可能性がある。
P(計画)感染予防策を徹底するため、正しい手洗い方法や咳エチケットを指導する。
免疫力を高めるため、適切な栄養摂取、十分な睡眠、ストレス管理を促進する。
環境衛生を改善する方法を提案し、感染リスクを最小限に抑える支援を行う(例:清掃、換気の徹底)。
感染予防のための適切な予防接種(例:インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチン)を推奨する。
医療処置や器具使用に関連する感染リスクについて説明し、清潔管理を徹底する。
感染リスクのある症状(例:発熱、咳、創部の腫れや発赤)の早期発見を指導する。
本人や家族に感染予防の重要性について教育し、日常生活での実践を促す。
進捗を定期的に確認し、感染リスクが軽減されているかをモニタリングし、計画を柔軟に調整する。

類①-手術部位感染リスク状態

コード:00266

定義
手術部位に病原体が侵入しやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
手術部位感染リスク状態
S(主観的情報)「手術後に傷口が腫れたり、感染しないか心配です。」「傷口をきれいに保てているか分からなくて不安です。」
O(客観的情報)手術直後または術後回復期間中であり、創部が閉鎖されていない、またはまだ完全に治癒していない。
術部周囲の皮膚に発赤や腫脹、滲出液の兆候はないが、感染リスクがある状況(例:免疫力の低下、糖尿病、栄養不良)が確認される。
術後のドレッシングや創部ケアが適切に行われていない可能性がある。
手術内容や環境(例:長時間の手術、清潔管理が不十分な環境)が感染リスクを高める要因となる場合がある。
A(評価)手術部位感染のリスクが高い状態であり、予防策が取られない場合、術後回復の遅延や全身性の感染症を引き起こす可能性がある。
P(計画)手術部位を清潔に保つため、適切な創部ケア手順(例:消毒方法、ドレッシング交換)を指導する。
感染の早期徴候(例:発赤、腫脹、発熱、滲出液の増加)を認識し、異常があれば速やかに医療機関へ連絡するよう教育する。
術後感染リスクを軽減するため、栄養バランスの良い食事と適切な水分摂取を推奨する。
手指衛生(例:正しい手洗い方法)の重要性を強調し、本人や家族に実践を促す。
医師の指示に基づき、必要に応じて予防的抗菌薬の使用を行う。
環境衛生を徹底し、清潔な寝具や衣類を使用することで外部からの感染リスクを減らす。
術後定期検診を受け、創部の回復状況を医療スタッフと共有しながらフォローアップする。
ストレス管理や十分な休息を支援し、免疫力の維持・向上を図る。
本人や家族が感染予防について不安を抱えている場合、具体的なケア方法や予防策を共有し、安心感を提供する。

類②-非効果的気道浄化

コード:00031

定義
きれいな気道を維持するために、分泌物または閉塞物を気道から取り除く力が低下した状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
非効果的気道浄化
S(主観的情報)「痰が絡んで息がしづらい感じがする。」「咳をしても十分に痰が出せない。」
O(客観的情報)喘鳴や湿性咳嗽が観察される。
呼吸音の減弱、特に痰の貯留を示すラ音(例:湿性ラ音)が確認される。
努力性呼吸(例:呼吸補助筋の使用)が見られ、呼吸が浅くなる傾向がある。
SpO2(経皮的酸素飽和度)の低下やチアノーゼが確認される場合がある。
十分な咳嗽ができない、または喀痰排出が不完全である。
A(評価)気道に分泌物が貯留しており、十分な浄化ができていない状態。この状態が続くと、ガス交換障害や呼吸困難、さらには感染症のリスクが高まる可能性がある。
P(計画)効果的な喀痰排出を促進するために、呼吸理学療法(例:体位ドレナージ、叩打法)を実施する。
湿度を調整し、気道分泌物を緩めるための加湿器やネブライザーを使用する。
水分摂取を促進し、痰の粘性を低下させる(必要に応じて医師の指示に基づき点滴を検討)。
喀痰排出を促すために、効果的な咳嗽の方法(例:ハフ咳嗽)を指導する。
必要に応じて、気管支拡張薬や去痰薬を使用し、気道の浄化をサポートする。
呼吸困難が重篤な場合、酸素療法や人工呼吸管理を検討する。
気道の状態をモニタリングし、SpO2や呼吸音、分泌物の量と性状を記録する。
感染リスクを軽減するため、手指衛生の徹底と、気道管理器具の適切な清潔管理を行う。
症状が改善しない場合や悪化する場合は、速やかに医師へ報告し、さらなる介入を検討する。

類②-誤嚥リスク状態

コード:00039

定義
気管や気管支に消化管分泌物・口腔咽頭分泌物・固形物・液体が侵入しやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
誤嚥リスク状態
S(主観的情報)「食べ物を飲み込むのが少し難しいと感じるときがあります。」「以前、食事中にむせたことがあって心配です。」
O(客観的情報)食事や飲水時にむせる様子が観察される。
声がかすれる、または食後に湿性の咳嗽が出現することがある。
飲み込む際に努力性が見られる、または咽頭の動きが不十分な場合がある。
高齢、神経疾患(例:脳卒中、パーキンソン病)や筋力低下が誤嚥のリスクを高めている。
誤嚥性肺炎の既往がある、またはリスクが指摘されている。
A(評価)飲食物や唾液が気管内に流入するリスクが高い状態。この状態を放置すると、誤嚥性肺炎や窒息、栄養不良につながる可能性がある。
P(計画)嚥下機能を評価するため、ST(言語聴覚士)や医師による嚥下機能検査(例:VFSS、FEES)を提案する。
食事内容を調整し、誤嚥リスクを軽減するために適切な食形態(例:刻み食、とろみ付き飲料)を提供する。
食事中の姿勢を改善し、嚥下時の安全性を確保する(例:頭部を軽く前傾させた状態での摂取)。
嚥下訓練(例:アイスマッサージ、嚥下体操)を導入し、嚥下機能の改善を図る。
食後30分程度はベッド上げや座位を保ち、逆流や誤嚥を防ぐ。
誤嚥のサイン(例:むせ、湿性咳嗽、発熱)が現れた際の対応方法を家族や介護者に教育する。
必要に応じて、栄養士やSTと連携し、食事内容や摂取方法を継続的に見直す。
進捗を定期的にモニタリングし、嚥下機能や誤嚥リスクの変化を評価しながら計画を調整する。

類②-出血リスク状態

コード:00206

定義
血液量が減少しやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
出血リスク状態
S(主観的情報)「ちょっとしたことで青あざができやすくなった気がします。」「鼻血がよく出るようになり心配です。」
O(客観的情報)皮下出血や出血傾向(例:歯茎からの出血、鼻血)が観察される。
抗凝固薬や抗血小板薬の使用歴がある。
血液疾患(例:血小板減少症、凝固因子欠乏症)または肝機能低下の既往がある。
術後、外傷、または侵襲的処置(例:カテーテル挿入)後の回復期にある。
PT(プロトロンビン時間)やINR(国際標準比)の延長、血小板数の低下が確認されている場合がある。
A(評価)血液凝固機能の異常や外傷、侵襲的処置により、出血リスクが高まっている状態。このリスクが進行すると、重篤な出血や回復の遅延につながる可能性がある。
P(計画)出血リスクの原因を明確にするため、医師の指示のもと血液検査(例:凝固因子検査、血小板数測定)を実施する。
抗凝固薬または抗血小板薬の使用がある場合、用量や投与方法を医師と相談して見直す。
日常生活での外傷を防ぐため、転倒防止対策(例:部屋の整理整頓、適切な履物の使用)を提案する。
口腔ケアを丁寧に行い、歯茎からの出血を予防する(例:柔らかい歯ブラシの使用)。
侵襲的処置や手術が予定されている場合、事前に出血リスクを評価し、適切な準備を行う(例:抗凝固薬の一時中止)。
出血が確認された場合、速やかに患部を圧迫し、止血処置を行うとともに医師へ連絡する。
本人や家族に対し、出血の兆候(例:紫斑、血尿、黒色便)とその対応について教育する。
定期的に進捗をモニタリングし、出血リスクの軽減状況を確認しながらケア計画を調整する。

類②-歯列障害

コード:00048

定義
歯の発達や萌出パターンあるいは個々の歯の構造的安全性が、破綻している状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
歯列障害
S(主観的情報)「歯並びが気になって、笑うのをためらってしまいます。」「噛み合わせが悪くて、食事がしづらいと感じます。」
O(客観的情報)歯列の乱れ(例:叢生、過蓋咬合、開咬、交叉咬合)が確認される。
噛み合わせの不良があり、咀嚼や発音に影響を与えている場合がある。
歯列の状態が、口腔ケアの困難さやむし歯、歯周病のリスクを高めている。
顎関節症状(例:クリック音、開口障害)が伴う場合がある。
A(評価)歯列の乱れや噛み合わせの問題が、咀嚼機能や審美的な問題に影響を及ぼしている。この状態が放置されると、口腔衛生の悪化や心理的ストレスが増加する可能性がある。
P(計画)歯列障害の詳細な評価を行うため、歯科医または矯正歯科医を受診し、診断と治療計画を作成する。
矯正治療が必要な場合、適切な装置(例:ブラケット、アライナー)の使用を提案し、治療の進捗を定期的にモニタリングする。
噛み合わせの改善や歯列の維持のため、適切な咀嚼訓練やリハビリを指導する。
歯列障害が口腔衛生に影響している場合、歯磨き方法や補助的清掃用具(例:デンタルフロス、歯間ブラシ)の使用を指導する。
心理的な影響がある場合、カウンセリングや支援を提供し、自己肯定感を高めるサポートを行う。
食事内容を見直し、咀嚼が容易で栄養バランスの良い食事を提案する。
進捗を定期的に確認し、治療効果や口腔衛生の状態に応じてケア計画を調整する。
歯列障害に伴うリスク(例:むし歯、歯周病)を予防するため、定期的な歯科健診とクリーニングを推奨する。

類②-ドライアイリスク状態

コード:00219

定義
涙液層が不十分になりやすいことで、目の不快感および眼表面の損傷を引き起こす可能性があり、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
ドライアイリスク状態
S(主観的情報)「目が疲れやすく、たまに乾燥を感じることがあります。」「エアコンを使うと目が乾く感じがして不安です。」
O(客観的情報)長時間のデジタルデバイス使用や読書など、目の酷使が日常的に行われている。
乾燥した環境(例:空調の効いた室内、強風の屋外)で過ごすことが多い。
睡眠不足や栄養不良など、目の健康に影響を与える生活習慣が確認される。
ドライアイを引き起こす可能性のある疾患(例:シェーグレン症候群)や薬剤(例:抗ヒスタミン薬、ベータ遮断薬)の使用歴がある。
A(評価)涙液の分泌量や質の低下、または涙液蒸発を促進する環境要因により、ドライアイを発症するリスクが高い状態。この状態を放置すると、目の不快感や視力の低下、さらには角膜や結膜へのダメージを引き起こす可能性がある。
P(計画)涙液の分泌を促し、目の乾燥を防ぐために、定期的なまばたきや目の休息を促進する(例:20-20-20ルール:20分ごとに20秒間、20フィート先を見る)。
人工涙液や保湿剤を使用して、涙液の不足を補う方法を指導する。
室内の湿度を保つために加湿器を使用し、乾燥を軽減する環境を整える。
デジタルデバイス使用時の画面の位置や明るさを調整し、目への負担を軽減する。
栄養バランスの取れた食事を推奨し、特にオメガ3脂肪酸を含む食品(例:魚、ナッツ)を摂取するようアドバイスする。
ドライアイを引き起こす可能性のある薬剤の使用について医師に相談し、必要であれば代替薬を検討する。
目の健康状態を定期的に確認し、必要に応じて眼科専門医を受診し、涙液量や眼表面の状態を評価する。
リスクの進行を防ぐために、生活習慣を見直し、予防的なケアを継続する計画を立てる。

類②-非効果的ドライアイ自主管理

コード:00277

定義
十分でない涙液層を抱えた生活に固有の、症状や治療計画の管理、身体・心理社会・スピリチュアル面への影響の管理、ライフスタイル変化の管理が不十分な状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
非効果的ドライアイ自主管理
S(主観的情報)「目が乾いてつらいけれど、どう対処したら良いのか分からない。」「市販の目薬を使っているけれど、あまり効果を感じません。」
O(客観的情報)目の乾燥や疲労を訴えているが、適切なケアが行われていない。
長時間のデジタルデバイス使用や乾燥した環境での生活が続いている。
市販の目薬を頻回に使用しているが、症状が改善されていない。
まばたきが少ない、または眼の休息が不十分である様子が見られる。
加湿器や保湿メガネなど、環境調整が行われていない。
A(評価)ドライアイの自己管理が不十分であり、症状が持続または悪化している。適切なケアが行われないと、視力低下や角膜損傷のリスクが高まる可能性がある。
P(計画)ドライアイの原因とケア方法について教育し、自己管理能力を向上させる。
人工涙液や保湿ジェルなど、症状に適した点眼薬の使用方法を指導する。
デジタルデバイス使用時の20-20-20ルール(20分ごとに20秒間、20フィート先を見る)を取り入れ、目の休息を促す。
室内の湿度を調整するため、加湿器を使用するよう提案する。
乾燥環境に適したアイテム(例:保湿メガネ、スクリーンフィルター)を導入する方法を教える。
目の健康を支える栄養素(例:オメガ3脂肪酸)を含む食品を摂取するようアドバイスする。
必要に応じて、眼科専門医を受診し、適切な診断と治療計画を立てる。
進捗を定期的に確認し、自己管理の改善状況やケア方法の効果を評価しながら支援を続ける。
ストレスや睡眠不足など、目の健康に影響を与える生活習慣を見直す支援を行う。

類②-口腔乾燥リスク状態

コード:00261

定義
粘膜を湿らせる唾液の量や質の低下によって、口腔粘膜に不快感や損傷が起こりやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
口腔乾燥リスク状態
S(主観的情報)「最近、口の中が乾くことが増えてきた気がします。」「水を飲まないと話しにくいと感じることがあります。」
O(客観的情報)唾液分泌の減少が疑われる症状(例:口腔内の乾燥、舌のひび割れ、粘膜の乾燥)が観察される可能性がある。
ドライマウスを引き起こすリスク要因(例:高齢、薬剤の使用、糖尿病、シェーグレン症候群の既往)が存在する。
水分摂取量が不十分、または利尿作用のある飲料(例:アルコール、カフェイン)の過剰摂取が見られる。
口腔ケアが不十分な場合があり、口腔衛生状態が悪化している兆候がある。
A(評価)唾液分泌量が減少するリスクがあり、口腔乾燥症(ドライマウス)を発症する可能性が高い。この状態が放置されると、口腔内の不快感や感染リスク、さらに栄養摂取や会話への影響が懸念される。
P(計画)唾液分泌を促進するために、水分摂取量を増やし、こまめに水を飲むよう指導する。
唾液腺を刺激する方法(例:ガムや砂糖不使用のキャンディを噛む、酸味のある食品を摂取する)を提案する。
口腔の保湿を目的とした製品(例:口腔用保湿ジェル、唾液代替品)の使用を推奨する。
口腔衛生を徹底し、歯磨きやデンタルフロスの使用を促進して、感染予防に努める。
唾液分泌低下の原因となる薬剤を服用している場合、医師に相談し、必要に応じて代替薬を検討する。
口腔乾燥のリスク因子(例:糖尿病、シェーグレン症候群)が疑われる場合、適切な検査と治療を受けるよう勧める。
加湿器を使用して環境の湿度を高め、乾燥を防ぐ方法を提案する。
進捗を定期的にモニタリングし、口腔乾燥の兆候やリスクの進行状況を評価しながら支援を続ける。

類②-成人転倒転落リスク状態

コード:00303

定義
成人がうっかりして、地面や床などの低い高さのところに着地する事故を経験しやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
成人転倒転落リスク状態
S(主観的情報)「最近ふらつくことが増えてきて、転びそうで不安です。」「夜中にトイレに行くとき、つまずきそうになることがあります。」
O(客観的情報)バランスの低下や筋力低下が観察される(例:歩行時のふらつき、歩幅の狭小化)。
視覚や聴覚の低下、または感覚障害が確認されている場合がある。
夜間のトイレの頻度が多く、暗い中で移動する状況がある。
転倒リスクを高める環境因子(例:段差、滑りやすい床、散らばった物品)が存在する。
利用中の薬剤(例:降圧薬、鎮静薬)が平衡感覚や意識に影響を与えている可能性がある。
A(評価)身体的・感覚的な要因および環境的要因により、転倒や転落のリスクが高い状態。このままでは骨折や頭部外傷など、重大な身体的損傷が発生する可能性がある。
P(計画)バランス機能や筋力を向上させるため、リハビリテーションや適度な運動プログラム(例:ストレッチ、ウォーキング)を提案する。
視覚や聴覚の低下がある場合、眼鏡や補聴器の適切な使用を指導し、感覚機能を補助する。
自宅環境を見直し、転倒リスクを減らすための環境整備(例:滑り止めマット、手すりの設置、不要物の整理)を行う。
夜間の安全な移動を確保するため、適切な照明(例:センサーライト、足元灯)を設置する。
転倒リスクを高める薬剤を服用している場合、医師に相談し、必要に応じて処方を見直す。
転倒時の対応方法について本人および家族に教育し、万が一の事態に備える。
定期的にバランス機能や筋力、環境状況を評価し、リスクの進行を防ぐための計画を柔軟に調整する。
本人の自信を高めるため、日常生活の中で安全な移動方法や補助具(例:杖、歩行器)の使用を指導する。

類②-小児転倒転落リスク状態

コード:00306

定義
小児がうっかりして、地面や床などの低い高さのところに着地する事故を経験しやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
小児転倒転落リスク状態
S(主観的情報)※小児は主観的情報を直接訴えられないため、保護者の発言を記載
「最近、子どもが歩き始めたばかりで、よくつまずくことがあります。」「階段や高いところに登ろうとするので心配です。」
O(客観的情報)年齢に応じた運動発達段階(例:はいはい、歩行)に伴い、転倒や転落が起こりやすい行動が見られる。
家庭環境や遊び場における転倒リスク要因(例:段差、滑りやすい床、手すりのない階段)が確認される。
保護者の監視が不十分な時間や状況(例:短時間の離席)がある場合がある。
転倒リスクを高める行動(例:走り回る、登る、バランスの悪い場所で遊ぶ)が観察される。
A(評価)小児が運動発達の過程で転倒や転落のリスクが高い状態にある。適切な監視と環境調整が行われない場合、外傷や事故が発生する可能性がある。
P(計画)家庭環境の安全対策を実施する(例:階段やベッド周囲に安全ゲートを設置、角の保護パッドを使用)。
滑りやすい床や危険な段差の修正を行い、転倒リスクを軽減する。
小児の動きや遊びに応じた安全な空間を確保し、事故の予防を図る。
遊び場や公共施設での安全対策(例:柔らかい地面の公園を選ぶ)を保護者に提案する。
保護者に、小児の動きや成長に伴う転倒リスクを教育し、適切な監視を行う重要性を説明する。
必要に応じて、小児の運動発達状況を評価し、リハビリテーションや運動指導を検討する。
定期的に家庭環境や小児の行動を観察し、安全対策が有効であるか確認し、必要に応じて調整する。
小児が安全に遊べるよう、成長段階に応じたおもちゃや遊具を提案する。

類②-損傷リスク状態

コード:00035

定義
個人の適応力や防御力と相互作用している環境条件によって、負傷しやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
損傷リスク状態
S(主観的情報)「何かにぶつけたり、転んだりしやすくて不安です。」「注意しているつもりでも、ケガをすることが多い気がします。」
O(客観的情報)日常生活の中で物理的な損傷を引き起こす可能性が高い要因(例:転倒、誤操作、危険物の使用)が確認される。
視覚、聴覚、運動機能の低下や判断力の低下が観察される場合がある。
生活環境における安全対策の不備(例:段差、散らばった物品、適切な照明の不足)が存在する。
損傷を引き起こしやすい疾患や状況(例:てんかん発作、認知機能低下、注意力欠如)が見られる場合がある。
A(評価)物理的、感覚的、または環境的な要因により、身体損傷のリスクが高い状態。このままでは、外傷や骨折、その他の重大な損傷が発生する可能性がある。
P(計画)安全な生活環境を整えるため、物理的な危険要因を取り除く(例:滑り止めマットの使用、段差の修正、適切な照明の設置)。
本人および家族に、安全行動や事故防止策について教育する(例:危険な場所への立ち入り制限、注意喚起)。
必要に応じて、バランスや筋力を向上させるための運動プログラムを提供する。
視覚や聴覚に問題がある場合、眼鏡や補聴器の使用を指導し、感覚機能を補助する。
危険を伴う作業や道具の使用時に適切な保護具(例:手袋、ヘルメット)を装着するよう提案する。
持病や疾患(例:てんかん、低血糖)が損傷リスクを高めている場合、医師と連携して症状管理を徹底する。
損傷リスクの高い状況を定期的に評価し、リスクの進行状況に応じて支援計画を調整する。
事故やケガが発生した場合の迅速な対応方法を本人および家族に指導する(例:応急処置、救急連絡)。

類②-角膜損傷リスク状態

コード:00245

定義
角膜組織の表層や深層に影響する、感染または炎症性損傷が起こりやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
角膜損傷リスク状態
S(主観的情報)「目にゴミが入ることが多くて気になります。」「乾燥やコンタクトレンズが原因で目が傷つかないか不安です。」
O(客観的情報)コンタクトレンズの長時間装用や不適切なケアが確認される。
乾燥した環境や強風の多い場所での生活が多い場合がある。
目をこする習慣や、目を保護しない作業(例:化学物質の使用、粉塵の多い環境)が観察される。
目の乾燥や充血、異物感など、角膜への影響が懸念される症状が見られる。
A(評価)角膜が外部刺激や環境要因にさらされ、損傷のリスクが高い状態。このままでは角膜炎や潰瘍など、視力に影響を及ぼす可能性のある合併症が発生する恐れがある。
P(計画)コンタクトレンズの適切な使用(例:装用時間の短縮、定期的な交換、清潔な保存方法)を指導する。
乾燥環境での目の保護を目的に、人工涙液や保湿ジェルの使用を推奨する。
風や粉塵の多い環境での作業時には、保護メガネを使用するよう提案する。
目をこする習慣がある場合、そのリスクを説明し、代わりに異物感を感じた際の適切な対処法(例:洗眼)を教える。
乾燥や刺激を軽減するために、室内の湿度を保つ加湿器の利用を勧める。
角膜損傷の初期症状(例:痛み、視界のかすみ、異物感)について教育し、早期受診を促す。
必要に応じて眼科専門医を受診し、角膜の健康状態や適切な治療の必要性を評価する。
定期的に角膜状態をモニタリングし、リスクの進行を防ぐための計画を調整する。

類②-乳頭乳輪複合体損傷

コード:00320

定義
母乳育児プロセスによって、乳頭乳輪複合体に限局性の損傷が起きた状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
乳頭乳輪複合体損傷
S(主観的情報)「授乳のときに乳首が痛くて、ひび割れた感じがします。」「赤ちゃんが吸うたびに傷口が広がりそうでつらいです。」
O(客観的情報)乳頭にひび割れ、出血、またはかさぶたが確認される場合がある。
乳頭乳輪周囲の皮膚に炎症や赤み、腫れが見られることがある。
授乳時に痛みが強く、乳房ケアが不十分な様子が観察される。
不適切な授乳方法や赤ちゃんの吸い付きが原因となる損傷の兆候がある。
A(評価)乳頭乳輪複合体が損傷しており、痛みや不快感が授乳に支障をきたしている状態。この状態が続くと、授乳意欲の低下や感染症(例:乳腺炎)のリスクが高まる可能性がある。
P(計画)授乳の姿勢や赤ちゃんの吸い付き方法を改善するため、適切な授乳方法を指導する。
乳頭の保護を目的に、乳頭クリーム(例:ラノリン)、シリコン製の乳頭保護器具の使用を勧める。
授乳後に乳房ケアを行い、損傷部位の清潔を保ち、保湿ケアを徹底する。
必要に応じて授乳間隔を調整し、乳頭が回復する時間を確保する。
損傷がひどい場合や感染の兆候(例:発赤、膿、発熱)がある場合は、早急に医師を受診する。
乳房全体の状態を確認し、損傷が広がらないよう授乳以外での乳房刺激(例:搾乳器使用)の回避を提案する。
授乳以外の方法で赤ちゃんに栄養を補給する場合、損傷の回復を優先しながら栄養管理を行う。
損傷部位の回復状況を定期的に確認し、ケア計画を柔軟に調整する。
本人の精神的な不安を軽減するため、カウンセリングや授乳サポートの活用を提案する。

類②-乳頭乳輪複合体損傷リスク状態

コード:00321

定義
母乳育児プロセスによって、乳頭乳輪複合体に限局性の損傷が起こりやすい状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
乳頭乳輪複合体損傷リスク状態
S(主観的情報)「授乳のときに乳首が引っ張られる感じがして、少し不安です。」「赤ちゃんの吸い付きが強くて、傷つかないか心配です。」
O(客観的情報)授乳中に乳首が赤くなったり、圧力のかかり方が偏っている様子が観察される。
不適切な授乳姿勢や赤ちゃんの吸啜方法が確認される。
乳首が乾燥していたり、保湿ケアが不十分な場合がある。
初産婦や授乳経験が少ない母親で、授乳方法に慣れていない状況が見られる。
赤ちゃんの口腔の問題(例:舌小帯短縮症)が損傷リスクを高めている可能性がある。
A(評価)授乳姿勢や方法、乳房ケアの不適切さ、または赤ちゃんの吸啜の問題により、乳頭乳輪複合体が損傷するリスクが高い状態。このままでは損傷や感染症が発生し、授乳が困難になる可能性がある。
P(計画)正しい授乳姿勢と赤ちゃんの吸啜方法を指導し、乳頭への負担を軽減する。
乳頭の乾燥を防ぐため、授乳後にラノリンなどの保湿剤を使用することを提案する。
乳頭保護器具の使用を検討し、乳頭への直接的な摩擦を軽減する。
授乳後に乳頭を清潔に保ち、温水で優しく洗浄した後に乾燥させる。
授乳に伴う痛みや不快感を軽減するため、授乳間隔を調整したり搾乳器の使用を推奨する。
赤ちゃんの口腔構造に問題がある場合、小児科医や専門医を受診し適切な対応を行う。
授乳中の痛みや不快感について継続的にモニタリングし、損傷リスクが低下しているか確認する。
母親の不安を軽減するため、授乳支援グループや助産師との相談の機会を提供する。
損傷の予防策が適切に実施されているか、定期的に評価してケア計画を調整する。

類②-尿路損傷リスク状態

コード:00250

定義
カテーテル使用により尿路構造の損傷が起こりやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
尿路損傷リスク状態
S(主観的情報)「トイレのときに違和感があることがあります。」「以前、膀胱炎になったことがあり、またそうならないか心配です。」
O(客観的情報)尿路損傷を引き起こす可能性がある状況(例:外科手術後、カテーテル挿入中)が確認される。
泌尿器系の既往歴(例:尿路感染症、結石)がある場合がある。
不適切なカテーテル管理や清潔ケアの不足が見られる。
外傷や圧迫による尿路への影響が考えられる(例:骨盤骨折、外部からの圧力)。
高齢者や小児など、尿路損傷のリスクが高い集団に該当している。
A(評価)尿路に機械的または感染的な影響を及ぼすリスクが高い状態にあり、適切な予防策が講じられない場合、尿漏れ、感染、さらには重篤な合併症が発生する可能性がある。
P(計画)尿路損傷のリスクを軽減するため、カテーテルの適切な挿入・管理手順を教育する。
泌尿器系に負担をかける行為(例:無理な排尿、過剰な膀胱充満)を避けるよう指導する。
尿路感染症の予防のため、適切な水分摂取を促し、排尿サイクルを整える。
手術後や外傷後の尿路損傷リスクが高い場合、尿量や尿の性状を観察し、異常を早期に発見する。
必要に応じて、泌尿器科専門医を受診し、尿路構造や機能を詳細に評価する。
尿道や膀胱周辺の清潔を保つため、正しいケア方法(例:前から後ろへの拭き方)を説明する。
痛みや血尿、尿意の異常など、尿路損傷の兆候について患者と家族に教育し、異常があれば速やかに報告するよう促す。
リスクが進行していないか定期的にモニタリングし、状況に応じて計画を柔軟に調整する。

類②-周術期体位性損傷リスク状態

コード:00087

定義
侵襲的処置や外科的処置の間に用いる姿勢や体位固定具が原因で、想定外の解剖学的変化や身体的変化が起こりやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
周術期体位性損傷リスク状態
S(主観的情報)※手術前のため直接の症状訴えなし。ただし、以下の発言がある場合を想定。
「長時間の手術と聞いて、体に負担がかからないか心配です。」「手術後に痛みが出ないか不安です。」
O(客観的情報)手術予定があり、長時間の体位固定が予想される(例:4時間以上の手術)。
高齢、低栄養状態、または低体重など、皮膚や筋肉の耐久性が低下している状態が確認される。
既往歴として、糖尿病や末梢血流障害など、皮膚および軟部組織の損傷リスクを高める疾患がある場合がある。
手術体位(例:仰臥位、側臥位、腹臥位)や使用する器具によって、特定部位への圧迫が予測される。
A(評価)長時間の手術中の体位固定および圧迫により、皮膚や筋肉、神経が損傷を受けるリスクが高い状態。このままでは、褥瘡(じょくそう)、神経麻痺、または筋肉壊死が発生する可能性がある。
P(計画)手術中の体位を適切に管理し、リスク部位への圧迫を軽減するための体位固定具(例:ジェルパッド、クッション)を使用する。
体位の選択や調整がリスクを最小限に抑えられるよう、手術チームと連携して計画を立てる。
圧迫を受けやすい部位(例:仙骨、肘、踵)の皮膚状態を手術前に確認し、保護パッドを配置する。
必要に応じて、手術中に体位を適宜変更し、圧迫時間を短縮する。
皮膚や軟部組織の損傷を防ぐため、術前に十分な栄養管理を行い、皮膚の耐久性を向上させる。
術後には損傷の兆候(例:皮膚の発赤、神経麻痺、筋肉痛)をモニタリングし、異常があれば早期に対応する。
体位性損傷のリスクを患者および家族に説明し、術後のケアに協力を得る。
手術室内の照明や室温管理を徹底し、皮膚の乾燥や血流障害を予防する。
術後の経過観察を定期的に行い、体位性損傷が発生していないかを評価しながら、必要に応じて計画を調整する。

類②-熱傷凍傷リスク状態

コード:00220

定義
両極端の温度によって皮膚や粘膜に損傷が起こりやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
熱傷凍傷リスク状態
S(主観的情報)「外で作業していると、寒さで手足が感覚を失いそうになります。」「調理中に熱い油が飛んでこないか不安です。」
O(客観的情報)高温または低温環境での作業や活動が日常的に行われている(例:調理作業、屋外での作業)。
防護具(例:耐熱手袋、防寒着)が不十分または使用されていない。
感覚障害や循環障害(例:末梢動脈疾患、糖尿病)が確認されており、感覚低下や血流障害が熱傷や凍傷のリスクを高めている。
過去に熱傷や凍傷の既往があり、皮膚や組織が弱くなっている場合がある。
A(評価)高温または低温にさらされる機会が多く、熱傷や凍傷のリスクが高い状態。この状態が続くと、皮膚および軟部組織の損傷が発生し、感染や組織壊死の可能性が高まる。
P(計画)高温・低温環境での安全性を高めるため、適切な防護具(例:耐熱手袋、防寒具)を使用するよう指導する。
作業環境を見直し、リスクを軽減するための調整(例:適切な温度管理、保護スクリーンの設置)を提案する。
感覚障害や循環障害がある場合、手足の皮膚状態や色調を定期的に確認し、異常を早期に発見する。
水分摂取や栄養管理を通じて皮膚の保湿と耐久性を向上させる。
高温環境での作業中は火傷のリスクを軽減するため、熱源に近づきすぎない動作や手順を教育する。
低温環境での活動後には、手足を温め、凍傷の初期症状(例:しびれ、白い斑点)について教育し早期対応を促す。
火傷や凍傷が発生した場合の応急処置(例:患部を冷やす、速やかに医師を受診)を指導する。
定期的にリスク状況をモニタリングし、予防策の有効性を確認しながら計画を調整する。
防護具や安全対策に対する本人および関係者の理解を深めるため、教育と啓発活動を行う。

類②-口腔粘膜結合性障害

コード:00045

定義
口唇、軟部組織、口腔前庭、中咽頭に損傷がある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
口腔粘膜結合性障害
S(主観的情報)「口の中がヒリヒリして痛いです。」「食べ物が当たるとしみる感じがします。」
O(客観的情報)口腔内に潰瘍、びらん、紅斑、または浮腫が確認される場合がある。
痛みにより食事摂取量が減少している様子が観察される。
粘膜に白斑や出血が見られる場合がある。
口腔ケアが不十分、または栄養状態が悪化している可能性がある。
ドライマウスや薬剤の影響(例:化学療法、放射線治療)が口腔粘膜の状態を悪化させている場合がある。
A(評価)口腔粘膜が炎症や損傷を受けており、食事摂取や会話に影響を与えている。この状態が続くと感染や栄養不良、生活の質の低下につながる可能性がある。
P(計画)口腔粘膜の痛みや炎症を軽減するため、刺激の少ない食品(例:柔らかい、常温の食事)を提案する。
必要に応じて、粘膜を保護するための薬剤(例:粘膜保護剤、局所麻酔剤)を使用する。
口腔ケアを徹底し、温水で優しくすすぐ方法や適切な歯磨き習慣を指導する。
アルコールや刺激の強い飲食物(例:酸味の強い食品、辛い食品)の摂取を控えるよう指導する。
十分な水分摂取を促し、口腔粘膜の乾燥を防ぐ。
粘膜の損傷が治癒するまで、栄養補助食品や経口栄養補助剤の利用を検討する。
原因となる治療や薬剤(例:化学療法、放射線治療)の副作用を軽減するため、医師と相談して調整を行う。
定期的に口腔内の状態を観察し、損傷の程度や改善状況をモニタリングする。
痛みや不快感が強い場合、歯科医や口腔外科医と連携してさらなる治療計画を立てる。
心理的なサポートを提供し、患者が痛みや生活への影響に対処できるよう支援する。

類②-口腔粘膜結合性障害リスク状態

コード:00247

定義
口唇、軟部組織、口腔前庭、中咽頭に損傷が起こりやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
口腔粘膜結合性障害リスク状態
S(主観的情報)「最近、口の中が乾くことが多いです。」「辛いものや熱いものを食べたときに口の中が荒れないか心配です。」
O(客観的情報)ドライマウスや水分摂取不足が観察される場合がある。
栄養不良または特定の栄養素(例:ビタミンB群、ビタミンC)の欠乏が疑われる。
薬剤の使用(例:化学療法薬、放射線治療)や慢性疾患(例:糖尿病、シェーグレン症候群)が口腔粘膜の健康に影響を及ぼす可能性がある。
口腔ケアが不十分で、細菌や真菌感染のリスクが高い状態が確認される。
喫煙やアルコール摂取など、粘膜への刺激となる習慣がある。
A(評価)口腔粘膜が損傷するリスクが高い状態にあり、適切な予防策を講じなければ、潰瘍や炎症、感染の発生につながる可能性がある。
P(計画)口腔粘膜の健康を維持するため、十分な水分摂取を促し、口腔内の乾燥を防ぐ。
バランスの取れた栄養摂取を指導し、特にビタミンB群やビタミンCなど粘膜の再生を助ける栄養素の摂取を強化する。
刺激を避けるため、辛い食べ物や熱い飲食物の摂取を控えるよう助言する。
日常的な口腔ケアを指導し、適切な歯磨きやマウスウォッシュの使用方法を説明する。
ドライマウスが確認される場合、人工唾液や保湿剤の使用を推奨する。
原因となる可能性のある薬剤の使用や治療について医師と連携し、副作用の軽減策を検討する。
喫煙や過度なアルコール摂取がある場合、習慣の見直しを支援する。
定期的に口腔内の状態を観察し、損傷の早期兆候を発見し適切な対応を行う。
口腔粘膜の損傷リスクについて本人および家族に教育し、予防策の重要性を共有する。

類②-末梢性神経血管機能障害リスク状態

コード:00086

定義
四肢の循環・感覚・動きの機能が破綻しやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
末梢性神経血管機能障害リスク状態
S(主観的情報)「手足がしびれることが増えてきた気がします。」「最近、指先が冷たくて感覚が鈍い感じがします。」
O(客観的情報)手足の血行不良や神経機能の低下が疑われる症状(例:皮膚の蒼白、冷感、軽度の浮腫)が観察される場合がある。
糖尿病、末梢動脈疾患(PAD)、レイノー病など、末梢神経血管機能障害を引き起こす既往が確認される。
喫煙、高脂血症、長時間の体位固定など、末梢血管機能を悪化させる要因がある。
手足の動脈拍動の弱さや毛細血管再充満時間の延長が確認される場合がある。
神経学的検査で感覚低下や反射の減弱が見られる可能性がある。
A(評価)末梢神経および血管の機能が低下するリスクが高い状態であり、適切な対応を怠ると、感覚障害、疼痛、さらには組織の損傷や壊疽が発生する可能性がある。
P(計画)血行を改善するために、適度な運動(例:ウォーキング、足のストレッチ)を推奨する。
寒冷環境での末梢血管収縮を防ぐため、適切な防寒具を使用するよう指導する。
血管機能を改善するため、喫煙や過度なアルコール摂取を控えるよう助言する。
バランスの取れた食事を推奨し、特にビタミンB群や抗酸化物質などの神経保護に役立つ栄養素を摂取するよう指導する。
糖尿病や動脈疾患がある場合、血糖値や血圧の管理を徹底し、リスクを最小限に抑える。
適切な靴やサポート靴下の使用を勧め、足部への圧迫や摩擦を軽減する。
末梢神経や血管の状態をモニタリングし、皮膚の色調や温度、動脈拍動、感覚異常の早期発見に努める。
必要に応じて、神経内科または循環器科への受診を促し、詳細な評価や治療を行う。
リスクについて本人および家族に教育し、日常生活での予防策を共有する。

類②-身体外傷リスク状態

コード:00038

定義
突然の発症および重症度で、早急な対応を必要とする身体損傷が起こりやすい状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
身体外傷リスク状態
S(主観的情報)「最近、ふらつきが多くて物にぶつかることがあります。」「夜中にトイレに行くときに転ばないか不安です。」
O(客観的情報)身体外傷のリスクを高める要因(例:歩行の不安定さ、筋力低下、視覚や聴覚の低下)が観察される。
日常生活環境における危険因子(例:段差、滑りやすい床、不十分な照明)が確認される。
転倒や衝突の既往があり、再発リスクが高い場合がある。
リスクを増加させる行動(例:急な動作、注意力の散漫)が見られる場合がある。
使用中の薬剤(例:降圧薬、鎮静薬)が意識やバランスに影響を与えている可能性がある。
A(評価)身体的、環境的、薬物的要因により身体外傷のリスクが高い状態。この状態を放置すると、骨折、挫傷、頭部外傷など重大な健康被害につながる可能性がある。
P(計画)安全な生活環境を整備するため、段差や滑りやすい床を修正し、転倒防止用の手すりや滑り止めマットを設置する。
適切な照明を設置し、特に夜間の安全な移動を確保する。
本人および家族に、安全な移動方法や転倒リスクを軽減する行動(例:急な動作を避ける)の教育を行う。
転倒予防のためのバランストレーニングや筋力強化運動を提案する。
適切な履物(例:滑りにくい靴、足にフィットした靴)の使用を勧める。
薬剤が影響している場合、主治医と連携して処方内容を見直し、意識やバランスへの影響を最小限に抑える。
転倒時の対応(例:受傷部位の応急処置、速やかな医療機関受診)について本人および家族に指導する。
進捗を定期的にモニタリングし、身体外傷リスクが軽減されているかを確認し、計画を調整する。
心理的な不安を軽減するため、ケアチーム全体で支援し、本人が安全性への自信を持てるようサポートする。

類②-血管外傷リスク状態

コード:00213

定義
カテーテルがあることや注入された薬液によって、血管や周辺組織に損傷が起こりやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
血管外傷リスク状態
S(主観的情報)「採血のときに、血管が腫れたり痛みが出ることがあります。」「点滴の針を刺した後に内出血したことがあり心配です。」
O(客観的情報)血管の脆弱性が確認される(例:高齢による血管の弾力低下、慢性疾患による血管の劣化)。
抗凝固薬や抗血小板薬を使用しており、内出血や血管損傷のリスクが高い。
点滴や採血など、血管への侵襲的処置が頻繁に行われている。
血管に関連する既往(例:血管炎、静脈瘤)がある場合がある。
血管への圧迫や外的要因(例:不適切な固定、過度な力のかかる行動)が観察される可能性がある。
A(評価)血管の脆弱性や侵襲的処置、抗凝固療法などにより血管外傷のリスクが高い状態。この状態が続くと、血腫、出血、血管炎などが発生する可能性がある。
P(計画)侵襲的処置(例:採血、点滴)を実施する際、最小限の刺激で実施し、適切な針やカテーテルのサイズを選択する。
血管への負担を軽減するため、侵襲的処置の頻度を減らす計画を立てる(例:複数の検査を一度にまとめて実施)。
抗凝固薬や抗血小板薬の使用がある場合、処置前に医師と相談し、リスク管理を行う。
侵襲的処置後には適切な圧迫を行い、内出血や血管損傷を防止する。
血管を保護するため、対象者に十分な水分摂取を促し、血管の弾力性を維持する。
既存の血管疾患がある場合、医師と連携し、治療計画を調整する。
血管外傷の早期徴候(例:腫れ、疼痛、皮膚下出血)がある場合は速やかに報告し、適切な対応を行う。
本人および家族に対し、侵襲的処置後の注意事項や血管外傷のリスクについて教育し、安全対策を共有する。
進捗をモニタリングし、血管外傷の発生を防ぐための予防策の有効性を評価しながら計画を調整する。

類②-成人褥瘡

コード:00312

定義
成人の皮膚や下層組織に、圧迫または圧力と剪断力(ずれ力)が相まった結果、限局性の損傷がある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
成人褥瘡
S(主観的情報)「座っているとお尻が痛くなることが増えました。」「ベッドで寝ている時間が長く、背中がヒリヒリします。」
O(客観的情報)長時間の臥床または座位による体位固定が確認される。
仙骨部、踵、坐骨、肩甲骨部などに皮膚の発赤や圧痕が見られる。
皮膚が薄く、乾燥または湿潤している状態が観察される。
栄養状態の低下(例:低アルブミン血症、体重減少)が確認される。
血流低下や摩擦・ずれなどの褥瘡リスク因子が存在する(例:糖尿病、末梢血流障害)。
A(評価)長時間の体位固定や栄養不良、皮膚の脆弱性により、褥瘡が発生しやすい状態にある。適切な予防とケアが行われない場合、褥瘡が進行し、感染や深刻な組織損傷のリスクが高まる。
P(計画)定期的な体位変換を実施し、圧迫が長時間続かないようにする(例:2時間ごとの体位変換)。
圧迫部位を保護するために、体圧分散用マットレスやクッションを使用する。
皮膚の状態を清潔に保ち、適切なスキンケア(例:保湿剤の使用、皮膚の乾燥防止)を行う。
栄養状態を改善するため、十分なタンパク質とエネルギーを含む食事を提供し、必要に応じて栄養補助食品を利用する。
褥瘡予防の重要性について本人および介護者に教育し、体位変換や皮膚観察の実践を促す。
摩擦やずれを軽減するため、移動時にスライディングシートやリフトを使用する。
褥瘡の初期兆候(例:発赤、皮膚の硬化)の発見を促進し、早期に介入を行う。
感染の兆候(例:発熱、創部からの排液)が見られる場合は、迅速に医療チームと連携して治療を行う。
進行中の褥瘡がある場合、創傷管理を適切に行い、ドレッシング材の選択や創部の圧迫軽減を徹底する。
経過を定期的に評価し、褥瘡予防および治療計画の有効性を確認しながら、必要に応じて調整する。

類②-成人褥瘡リスク状態

コード:00304

定義
成人の皮膚や下層組織に、圧迫または圧力と剪断力(ずれ力)が相まった結果、限局性の損傷が起こりやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
成人褥瘡リスク状態
S(主観的情報)「最近ベッドで過ごす時間が長く、動くのが億劫です。」「お尻や腰のあたりが圧迫されている感じがして、少し気になります。」
O(客観的情報)長時間の臥床や車椅子使用により、特定の部位に持続的な圧迫がかかっている。
栄養状態の低下(例:低アルブミン血症、体重減少)が確認されている場合がある。
皮膚が薄く、乾燥または湿潤しており、摩擦やずれによる損傷リスクが高い。
高齢、糖尿病、末梢血流障害、認知症などの既往があり、褥瘡リスクが高い状態にある。
圧迫を受けやすい部位(例:仙骨部、踵、肩甲骨)の皮膚に発赤や圧痕はまだないが、リスクが疑われる。
A(評価)長時間の体位固定、栄養状態の低下、皮膚の脆弱性などにより褥瘡のリスクが高い状態。このまま適切なケアが行われない場合、褥瘡が発生する可能性が高い。
P(計画)体位を定期的に変更し、圧迫を軽減する(例:2時間ごとの体位変換)。
体圧分散マットレスやクッションを使用して、圧迫部位への負担を最小限に抑える。
皮膚を清潔かつ乾燥した状態に保ち、保湿剤を使用して皮膚の耐久性を高める。
バランスの取れた食事を提供し、タンパク質やビタミン、ミネラルを十分に摂取できるよう支援する。
本人および家族に褥瘡予防の重要性を説明し、体位変換や皮膚状態の観察を指導する。
摩擦やずれを防ぐため、移動時にはスライディングシートやリフトを使用する。
褥瘡の初期兆候(例:発赤、硬結)の観察を定期的に行い、早期に介入できるようにする。
リスク評価ツール(例:ブレーデンスケール)を用いてリスク状況を定期的に確認し、ケア計画を柔軟に調整する。
必要に応じて、医療チームや皮膚・創傷ケア専門家と連携して予防策を強化する。

類②-小児褥瘡

コード:00313

定義
小児または青年期の若者の皮膚や下層組織に、圧迫または圧力と剪断力(ずれ力)が相まった結果、限局性の損傷がある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
小児褥瘡
S(主観的情報)※小児は主観的に訴えられない場合が多いため、保護者の発言を記載
「寝たきりの状態が続いているので、皮膚が心配です。」「お尻のあたりが赤くなってきたように見えます。」
O(客観的情報)仙骨部、踵、耳の後ろ、肩甲骨部、肘、頭部などに圧迫を受けやすい部位の皮膚に発赤や圧痕が確認される場合がある。
臥床または車椅子使用が長時間続いており、体位が固定されている。
皮膚が薄く、乾燥または湿潤が見られる。
栄養不良(例:低体重、低アルブミン血症)や水分不足が確認される場合がある。
病気や手術後などで活動量が低下し、体位変換が自発的に行われていない。
A(評価)小児が長時間の臥床や体位固定により、褥瘡が発生している状態。適切なケアが行われない場合、褥瘡が進行し、感染や組織損傷が発生するリスクが高い。
P(計画)圧迫を軽減するために、2時間ごとに体位変換を実施し、圧迫部位を保護する。
体圧分散用マットレスやクッションを使用して、皮膚への負担を最小限に抑える。
皮膚を清潔かつ乾燥した状態に保ち、必要に応じて保湿剤を使用する。
バランスの取れた食事と水分補給を促し、皮膚と体組織の耐久性を向上させる。
保護者に褥瘡予防の重要性を説明し、体位変換や皮膚状態の観察を指導する。
摩擦やずれを防ぐため、移動時にスライディングシートや適切な介助方法を使用する。
褥瘡の進行を防ぐため、皮膚の状態を定期的にモニタリングし、異常があれば早期に対応する。
必要に応じて医師や皮膚・創傷ケア専門家と連携し、創傷管理や治療計画を立てる。
心理的サポートを提供し、小児が安心してケアを受けられる環境を整える。

類②-小児褥瘡リスク状態

コード:00286

定義
小児または青年期の若者の皮膚や下層組織に、圧迫または圧力と剪断力(ずれ力)が相まった結果、限局性の損傷が起こりやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
小児褥瘡リスク状態
S(主観的情報)※小児は主観的に訴えられない場合が多いため、保護者の発言を記載
「長い間ベッドで過ごしているので、皮膚が心配です。」「お尻や背中が赤くなっていないか気になります。」
O(客観的情報)長時間の臥床または車椅子使用により、同一体位で圧迫がかかり続けている。
皮膚の薄さ、乾燥または湿潤が確認され、摩擦やずれの影響を受けやすい状態。
栄養状態が不十分(例:低体重、低アルブミン血症)で、皮膚や組織の耐久性が低下している場合がある。
活動量が低下しており、自発的な体位変換が困難な状態。
病気や手術後の回復期で、全身状態が弱っている。
A(評価)長時間の体位固定や栄養不良、皮膚の脆弱性などにより、小児が褥瘡を発生するリスクが高い状態。このまま適切なケアが行われない場合、皮膚の損傷や感染リスクが増大する可能性がある。
P(計画)体位変換を2時間ごとに行い、圧迫部位の血流を確保する。
体圧分散用マットレスやクッションを使用し、皮膚への圧迫を最小限に抑える。
皮膚を清潔かつ乾燥した状態に保つため、入浴やおむつ交換後のケアを徹底する。
保湿剤を使用して皮膚の乾燥を防ぎ、皮膚の耐久性を向上させる。
栄養状態を改善するため、バランスの取れた食事を提供し、必要に応じて栄養補助食品を使用する。
摩擦やずれを防ぐため、移動時にスライディングシートを使用し、適切な介助を行う。
褥瘡予防の重要性について保護者に教育し、日常生活での皮膚観察や体位変換の方法を指導する。
皮膚の状態を定期的に観察し、褥瘡の初期兆候(例:発赤、硬結)を早期に発見する。
リスクが継続している場合、医師や皮膚・創傷ケア専門家と連携し、予防および治療計画を立てる。
心理的なサポートを提供し、小児と保護者が安心してケアに取り組めるよう支援する。

類②-新生児褥瘡

コード:00287

定義
新生児の皮膚や下層組織に、圧迫または圧力と剪断力(ずれ力)が相まった結果、限局性の損傷がある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
新生児褥瘡
S(主観的情報)※新生児は主観的な訴えができないため、保護者の観察や医療者の記録を基に記載
「赤ちゃんのお尻や背中が赤くなっています。」「体の一部に跡がついているように見えます。」
O(客観的情報)仙骨部、踵、後頭部など、圧迫を受けやすい部位に発赤や皮膚損傷が確認される場合がある。
長時間の仰臥位や特定の体位固定による圧迫が観察される。
新生児の皮膚は薄く、バリア機能が未熟であり、摩擦や湿潤により損傷しやすい状態。
未熟児や低出生体重児の場合、皮膚の脆弱性がさらに高い。
おむつの摩擦や湿潤、適切なスキンケアの不足が褥瘡の発生を助長している可能性がある。
A(評価)新生児の皮膚は未熟であり、長時間の圧迫や摩擦、湿潤により褥瘡が発生している状態。このままでは感染やさらなる皮膚損傷のリスクが高まる可能性がある。
P(計画)圧迫を軽減するため、体位変換を頻繁に行い、特に頭部や仙骨部の負担を軽減する。
体圧分散のため、柔らかいマットレスやクッションを使用し、圧迫部位を保護する。
おむつ交換をこまめに行い、皮膚を清潔で乾燥した状態に保つ。必要に応じてバリアクリームを使用する。
皮膚の摩擦を防ぐため、柔らかい素材のシーツや衣類を選び、シワを伸ばして使用する。
未熟児や低出生体重児の場合、皮膚を保護するために専用のケア用品を使用し、過度な刺激を避ける。
保護者に新生児の皮膚ケアの重要性を説明し、適切なケア方法(例:保湿、清潔保持)を指導する。
褥瘡の進行を防ぐため、皮膚の状態を定期的に観察し、発赤や損傷の進行が見られた場合には迅速に対応する。
感染の兆候(例:発赤の拡大、膿の排出)がある場合は医師と連携し、治療を開始する。
新生児および保護者に安心感を与えるよう支援し、ケアの中で負担を最小限にする配慮を行う。

類②-新生児褥瘡リスク状態

コード:00288

定義
新生児の皮膚や下層組織に、圧迫または圧力と剪断力(ずれ力)が相まった結果、限局性の損傷が起こりやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
新生児褥瘡リスク状態
S(主観的情報)※新生児は主観的な訴えができないため、保護者の観察や医療者の記録を基に記載
「長時間同じ姿勢で寝かせているので、皮膚が心配です。」「おむつを替えたときに肌が赤くなりそうな感じがします。」
O(客観的情報)長時間の仰臥位や体位固定により、仙骨部、後頭部、踵などに圧迫がかかりやすい状況。
新生児の皮膚は薄くバリア機能が未熟であり、摩擦や湿潤による損傷リスクが高い。
未熟児や低出生体重児の場合、皮膚の脆弱性がさらに高い状態。
おむつや衣類の摩擦、湿潤が皮膚に負担をかける要因となっている。
保護者やケア提供者のスキンケアの知識が不足している可能性がある。
A(評価)新生児の皮膚は圧迫や摩擦、湿潤に対して脆弱であり、褥瘡が発生するリスクが高い状態。この状態を放置すると、皮膚損傷や感染症が発生する可能性がある。
P(計画)体位変換を頻繁に行い、圧迫部位を定期的に解放する(例:2〜3時間ごと)。
柔らかいマットレスや圧迫を軽減するクッションを使用して、皮膚への負担を最小限に抑える。
おむつを頻繁に交換し、皮膚を清潔で乾燥した状態に保つ。必要に応じてバリアクリームを使用する。
保湿剤を用いて皮膚の乾燥を防ぎ、皮膚の耐久性を向上させる。
摩擦を避けるため、柔らかい素材のシーツや衣類を使用し、シワを伸ばして使用する。
保護者に対し、皮膚の状態を観察する重要性を説明し、褥瘡予防の基本的なケア方法(例:体位変換、適切な保湿)を指導する。
皮膚の異常(例:発赤、硬化)が見られた場合は、早期に報告するよう保護者に教育する。
新生児の皮膚ケアを継続的にモニタリングし、必要に応じて医師や皮膚ケア専門家と連携してケア計画を調整する。
心理的な支援を提供し、保護者が安心して適切なケアを実施できるようサポートする。

類②-ショックリスク状態

コード:00205

定義
細胞機能障害につながる可能性のある、組織への不十分な血液供給が起こりやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
ショックリスク状態
S(主観的情報)「気分が悪くなることがあって、何か重大なことが起きないか心配です。」「疲れやすく、立ちくらみがすることがあります。」
O(客観的情報)ショックのリスクを高める因子(例:重篤な感染症、外傷、大量出血)が確認される。
バイタルサインに不安定さが見られる場合がある(例:血圧低下、脈拍数増加)。
血液検査や画像診断で、ショックの前兆となる異常(例:低血糖、電解質異常、貧血)が確認されることがある。
病態(例:心筋梗塞、敗血症、アナフィラキシー)の存在が推測される場合がある。
手術後、侵襲的処置後、または重篤な疾患の急性期であり、血液循環の不安定性がリスクを増加させている。
A(評価)循環血液量の低下、心機能の障害、または感染症の重症化などにより、ショックが発生するリスクが高い状態。このリスクが放置されると、重要臓器への血流低下により生命に危険を及ぼす可能性がある。
P(計画)バイタルサイン(例:血圧、心拍数、呼吸数、SpO2)を定期的に測定し、変化を迅速に察知する。
水分補給を促進し、循環血液量を維持する(必要に応じて点滴の準備を行う)。
ショックの原因となる疾患や病態(例:感染症、出血)の治療を優先し、医師と連携する。
必要に応じて血液検査や画像診断を実施し、病態の進行をモニタリングする。
ベッド上安静を保ち、身体的負担を軽減することで、循環動態の安定化を図る。
アナフィラキシーリスクがある場合、アドレナリン自己注射器(エピペン)の使用方法を指導し、すぐに使用できるよう準備する。
本人および家族に対してショックの初期兆候(例:冷感、めまい、意識レベルの低下)を教育し、早期発見と対応を促す。
状況に応じて酸素投与や医師の指示による薬物療法を準備する。
進捗を継続的にモニタリングし、ショック発生のリスクが低下しているか評価しながら計画を調整する。

類②-皮膚統合性障害

コード:00046

定義
皮膚と真皮の両方またはどちらか一方が変化した状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
皮膚統合性障害
S(主観的情報)「皮膚がヒリヒリして痛いです。」「体を動かすと傷口が開きそうで不安です。」
O(客観的情報)皮膚の連続性が損なわれ、創傷、裂傷、びらん、または潰瘍が確認される。
発赤、浮腫、滲出液、または壊死組織の存在が観察される場合がある。
皮膚周囲の感染兆候(例:膿、悪臭、発熱)が見られる場合がある。
圧迫や摩擦、湿潤による皮膚損傷が発生している可能性がある(例:褥瘡、摩擦や湿疹)。
栄養状態の低下や慢性疾患(例:糖尿病、動脈硬化)が皮膚の回復を妨げる要因となっている。
A(評価)皮膚の連続性が損なわれ、損傷が進行するリスクがある状態。このままでは感染や組織壊死、さらには全身的な合併症に発展する可能性がある。
P(計画)皮膚損傷部位を清潔に保ち、適切なドレッシング材を使用して保護する。
滲出液の量や創傷の大きさに応じて、吸収力の高いドレッシング材や抗菌性ドレッシング材を選択する。
必要に応じて、感染予防のために抗生物質の使用を医師と相談する。
摩擦や圧迫を防ぐため、圧迫部位の除圧や体位変換を定期的に行う。
栄養状態を改善し、皮膚の治癒を促進するため、十分なタンパク質やビタミンを含むバランスの取れた食事を提供する。
創傷周囲の皮膚を保護するため、保湿剤を使用し、乾燥や裂けを予防する。
皮膚損傷の進行を防ぐため、創傷の状態(例:発赤、浮腫、滲出液)を定期的にモニタリングする。
痛みがある場合は、医師と相談し、適切な鎮痛薬の使用を検討する。
本人および家族に対して、適切な創傷ケア方法や感染の兆候を早期に発見する重要性を教育する。
経過を評価し、皮膚の回復状況に応じてケア計画を見直しながら支援を続ける。

類②-皮膚統合性障害リスク状態

コード:00047

定義
表皮と真皮の両方またはどちらか一方に変化が起こりやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
皮膚統合性障害リスク状態
S(主観的情報)「皮膚が乾燥していて、少しひび割れそうな感じがします。」「体を動かすときに摩擦で皮膚が傷つかないか心配です。」
O(客観的情報)皮膚の乾燥、薄さ、または弾力性の低下が確認されている。
長時間の臥床または車椅子使用により、圧迫や摩擦がかかりやすい部位がある(例:仙骨部、踵、肘)。
栄養状態の低下(例:低アルブミン血症、体重減少)が皮膚の回復能力を低下させている可能性がある。
既往歴として糖尿病、末梢血流障害、または皮膚疾患があり、皮膚損傷のリスクが高い。
高齢や免疫機能の低下により、皮膚の回復能力が低下している場合がある。
A(評価)皮膚が外部刺激(例:圧迫、摩擦、湿潤)や内的要因(例:栄養不良、循環不全)に対して脆弱な状態にあり、皮膚統合性が損なわれるリスクが高い。この状態を放置すると、創傷や感染の発生につながる可能性がある。
P(計画)皮膚の乾燥を防ぎ、保湿剤を使用して皮膚の弾力性と耐久性を向上させる。
長時間同じ体位で過ごす場合は、体位変換を2時間ごとに行い、圧迫を軽減する。
体圧分散用マットレスやクッションを使用し、特に圧迫がかかりやすい部位を保護する。
バランスの取れた食事を提供し、タンパク質やビタミンC、亜鉛など、皮膚の健康を支える栄養素を十分に摂取できるよう支援する。
摩擦やずれを防ぐため、移動時にはスライディングシートや適切な介助方法を活用する。
皮膚の状態を定期的に観察し、発赤や圧痕、乾燥の進行を早期に発見して対応する。
本人および家族に皮膚ケアの重要性を教育し、適切なケア方法(例:清潔保持、保湿)を指導する。
必要に応じて医療チームと連携し、皮膚の脆弱性に応じた治療計画を策定する。
経過を継続的にモニタリングし、皮膚損傷のリスクが軽減しているか評価しながらケア計画を調整する。

類②-乳児突然死リスク状態

コード:00156

定義
乳児に予期せぬ死が起こりやすい状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
乳児突然死リスク状態
S(主観的情報)※乳児は主観的に訴えることができないため、保護者の観察や訴えを記載
「寝ているときの呼吸が浅いように感じて心配です。」「うつぶせ寝が良くないと聞いて、不安になります。」
O(客観的情報)生後6か月未満であり、乳児突然死症候群(SIDS)のリスクが高い月齢に該当している。
仰臥位ではなくうつぶせ寝や側臥位での就寝が観察される場合がある。
就寝環境に柔らかい寝具、枕、ぬいぐるみがあり、窒息や呼吸困難を引き起こすリスクがある。
両親または家族に喫煙習慣がある場合、乳児のリスクが高まる要因となる。
早産児や低出生体重児、または上気道感染の既往があり、呼吸機能が弱い場合がある。
A(評価)睡眠中の体位や就寝環境、家族の生活習慣により乳児突然死症候群のリスクが高い状態。このままでは、適切な予防策が取られない場合、SIDSの発生につながる可能性がある。
P(計画)安全な睡眠環境を整えるため、仰臥位で寝かせるよう保護者に指導する。
寝具を安全に保つため、柔らかい布団、枕、ぬいぐるみは乳児の周囲に置かないよう助言する。
就寝時には、乳児の顔が隠れないように寝具を調整し、過剰な保温を避ける。
保護者に禁煙を促し、乳児が受動喫煙にさらされないよう生活環境を整える。
乳児の睡眠中の様子をモニタリングし、呼吸が正常であることを確認する。
早産児や低出生体重児などリスクが高い乳児の場合、定期的な小児科受診を促し、必要に応じてモニタリング機器(例:呼吸モニター)の使用を提案する。
乳児が体調を崩している場合(例:上気道感染)、就寝時の安全を確保するために追加の観察やケアを行う。
SIDSのリスクについて保護者に教育し、安全な睡眠環境の提供が乳児の健康を守るために重要であることを説明する。
進捗をモニタリングし、睡眠環境や生活習慣の改善が適切に行われているか確認し、計画を調整する。

類②-窒息リスク状態

コード:00036

定義
吸入する空気が不十分になりやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
窒息リスク状態
S(主観的情報)※本人が直接訴えることが難しい場合、保護者や介護者の発言を記載
「食事中にむせることがあり、喉に詰まらないか心配です。」「赤ちゃんが小さなものを口に入れそうで怖いです。」
O(客観的情報)食事中のむせや咳込みが頻繁に見られる場合がある。
誤嚥のリスクが高い状況(例:嚥下機能の低下、食形態が適切でない)にある。
小児の場合、飲み込む危険がある小さな物品(例:玩具の部品、硬貨)が周囲にある。
高齢者や神経疾患の既往がある場合、嚥下反射が低下している可能性がある。
寝たきりや介助が必要な状態で、誤嚥性肺炎や食べ物の詰まりのリスクがある。
A(評価)飲食物や異物による気道閉塞のリスクが高い状態。この状態が続くと、窒息や命に関わる重篤な状況につながる可能性がある。
P(計画)嚥下機能を評価し、適切な食形態(例:とろみ食、刻み食)を提供する。
食事中は適切な姿勢(例:椅子に座って顎を軽く引いた姿勢)を保つように指導する。
小児が誤飲しやすい物品を手の届かない場所に置き、安全な環境を整える。
必要に応じて、嚥下訓練やリハビリを実施し、飲み込み能力を改善する。
保護者や介護者に、窒息のサイン(例:顔面蒼白、呼吸困難)と対応方法(例:背部叩打法、ハイムリック法)を教育する。
定期的に窒息リスクを評価し、食事の際の状況や周囲環境を観察する。
喉に詰まりやすい食品(例:ナッツ、硬いキャンディ)の摂取を避けるよう助言する。
本人の病状に応じて、モニタリング機器(例:酸素飽和度モニター)を利用することを検討する。
進捗を確認し、嚥下機能や環境整備の状況に応じてケア計画を調整する。

類②-術後回復遅延

コード:00100

定義
手術後に、生命・健康・ウェルビーイングを維持する活動を、開始および実行するまでに必要な日数が延長している状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
術後回復遅延
S(主観的情報)「手術後の痛みがまだ続いていて、動きたくない感じがします。」「回復が遅いような気がして不安です。」
O(客観的情報)手術後の回復に影響を与える因子(例:感染症、炎症、貧血、栄養不良)が確認される。
創部の治癒が遅れており、発赤、腫脹、滲出液の増加が見られる場合がある。
バイタルサイン(例:体温、心拍数)に異常があり、炎症または感染が示唆される。
活動量が低下し、リハビリの進行が滞っている。
精神的ストレスや手術への恐怖感が回復を妨げている可能性がある。
A(評価)術後の回復が遅れており、身体的、心理的、または環境的な因子が影響している。この状態が続くと、合併症のリスクが増加し、回復の遅延がさらに進む可能性がある。
P(計画)術後の痛みを適切にコントロールするため、鎮痛薬の使用を医師と相談し、痛みの軽減を図る。
創部の状態をモニタリングし、感染や炎症の兆候があれば早期に対応する。
栄養状態を改善するため、高タンパク質やビタミン、ミネラルを豊富に含む食事を提案し、必要に応じて栄養補助食品を利用する。
適切なリハビリテーションプログラムを提供し、活動量を段階的に増やすことで身体機能の回復を促進する。
本人および家族に対し、術後回復における生活管理(例:適切な休息と活動のバランス)の重要性を説明する。
心理的なサポートを提供し、不安感を軽減するための対話やカウンセリングを実施する。
水分摂取を促進し、血液循環を改善して治癒をサポートする。
術後合併症(例:血栓症、肺炎)のリスクを軽減するため、深呼吸運動や足の運動を指導する。
経過を定期的に評価し、回復状況に応じてケア計画を調整する。

類②-術後回復遅延リスク状態

コード:00246

定義
手術後に、生命・健康・ウェルビーイングを維持する活動を、開始および実行するまでに必要な日数が延長しやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
術後回復遅延リスク状態
S(主観的情報)「手術の後、ちゃんと回復できるか不安です。」「以前、回復に時間がかかったことがあるので心配です。」
O(客観的情報)手術の種類や範囲が広く、回復に時間がかかる可能性が高い。
高齢、栄養不良、糖尿病、肥満、喫煙、免疫力低下などのリスク因子が確認される。
バイタルサインが不安定で、炎症や感染の兆候(例:発熱、心拍数増加)が認められる場合がある。
活動量の低下やリハビリテーションへの参加意欲が低い。
術後の心理的ストレスや不安感が回復を妨げる要因となっている可能性がある。
A(評価)身体的、心理的、環境的な要因により、術後の回復が遅れるリスクが高い状態。このままでは、合併症やQOLの低下を引き起こす可能性がある。
P(計画)術後の感染リスクを低減するため、創部ケアを徹底し、清潔を保つ方法を指導する。
栄養状態を改善するため、術後の必要栄養素(例:タンパク質、ビタミンC、亜鉛)を含む食事計画を立てる。必要に応じて栄養補助食品を活用する。
適切な鎮痛管理を行い、痛みを軽減して活動しやすい状態を作る。
深呼吸運動や足の運動を指導し、血栓症や肺炎などの術後合併症を予防する。
段階的にリハビリテーションを進め、術後早期の身体活動を促進する。
本人および家族に対して、術後回復の目標と見通しを共有し、不安の軽減を図る。
心理的サポートを提供し、ストレス軽減やリハビリ参加意欲を高めるためのカウンセリングを実施する。
定期的にバイタルサインや身体機能の回復状況を評価し、リスクの進行を早期に発見する。
必要に応じて、リスク因子に対処するために医療チーム(例:栄養士、理学療法士、心理士)と連携する。
術後の回復計画を継続的にモニタリングし、リスクが軽減されているか確認しながら調整を行う。

類②-組織統合性障害

コード:00044

定義
粘膜、角膜、外皮系、筋膜、腱、骨、軟骨、関節包、靭帯に損傷がある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
組織統合性障害
S(主観的情報)「傷口が痛くて、少し腫れている感じがします。」「体を動かすと縫った部分が開きそうで心配です。」
O(客観的情報)組織の損傷や治癒遅延が確認される(例:創部の発赤、腫脹、滲出液の増加)。
創傷周囲に感染兆候(例:膿、悪臭、局所的な熱感)が見られる場合がある。
組織の回復を妨げる因子(例:糖尿病、栄養不良、免疫低下)が存在する。
血流不全や圧迫による組織壊死の兆候(例:紫色の変色、壊死部位)が確認される場合がある。
バイタルサインの変化(例:発熱、心拍数増加)が全身的な炎症を示唆することがある。
A(評価)組織の損傷が進行しており、感染、壊死、さらには治癒遅延が懸念される状態。この状態を放置すると、合併症や全身状態の悪化につながる可能性がある。
P(計画)創部の清潔を保ち、適切なドレッシング材を選択して創傷を保護する。
滲出液の量や性状に応じて、吸収力の高いドレッシング材や抗菌性ドレッシング材を使用する。
感染リスクがある場合、医師と連携して適切な抗生物質の使用を検討する。
栄養状態を改善し、創傷治癒を促進するために高タンパク質、ビタミンC、亜鉛を含む食事を推奨する。
圧迫や摩擦を最小限にするため、体位変換や適切な寝具の使用を行う。
定期的に創部の状態(例:発赤、滲出液、痛み)を観察し、変化を迅速に察知して対応する。
組織の回復を妨げる因子(例:高血糖、喫煙)に対する対策を実施し、全身状態を整える。
痛みがある場合は、適切な鎮痛管理を行い、患者の快適さを向上させる。
創傷管理やスキンケアについて本人および家族に教育し、自宅でのケアが適切に行われるよう支援する。
必要に応じて創傷ケア専門家やリハビリスタッフと連携し、包括的なケア計画を立案する。

類②-組織統合性障害リスク状態

コード:00248

定義
粘膜、角膜、外皮系、筋膜、腱、骨、軟骨、関節包、靭帯に損傷が起こりやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
組織統合性障害リスク状態
S(主観的情報)「手術後の傷口が開かないか心配です。」「肌が乾燥していて、ひび割れそうな感じがします。」
O(客観的情報)組織統合性に影響を与える要因(例:手術後、外傷後、侵襲的処置後)が確認される。
皮膚や組織が脆弱で、乾燥、湿潤、または弾力の低下が見られる。
血流不全(例:糖尿病、動脈硬化)、栄養不良(例:低アルブミン血症、体重減少)が確認される場合がある。
高齢、免疫力低下、喫煙など、組織回復を妨げるリスク因子が存在する。
長時間の圧迫や摩擦が発生しやすい部位(例:仙骨部、肘、踵)に圧痕が確認されることがある。
A(評価)皮膚や組織の脆弱性が高く、外部刺激や全身的な要因により、組織統合性が損なわれるリスクが高い状態。このリスクが放置されると、創傷の発生や治癒遅延につながる可能性がある。
P(計画)皮膚の乾燥を防ぎ、保湿剤を使用して皮膚の弾力性と耐久性を高める。
創部の保護を目的とし、適切なドレッシング材やサポート具を使用する。
体圧分散用マットレスやクッションを使用し、圧迫がかかりやすい部位を保護する。
バランスの取れた食事を提供し、特にタンパク質、ビタミンC、亜鉛など、組織修復に必要な栄養素を十分に摂取できるよう支援する。
摩擦やずれを防ぐため、移動時にスライディングシートを使用し、適切な介助を行う。
血流不全がある場合、足浴やマッサージなどを取り入れ、血行促進を図る。
組織の回復を妨げる因子(例:喫煙、高血糖)に対して適切な管理を行う。
皮膚や創部の状態を定期的に観察し、異常の早期発見に努める。
本人および家族に、組織損傷リスクの要因と予防策(例:体位変換、保湿ケア)の重要性を教育する。
必要に応じて医療チームや創傷ケア専門家と連携し、リスク管理計画を調整する。

類③-女性器切除リスク状態

コード:00272

定義
文化、宗教、その他のさまざまな非治療的理由による、女性の外性器および他の生殖器のすべてあるいは部分的な切除を受けやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
女性器切除リスク状態
S(主観的情報)「以前に子宮の病気で手術を勧められたことがあり、不安があります。」「女性特有の手術が必要になるかもしれないと聞いて怖いです。」
O(客観的情報)女性器切除のリスクを高める疾患が確認されている(例:子宮筋腫、卵巣腫瘍、重度の子宮内膜症、悪性腫瘍)。
既往歴として婦人科疾患や関連する手術歴がある場合がある。
婦人科疾患の進行が確認され、保存療法では効果が見られない可能性がある。
手術に関連する心理的負担(例:不安、恐怖、抑うつ)が本人の言動や表情から読み取れる。
医師による外科的介入の説明が行われているが、患者や家族が理解しきれていない可能性がある。
A(評価)婦人科疾患や関連する身体的要因、また心理的な不安が、女性器切除のリスクを高めている状態。このまま進行すると、身体的影響だけでなく心理的苦痛や生活の質の低下につながる可能性がある。
P(計画)婦人科疾患の進行状況をモニタリングし、早期発見と対応を促進する。
保存的治療法(例:薬物療法、ホルモン療法)の効果を最大限引き出すために、治療計画を徹底する。
手術の必要性が高まる場合、医師と連携し、切除の適応と予後について患者および家族に丁寧に説明する。
患者が抱える心理的な不安を軽減するため、カウンセリングやサポートグループの利用を提案する。
術後の生活に関する情報を提供し、女性器切除が身体的および心理的にどのような影響を及ぼすか理解を深める支援を行う。
栄養状態や全身の健康を維持するため、バランスの取れた食事や適度な運動を推奨する。
リスクを継続的に評価し、状況に応じてケア計画を柔軟に見直す。
本人や家族に、治療選択肢や予防的なケアについて教育し、自身で決定するための情報提供を行う。
医療チームと連携し、切除が必要となる場合でも術前・術後のケアを万全に整え、患者のQOLを維持する。

類③-対他者暴力リスク状態

コード:00138

定義
他者に対して、身体的・情動的・性的に害を及ぼすような行動をとりやすい状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
対他者暴力リスク状態
S(主観的情報)「最近イライラが止まらなくて、人と話すときに声が荒げてしまいます。」「感情をコントロールできないときがあって、自分でも怖いです。」
O(客観的情報)他者に対して怒りや敵意を示す言動が観察される(例:大声を上げる、物に当たる)。
感情の抑制が困難で、衝動的な行動が目立つ。
対人関係でのトラブルが頻発し、暴力に発展する可能性が示唆される。
精神疾患(例:統合失調症、双極性障害)、薬物依存、またはアルコール乱用の既往が確認される場合がある。
外的要因(例:生活上のストレス、経済的問題)が本人の心理的安定に影響を与えている可能性がある。
A(評価)感情制御の困難さ、対人ストレス、精神的または環境的要因により、他者に対する暴力行為が発生するリスクが高い状態。このままでは、暴力行為による他者や本人の安全の損害が懸念される。
P(計画)感情を適切に表現する方法を学ぶため、カウンセリングやストレス管理プログラムを提供する。
怒りのトリガーを特定し、その場を回避または適切に対処する方法を本人に教育する。
精神的安定を促進するため、必要に応じて精神科医と連携し、適切な薬物療法を検討する。
本人が暴力的衝動をコントロールできるよう、リラクゼーション技術(例:深呼吸、瞑想)を指導する。
暴力行為の可能性がある場合、即座に安全な環境を確保し、他者や本人の保護を優先する。
本人の生活環境やストレス要因を評価し、支援が必要な部分(例:経済的支援、家庭内サポート)を特定して介入する。
家族や周囲の人々に、本人の状況と安全確保の重要性を説明し、適切な協力を得る。
進捗をモニタリングし、暴力リスクの軽減を継続的に評価しながら、ケア計画を調整する。
本人の前向きな行動を強化するため、リワード(報酬)を設定し、良い行動を持続させる支援を行う。

類③-対自己暴力リスク状態

コード:00140

定義
自分に対して、身体的・情動的・性的に害を及ぼすような行動をとりやすい状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
対自己暴力リスク状態
S(主観的情報)「自分が嫌でたまらないときがあります。」「誰にも迷惑をかけたくない気がして、どうしたらいいかわからない。」
O(客観的情報)自己否定的な発言や無価値感を訴える言動が観察される。
自傷行為の兆候(例:リストカットの痕、意図的な身体への傷害)が確認される場合がある。
感情が不安定で、抑うつ症状(例:意欲低下、食欲不振、睡眠障害)が見られる。
既往歴として、うつ病、パーソナリティ障害、トラウマ体験が確認されている場合がある。
ストレスや孤独感、家庭内トラブルなど、心理的負担が増加している状況。
A(評価)抑うつ感、自己否定感、孤立感が強まり、自己に対する暴力行為が発生するリスクが高い状態。この状態を放置すると、自傷やさらなる心理的悪化が懸念される。
P(計画)安全を最優先に考え、自己暴力の具体的なリスクについて本人と話し合い、危機回避の計画を立てる。
感情を適切に表現するためのカウンセリングや心理療法(例:認知行動療法)を提供する。
家族や支援者に本人の状況を説明し、適切な支援体制を整える。
緊急時に備え、連絡先や24時間利用可能な支援機関(例:相談窓口、ホットライン)を共有する。
精神的安定を促進するため、必要に応じて精神科医と連携し、適切な薬物療法を検討する。
本人が自分の感情や状況を振り返り、前向きな解決策を見つけられるよう、日記や表現活動を提案する。
生活リズムを整え、バランスの取れた食事や適度な運動を取り入れることで、心身の健康を向上させる。
自己暴力行為が発生しないよう、危険な物品(例:刃物、薬物)へのアクセスを制限する環境を整える。
進捗を定期的に確認し、リスクの軽減状況を評価しながらケア計画を調整する。
本人が小さな成功体験を積み重ねられるよう、ポジティブな取り組みを支援し、自尊感情を回復する助けとなる活動を奨励する。

類③-自傷行為

コード:00151

定義
緊張を和らげるために、致命傷にならないように意図的に自分を傷つけ、組織にダメージを与える行動

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
自傷行為
S(主観的情報)「イライラや悲しい気持ちが抑えられないとき、自分を傷つけてしまいます。」「やめたいけど、これしか気持ちを落ち着ける方法がわかりません。」
O(客観的情報)手首や腕、太ももなど、意図的に傷つけたと推測される切り傷や擦り傷、瘢痕が確認される。
自傷行為の後に達成感や解放感を得ると話している場合がある。
感情の不安定さ(例:抑うつ、不安、怒り)が見られる。
既往歴として、うつ病、パーソナリティ障害、トラウマ体験が確認されることがある。
対人関係の困難や孤立感、ストレスの多い生活環境が観察される。
A(評価)ストレスや感情のコントロールが難しく、自傷行為がストレス対処の手段となっている状態。このままでは、身体的損傷や心理的悪化が進行するリスクが高い。
P(計画)安全の確保を最優先に考え、自傷行為のリスクを軽減する環境を整える(例:刃物や危険な物品へのアクセスを制限)。
本人の感情を適切に表現し、ストレスを対処するための心理療法(例:認知行動療法、弁証法的行動療法)を提供する。
自傷行為以外のストレス管理手段(例:リラクゼーション、深呼吸、アートや音楽などの表現活動)を提案する。
本人が支援を受け入れやすくするため、非批判的で共感的な態度で接する。
必要に応じて、精神科医や心理士と連携し、適切な薬物療法を検討する。
本人が孤立しないよう、家族や友人、支援団体とのつながりを強化する。
緊急時に備え、24時間利用可能な相談窓口や支援機関の連絡先を本人に提供する。
自傷行為の代わりとなるポジティブな行動や習慣を形成するため、小さな成功体験を積み重ねられる環境を整える。
定期的に進捗をモニタリングし、本人の気持ちの変化や自傷行為の頻度を評価しながらケア計画を調整する。
心理的な回復を促すため、本人が自己価値を認識し、前向きな行動を取れるようにサポートする。

類③-自傷行為リスク状態

コード:00139

定義
緊張を和らげるために、致命傷にならないように意図的に自分を傷つけ、組織にダメージを与える行動が起こりやすい状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
自傷行為リスク状態
S(主観的情報)「最近、自分のことが嫌になってしまいます。」「イライラが抑えられなくて、どうしたらいいのかわからないです。」
O(客観的情報)自己否定的な発言や感情の不安定さ(例:涙を流しやすい、突然怒る)が見られる。
抑うつや不安症状(例:意欲低下、食欲不振、睡眠障害)が確認される場合がある。
対人関係のトラブルや孤立感が観察される。
過去に自傷行為の既往があり、再発の可能性が示唆される。
生活環境やストレス因子(例:家庭内問題、学校や職場でのトラブル)が心理的負担となっている。
A(評価)自己否定感、ストレス、孤立感が強まり、自傷行為を行うリスクが高い状態。この状態を放置すると、身体的な損傷や心理的悪化に発展する可能性がある。
P(計画)本人と対話を重ねて信頼関係を構築し、自傷行為について話しやすい環境を作る。
本人が感情を適切に表現できるように、カウンセリングやストレス管理の技術(例:深呼吸、マインドフルネス)を提供する。
危険な物品(例:刃物、薬物)へのアクセスを制限することで、自傷行為のリスクを軽減する環境を整える。
必要に応じて、精神科医や心理士と連携し、抑うつや不安症状に対処するための薬物療法や心理療法を検討する。
本人が自分の価値を再認識できるよう、小さな成功体験を積み重ねられる活動を支援する(例:趣味、創作活動)。
ストレス因子を軽減するため、家族や学校、職場との調整を行い、支援体制を整える。
本人および家族に、自傷行為のリスクサイン(例:感情の爆発、孤立)と対応方法を教育し、適切な支援を促す。
緊急時に備え、24時間対応可能な相談窓口や支援機関の連絡先を本人に共有する。
心理的サポートを継続し、リスクが軽減しているかを定期的にモニタリングし、計画を柔軟に調整する。
本人が前向きな行動を取れるよう、非批判的で温かい態度でサポートを続ける。

類③-自殺行動リスク状態

コード:00289

定義
死ぬ意図をある程度伴う、自傷行為が起こりやすい状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
自殺行動リスク状態
S(主観的情報)「生きている意味がわからないと感じることがあります。」「もう疲れました。すべて終わりにしたいと思うときがあります。」
O(客観的情報)自己否定的な発言や死に対する示唆(例:「消えたい」「誰にも迷惑をかけたくない」)が見られる。
抑うつ症状(例:意欲低下、不眠、食欲不振、体重減少)が顕著である。
自殺行動のリスクを高める因子(例:既往歴としての自殺未遂、精神疾患、薬物乱用)が確認される。
孤立感や社会的支援の欠如(例:家族や友人との疎遠)が観察される。
身辺整理や遺書の作成など、具体的な準備行動が示唆される場合がある。
A(評価)抑うつ感、孤立感、生活上のストレスが強まり、自殺行動に至るリスクが高い状態。この状態が放置されると、生命に関わる危機的状況に進展する可能性がある。
P(計画)本人の安全を最優先に確保するため、具体的な自殺行動の計画の有無を慎重に評価し、必要に応じて医療機関に緊急対応を要請する。
危険な物品(例:薬物、刃物、ロープ)へのアクセスを制限し、安全な環境を整える。
本人と信頼関係を築き、非批判的な態度で感情や考えを聞き取る場を提供する。
家族や友人に状況を説明し、本人への適切なサポート体制を構築する。
専門的な治療を受けられるよう、精神科医や心理士と連携し、必要に応じて薬物療法やカウンセリングを開始する。
24時間利用可能な相談窓口や支援団体(例:自殺防止ホットライン)の情報を提供し、緊急時の対応手段を確保する。
本人が孤立感を軽減できるよう、趣味や興味を共有できる集団活動を提案する。
心理的な支援を継続し、自尊感情を高めるための小さな目標を設定し、成功体験を重ねられるよう支援する。
リスクの変化を定期的に評価し、必要に応じてケア計画を調整する。
本人が前向きな感情を持てるよう、希望の回復に向けて温かく共感的な対応を続ける。

類④-汚染

コード:00181

定義
健康に悪影響を及ぼす量の環境汚染物質への曝露

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
汚染
S(主観的情報)「最近、感染症が心配で落ち着きません。」「手が汚れている気がして何度も洗っています。」
O(客観的情報)感染源に曝露された可能性(例:汚染された水や食品、環境)がある。
手洗いや消毒の頻度が高く、皮膚の乾燥や炎症が見られる場合がある。
不安や強迫的行動(例:繰り返しの消毒、過度な清掃)が確認される。
環境や身体が清潔であるにもかかわらず、汚染への過剰な懸念を訴えている。
既往歴として、不安障害や強迫性障害の診断が確認される場合がある。
A(評価)実際の汚染または汚染の恐怖により、不安や強迫行動が発生している状態。このままでは心理的負担が増大し、日常生活や健康に悪影響を及ぼす可能性がある。
P(計画)汚染リスクの実際の程度を評価し、適切な情報提供を行い、不安を軽減する。
感染予防に必要な手洗いや清潔保持の方法を具体的に指導し、過度な行動を抑えるよう支援する。
心理的なサポートを提供し、カウンセリングやストレス管理技術(例:深呼吸、マインドフルネス)を導入する。
必要に応じて、精神科医と連携し、不安を軽減するための薬物療法(例:抗不安薬)の検討を行う。
本人が日常生活の中で汚染に対する恐怖を克服できるよう、小さな目標を設定して段階的に取り組む。
汚染リスクが実際に高い場合(例:感染症の流行、汚染された環境の確認)、環境改善や感染予防対策を徹底する。
本人および家族に、汚染リスクや感染予防について正確な情報を共有し、過剰な行動を防ぐ。
定期的に不安や強迫行動の変化をモニタリングし、心理的・行動的な進展に応じて計画を調整する。
本人が安心感を持てるよう、非批判的で共感的な態度で対応を続ける。

類④-汚染リスク状態

コード:00180

定義
健康に悪影響を及ぼす量の環境汚染物質への曝露が起こりやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
汚染リスク状態
S(主観的情報)「手術後に感染しないか心配です。」「調理中に食品が傷んでいないか不安です。」
O(客観的情報)感染や汚染のリスクを高める因子(例:侵襲的医療処置、免疫力低下、傷口)が確認される。
環境や食品の衛生状態にリスク要因がある(例:適切に消毒されていない器具、腐敗しやすい食品)。
既往歴として慢性疾患(例:糖尿病、腎不全)があり、感染抵抗力が低下している可能性がある。
手洗いや環境清掃が不十分な場合がある。
感染症流行地域への旅行歴、または感染者との接触が確認される場合がある。
A(評価)身体的、環境的、または社会的な要因により、病原体への曝露や感染拡大のリスクが高い状態。このまま適切な予防策が取られない場合、健康に重大な影響を及ぼす可能性がある。
P(計画)汚染や感染を防ぐため、手洗いの適切な方法や頻度を教育し、実践を促す。
食品の衛生管理を徹底するため、保存、調理、提供時の注意点(例:適切な温度管理、消毒)を指導する。
侵襲的処置や傷口がある場合は、適切なドレッシング材や消毒薬を使用し、清潔を保つよう指導する。
環境の衛生を維持するため、定期的な清掃や消毒を実施し、リスク要因を取り除く。
本人および家族に、感染予防策(例:予防接種、適切なマスク着用)の重要性を説明し、実践を支援する。
免疫力を向上させるため、バランスの取れた食事や十分な睡眠、適度な運動を推奨する。
感染症の兆候(例:発熱、創部の異常な分泌物)について早期に認識し、医療機関への相談を促す。
地域や施設の感染症流行情報を収集し、状況に応じた感染対策を計画する。
汚染リスクの変化を定期的に評価し、予防策の有効性を確認しながらケア計画を調整する。
本人が安心して感染予防に取り組めるよう、非批判的かつ支援的な態度で対応する。

類④-労働災害リスク状態

コード:00265

定義
仕事関連の事故や病気が起こりやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
労働災害リスク状態
S(主観的情報)「仕事中にケガをしないか不安です。」「職場の安全対策が十分ではない気がします。」
O(客観的情報)職場環境において安全管理が不十分(例:滑りやすい床、適切な防護具の未使用)。
作業内容が労働災害を引き起こすリスクを伴う(例:重機操作、高所作業、危険物の取り扱い)。
疲労やストレスが蓄積しており、集中力の低下が観察される。
労働者が安全教育を十分に受けていない場合がある。
過去に労働災害の発生があり、再発の可能性が指摘されている。
A(評価)職場環境や労働条件、本人の身体的・精神的状態により、労働災害が発生するリスクが高い状態。この状態が放置されると、外傷や健康被害が発生する可能性がある。
P(計画)職場での安全教育を実施し、リスク要因の理解と安全な作業手順の徹底を促す。
適切な防護具(例:ヘルメット、安全靴、手袋)の使用を指導し、必要な備品を提供する。
作業環境を改善し、危険箇所の修繕や安全対策(例:滑り止め、警告標識の設置)を行う。
労働者の健康状態を定期的に評価し、疲労やストレスの軽減策(例:適切な休憩、勤務時間の調整)を講じる。
高リスク作業に従事する際には、複数人での作業や監視体制を確立し、災害時の対応を迅速に行える体制を整える。
過去の労働災害事例を分析し、再発防止のための改善計画を立案・実施する。
本人および同僚に、リスクが発生した場合の報告手順と緊急対応方法(例:救急対応、連絡体制)を教育する。
必要に応じて職場の安全管理責任者や産業医と連携し、予防対策を強化する。
リスク評価を定期的に実施し、状況に応じて対策を見直し、継続的な改善を図る。
本人の安心感を高めるため、職場全体で安全文化を醸成し、積極的な支援を行う。

類④-中毒リスク状態

コード:00037

定義
健康に悪影響を及ぼす量の薬物や危険物への不慮の曝露、あるいはそれらの摂取が起こりやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
中毒リスク状態
S(主観的情報)「薬を飲み間違えないか心配です。」「家に小さい子どもがいるので、誤飲が不安です。」
O(客観的情報)毒性のある物質(例:薬品、洗剤、アルコール、危険な植物)が家庭や職場環境に容易にアクセス可能な状態。
薬の保管が不適切(例:ラベルのない容器、鍵のない収納)で誤用の可能性がある。
小児や高齢者、認知機能が低下している人がいる環境で、誤飲や誤用のリスクが高い。
中毒の既往歴(例:過去に薬の過剰摂取や誤飲を経験した)がある場合がある。
化学物質や農薬などの取り扱いが日常的に行われており、適切な防護策が取られていない。
A(評価)家庭環境や職場環境、対象者の認知機能により、中毒のリスクが高い状態。このままでは誤飲、過剰摂取、または化学物質への曝露により健康被害が発生する可能性がある。
P(計画)危険物質や薬品を鍵のかかる収納や高い場所に保管し、子どもや認知機能が低下した人の手が届かないようにする。
薬品のラベルを明確にし、必要な情報(例:用量、使用方法)を記載する。
家庭内や職場で中毒事故が発生しやすい状況を評価し、リスクを軽減するための環境改善を行う。
小児や高齢者のいる家庭に対し、誤飲防止用の安全キャップや注意喚起ラベルを導入する。
薬や化学物質の取り扱いに関する教育を行い、正しい使用方法や保管方法を徹底する。
中毒が疑われる場合の対応手順(例:毒物情報センターへの連絡、症状の把握)を本人および家族に教育する。
職場では、化学物質の取り扱いマニュアルを整備し、適切な防護具(例:手袋、マスク)の使用を徹底する。
定期的に環境や使用状況をモニタリングし、中毒リスクが低下しているかを確認する。
緊急時に備え、解毒剤や応急処置用品を準備し、使用方法を周知する。
本人や家族の不安を軽減するため、具体的な予防策と安全対策について説明し、安心感を提供する。

類⑤-ヨード造影剤有害反応リスク状態

コード:00218

定義
造影剤注入後7日以内に、有害または予期せぬ反応が起こりやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
ヨード造影剤有害反応リスク状態
S(主観的情報)「以前、造影剤を使った検査で気分が悪くなったことがあります。」「造影剤にアレルギーがあるかもしれないと言われました。」
O(客観的情報)既往歴としてヨード造影剤に対する過敏反応(例:じんましん、気分不良、呼吸困難)が確認されている場合がある。
喘息、アトピー性皮膚炎などアレルギー体質がある場合、リスクが高まる。
慢性腎疾患、脱水、糖尿病など、造影剤による腎機能障害のリスク因子が存在する。
高齢者や免疫力が低下している患者は、有害反応のリスクが増加している可能性がある。
検査や治療のためにヨード造影剤の使用が予定されている。
A(評価)既往歴や基礎疾患により、ヨード造影剤に対する有害反応が発生するリスクが高い状態。このまま適切な予防策が取られない場合、アレルギー反応や腎機能障害などの重大な合併症が生じる可能性がある。
P(計画)ヨード造影剤の使用前に、既往歴やアレルギー歴を詳しく確認する。
必要に応じて、事前に抗アレルギー薬やステロイドを投与して予防措置を講じる。
腎機能が低下している場合、検査前後に十分な水分補給を行い、腎機能障害のリスクを軽減する。
ヨード造影剤を使用する際には、リスクが低い種類(例:低浸透圧または非イオン性造影剤)を選択する。
造影剤注入中および直後には、バイタルサイン(例:血圧、脈拍、SpO₂)をモニタリングし、有害反応の早期発見に努める。
患者および家族に、造影剤使用後に現れる可能性がある症状(例:かゆみ、息苦しさ、腫れ)について説明し、異常があれば速やかに医療機関へ連絡するよう指導する。
万が一有害反応が発生した場合に備え、救急対応(例:酸素投与、アドレナリン注射、輸液療法)が可能な体制を整える。
定期的に腎機能を評価し、造影剤の影響が早期に確認できるようにする。
検査後には患者の全身状態を継続的に観察し、問題がなければ適切なフォローアップ計画を実施する。

類⑤-アレルギー反応リスク状態

コード:00217

定義
多様な物質に対して、過剰な免疫反応や応答が起こりやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
アレルギー反応リスク状態
S(主観的情報)「以前、特定の薬を飲んだときに発疹が出たことがあります。」「何かを食べた後に喉がかゆくなったことがあって心配です。」
O(客観的情報)既往歴として特定の食品、薬物、または環境要因(例:花粉、動物)に対するアレルギー反応(例:じんましん、呼吸困難、腫れ)が確認されている。
家族歴にアレルギー疾患(例:喘息、アトピー性皮膚炎)がある場合がある。
特定の状況(例:新しい薬物の投与、予防接種、造影剤使用)が予定されており、アレルギー反応の可能性が懸念される。
皮膚や粘膜に軽度の赤みや腫れが現れている場合がある。
感染症やストレス、過労が免疫機能に影響し、反応リスクを高めている。
A(評価)既往歴、家族歴、または環境因子により、アレルギー反応が発生するリスクが高い状態。この状態を適切に管理しない場合、じんましんやアナフィラキシーなどの重篤な反応を引き起こす可能性がある。
P(計画)アレルギーのリスクを評価するため、既往歴や家族歴、症状の詳細を確認し、必要に応じてアレルギー検査(例:皮膚テスト、血液検査)を実施する。
特定の薬物や食品を摂取する場合、初回使用時は医療従事者が監視可能な環境で行う。
アナフィラキシーリスクがある場合、エピペン(アドレナリン自己注射器)の携帯を指導し、使用方法を説明する。
患者および家族に、アレルギー反応の兆候(例:発疹、腫れ、息苦しさ)を教育し、早期に対応する重要性を伝える。
リスクのある物質を避けるため、食品ラベルの確認や環境因子への注意を促す。
必要に応じて、抗アレルギー薬(例:抗ヒスタミン薬)の事前投与を検討する。
緊急時に備え、医療機関への迅速なアクセス手段を確認し、連絡先や対応手順を共有する。
アレルギー反応の発生状況を定期的にモニタリングし、リスクが軽減しているかを確認しながら計画を調整する。
患者が不安を感じないよう、アレルギーのリスク管理方法について安心感を与える説明を行う。

類⑤-ラテックスアレルギー反応リスク状態

コード:00042

定義
天然ゴムラテックス製品またはラテックス反応性食品に対して過敏反応が起こりやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
ラテックスアレルギー反応リスク状態
S(主観的情報)「以前、ゴム手袋を使った後に手が赤くなってかゆみが出ました。」「風船に触れた後に喉がかゆくなったことがあります。」
O(客観的情報)ラテックス製品(例:医療用手袋、ゴム製品)使用後に、発疹、かゆみ、腫れなどの過敏反応が観察された既往がある。
アトピー性皮膚炎や他のアレルギー(例:バナナ、キウイ、アボカドなどの食品アレルギー)が確認される場合、ラテックスアレルギーの交差反応リスクが高い。
医療従事者やラテックス製品を頻繁に使用する職業の従事者であることが確認される場合がある。
ラテックス製品の接触部位に発赤、腫脹、かゆみが発生したことが報告されている。
A(評価)ラテックス製品への曝露によりアレルギー反応が発生するリスクが高い状態。このまま適切に管理されない場合、軽度の皮膚症状から重度のアナフィラキシーまで発展する可能性がある。
P(計画)ラテックスアレルギーを確認するため、既往歴や症状を詳細に聴取し、必要に応じて血液検査や皮膚テストを実施する。
ラテックスフリーの手袋や医療器具を準備し、使用するすべての製品が非ラテックスであることを確認する。
ラテックスアレルギーに関連する交差反応食品(例:バナナ、キウイ、アボカド)について教育し、適切な回避を指導する。
本人および家族に、ラテックス製品との接触を避ける方法や環境整備(例:家庭や職場の用品の確認)を説明する。
アナフィラキシーリスクがある場合、エピペン(アドレナリン自己注射器)の携帯を指導し、使用方法を練習する。
医療従事者や周囲の人々に対して、本人がラテックスアレルギーリスクがあることを共有し、必要な対応を準備する。
緊急時の対応手順(例:アレルギー反応が発生した場合の医療機関への速やかな連絡)を本人および家族に教育する。
ラテックスアレルギーに関連する症状が発生した場合は、詳細な記録を取り、次回の対応に活かす。
定期的にリスク状況を評価し、計画を見直してリスク軽減の進捗を確認する。

類⑥-高体温

コード:00007

定義
体温調節障害により、深部体温が日内の正常範囲を上回っている状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
高体温
S(主観的情報)「体がすごく熱くて、だるさが強いです。」「寒気がして汗が出た後、熱っぽくなりました。」
O(客観的情報)体温が37.5℃以上(発熱)または38.0℃以上(高体温)を示している。
顔面紅潮、発汗、皮膚の熱感が観察される場合がある。
脈拍および呼吸数の増加が確認されることがある。
感染症や炎症性疾患、脱水、熱中症など、高体温を引き起こす可能性のある基礎疾患が疑われる。
血液検査や画像診断で炎症反応の増加や感染所見が確認される場合がある。
A(評価)体温の上昇は感染症や炎症反応、または環境要因(例:熱中症、過剰な運動)に起因する可能性がある。このまま放置すると、全身状態の悪化や臓器障害を引き起こすリスクがある。
P(計画)体温を定期的に測定し、発熱の経過を記録する。
体温を下げるため、適切な解熱薬(例:アセトアミノフェン)を医師の指示のもとで使用する。
水分補給を徹底し、脱水を予防する(例:経口補水液の摂取)。
感染症が疑われる場合は、血液検査や尿検査を行い、感染源を特定し、抗菌薬治療を検討する。
熱中症が疑われる場合は、涼しい環境への移動、衣服の緩和、体を冷やす(例:濡れタオル、氷枕)などの対策を実施する。
周囲の環境を調整し、過度な発汗や体温上昇を防ぐ。
高体温に伴う症状(例:頭痛、筋肉痛、悪寒)を緩和するための対症療法を行う。
本人および家族に、高体温が悪化した場合の対応(例:体温が39.0℃以上になる、意識が低下する場合の受診)を説明する。
高体温の原因が特定されない場合や症状が改善しない場合は、さらなる精密検査を実施する。
継続的に体調をモニタリングし、高体温の原因に応じたケア計画を調整する。

類⑥-低体温

コード:00006

定義
生後28日を超える人で、深部体温が日内の正常範囲を下回っている状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
低体温
S(主観的情報)「寒気がして、体が震えています。」「手足が冷たくて感覚が鈍い気がします。」
O(客観的情報)体温が35.0℃以下であり、低体温が確認される。
皮膚が冷たく、蒼白または青白い色調を示す場合がある。
意識レベルの低下(例:混乱、ぼんやりしている)、脈拍や呼吸数の減少が観察されることがある。
手足の末端が冷たく、循環不全の兆候(例:四肢チアノーゼ)が認められる場合がある。
外的要因(例:寒冷環境への長時間曝露、濡れた衣服の着用)や内的要因(例:甲状腺機能低下症、全身麻酔後の体温低下)が確認される場合がある。
A(評価)低体温は寒冷環境、代謝障害、または薬物・手術後の影響による可能性がある。この状態が放置されると、心肺機能や神経系への影響が悪化し、命に関わる危険性がある。
P(計画)温かい場所に移動させ、低体温を引き起こす要因(例:濡れた衣服)を取り除く。
体温を回復させるため、毛布やヒーターを用いて体を覆い、受動的または能動的な加温を行う。
意識レベルが低下している場合や重度の低体温が疑われる場合は、速やかに医療機関を受診する。
水分補給を促進し、必要に応じて温かい飲み物(アルコールは避ける)を与える。ただし、意識レベルが低下している場合は経口摂取を避ける。
低体温の原因が病的要因(例:甲状腺機能低下症、敗血症)である場合、速やかに診断と治療を行う。
バイタルサインを定期的にモニタリングし、心拍数や呼吸数、血圧の変化に注意する。
低体温が進行している場合、温めた点滴液や加温装置を用いた積極的な加温法を検討する。
本人および家族に、寒冷環境での適切な衣服の選択や寒さ対策(例:防寒具、保温食品)の重要性を説明する。
再発防止のため、低体温を引き起こした状況を評価し、環境や生活習慣を改善する。
回復後も数時間にわたり経過を観察し、再び低体温になる兆候がないか確認する。

類⑥-低体温リスク状態

コード:00253

定義
生後28日を超える人で、体温調節障害により、深部体温が日内の正常範囲を下回りやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
低体温リスク状態
S(主観的情報)「寒い場所で過ごすことが多いので体調が心配です。」「冷え性なので、手足がすぐに冷たくなります。」
O(客観的情報)高齢者、乳幼児、または衰弱した状態にある人など、低体温になりやすい対象者である。
寒冷環境での長時間の滞在が予定されている場合や、暖房設備が不十分な住環境が確認される。
栄養状態の不良や体脂肪の少なさ、脱水が見られる場合がある。
甲状腺機能低下症、循環不全(例:末梢血流障害)、または全身麻酔後など、体温調節機能が低下する病的状態がある場合がある。
濡れた衣服や冷たい環境での行動が観察されることがある。
A(評価)身体的、環境的要因により、体温が著しく低下するリスクが高い状態。この状態が放置されると、循環不全、意識低下、さらには重篤な臓器障害を引き起こす可能性がある。
P(計画)低体温のリスクがある対象者には、寒冷環境への曝露を最小限に抑えるよう環境調整を行う(例:十分な暖房の確保、防寒着の着用)。
栄養状態を改善し、エネルギー摂取量を増やすことで、体温を維持するための代謝を促進する。
脱水を防ぐため、適切な水分補給を指導し、必要に応じて温かい飲み物を摂取することを推奨する。
寒冷環境での作業や活動時には、定期的に休憩を取り、体を温めるための手段を用意する(例:温かい飲み物、ヒートパッド)。
バイタルサインを定期的に確認し、体温の低下が見られた場合は迅速に対応する。
甲状腺機能低下症など、基礎疾患がリスクに関与している場合は、適切な治療を行い、体温調節機能を改善する。
本人および家族に対し、低体温の兆候(例:震え、疲労感、皮膚の蒼白)を教育し、早期に対応する重要性を説明する。
再発防止のため、低体温リスクを軽減するための生活習慣や住環境の見直しを提案する。
リスク状況を定期的に評価し、環境や健康状態に応じて予防策を調整する。

類⑥-新生児低体温

コード:00280

定義
新生児の深部体温が、日内の正常範囲を下回っている状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
新生児低体温
S(主観的情報)※新生児は主観的に訴えることができないため、保護者や医療者の観察を記載
「赤ちゃんの手足が冷たく感じます。」「体が全体的に冷えている気がして心配です。」
O(客観的情報)新生児の体温が36.5℃未満であり、低体温が確認される。
皮膚が冷たく、末端が青白く、手足の冷感が目立つ場合がある。
哭声が弱い、活動性が低下している、哺乳力の低下が観察される場合がある。
出生時の低体重、早産、または室温が不適切である場合、低体温のリスクが高い。
保温が不十分な状態(例:濡れた状態での放置、不適切な衣類)や周囲の寒冷環境が確認される。
A(評価)新生児の低体温は未熟な体温調節機能や環境要因(例:寒冷、湿潤)による可能性が高い。この状態が続くと、新生児仮死や低血糖、代謝性アシドーシスなどの重篤な合併症を引き起こすリスクがある。
P(計画)新生児を直ちに温かい環境に移動させ、体温を適切な範囲(36.5℃〜37.5℃)まで回復させる。
カンガルーケア(母親の胸元に抱く保温法)を推奨し、体温を自然に上げる方法を支援する。
保温器やラジアントウォーマーを使用して、外部からの温度調節を行う。
濡れた衣服やおむつを速やかに交換し、乾燥した状態を保つ。
哺乳力の低下が見られる場合、糖水または母乳を少量ずつ与え、低血糖を予防する。
周囲環境の温度と湿度を適切に維持し、新生児が寒冷環境にさらされないようにする(室温22℃〜26℃、適切な湿度50〜60%)。
低体温の原因を特定し、早産や感染症が関与している場合には速やかに治療を開始する。
新生児のバイタルサイン(例:体温、心拍数、呼吸数)を定期的にモニタリングし、状態の悪化を防ぐ。
保護者に対して新生児の適切な保温方法や環境整備について教育し、家庭での再発予防を支援する。
経過を観察し、低体温が改善し、安定した状態を維持できるようになったか確認する。

類⑥-新生児低体温リスク状態

コード:00282

定義
新生児の深部体温が、日内の正常範囲を下回りやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
新生児低体温リスク状態
S(主観的情報)※新生児は主観的に訴えることができないため、保護者や医療者の観察を記載
「赤ちゃんが生まれたばかりで、寒い場所にいると体温が下がらないか心配です。」
O(客観的情報)早産児または低出生体重児であり、体温調節機能が未熟である。
出生時に寒冷な環境下で取り扱われた、または適切な保温が行われなかった可能性がある。
新生児が乾燥しておらず、濡れたまま放置されるリスクがある。
周囲の環境温度が適切でなく(例:室温が低い、湿度が不十分)、新生児の体温低下につながる可能性がある。
保温に必要な器具や手段(例:ラジアントウォーマー、保温毛布)が不足している場合がある。
A(評価)未熟な体温調節機能、低出生体重、または環境要因により、新生児が低体温を発症するリスクが高い状態。このままでは、新生児仮死や低血糖、代謝性アシドーシスなどの合併症を引き起こす可能性がある。
P(計画)新生児の保温を確保するため、出生直後にラジアントウォーマーを使用する。
適切な室温(22℃〜26℃)および湿度(50〜60%)を維持し、寒冷環境への曝露を防ぐ。
出生後直ちに乾燥したタオルで体を拭き、濡れた布は速やかに交換する。
必要に応じてカンガルーケアを行い、母親の体温を活用した自然な保温を促す。
低体温リスクが高い場合、バイタルサイン(例:体温、心拍数、呼吸数)を頻回にモニタリングする。
糖水または母乳を少量頻回で与え、低血糖の予防に努める。
保護者に新生児の体温維持の重要性を説明し、家庭での適切な保温方法(例:服装、室温調整)を指導する。
環境要因や新生児の健康状態を評価し、低体温のリスクが軽減されるまで適切なケアを継続する。
早産児や低出生体重児など、高リスク新生児には適切なフォローアップと追加の医療支援を計画する。
経過を観察し、体温低下の兆候が見られた場合には迅速に対応する。

類⑥-周術期低体温リスク状態

コード:00254

定義
手術の1時間前から24時間後までの間に、予期せずに深部体温が36℃以下になりやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
周術期低体温リスク状態
S(主観的情報)「手術中やその後に寒くなるのではないかと心配です。」「手足が冷えやすい体質なので、術後の体温が気になります。」
O(客観的情報)周術期中に麻酔(全身麻酔、局所麻酔)を使用する予定があり、体温調節機能の低下が予測される。
手術室の低温環境(例:術中の室温管理が適切でない)が低体温のリスクを高める可能性がある。
高齢、低体重、または全身状態が弱い患者で、体温維持が困難である場合がある。
術中の体液補充(例:冷たい輸液や血液製剤)の使用が予定されている。
長時間にわたる手術が予定されており、低体温リスクが高まる可能性がある。
A(評価)麻酔や環境要因、患者の全身状態により、周術期中に低体温が発生するリスクが高い。この状態を放置すると、術後の感染、出血、代謝異常などの合併症が発生する可能性がある。
P(計画)手術室の温度を適切に管理し(20〜24℃)、患者が寒冷環境にさらされないよう配慮する。
手術中および術後の体温を定期的に測定し、低体温を早期に発見できる体制を整える。
体温を維持するため、加温装置(例:温風式加温装置、加温布)を使用する。
輸液や血液製剤を温めて使用し、体温低下を予防する。
手術中の露出部位を最小限にし、保温効果を高めるための毛布やカバーを活用する。
術後の回復室では、十分な暖房設備を整え、患者の体温が正常範囲内に維持されるよう確認する。
低体温による合併症リスクが高い場合(例:高齢、長時間の手術)、術後早期に医療チームでのモニタリングとケアを強化する。
患者および家族に周術期の低体温予防の重要性を説明し、不安感を軽減するための情報を提供する。
術後の感染や合併症の兆候(例:発熱、倦怠感)の早期発見に努め、必要に応じて速やかに対応する。
周術期を通じてリスク評価を継続的に行い、状況に応じてケア計画を調整する。

類⑥-非効果的体温調節

コード:00008

定義
体温が低体温と高体温との間で変動する状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
非効果的体温調節
S(主観的情報)「暑すぎたり寒すぎたりして、体が調子悪い感じがします。」「熱があるのに寒気がして、どうしたらいいかわかりません。」
O(客観的情報)体温が正常範囲外(例:低体温<36.0℃、発熱>37.5℃)である。
体温調節機能に異常がみられ、寒気、発汗、または皮膚の紅潮が観察される。
バイタルサイン(例:心拍数、呼吸数)が体温変動に伴い変化している場合がある。
感染症、環境要因(例:極端な暑さや寒さ)、脱水、甲状腺機能異常など、体温調節に影響を与える病態が確認される。
患者が適切な衣服の選択や環境調整を行えていない場合がある。
A(評価)体温調節が効果的に機能せず、体温が過度に変動する状態。このままでは、循環器系や代謝系に影響を及ぼし、全身状態の悪化につながる可能性がある。
P(計画)患者の体温を定期的に測定し、正常範囲内に維持されるようモニタリングする。
体温異常の原因を特定するため、感染症や内分泌疾患などの基礎疾患を評価し、適切に治療する。
環境調整を行い、患者が快適に過ごせる室温と湿度を確保する(例:エアコン、加湿器、毛布)。
適切な衣服の選択を指導し、外部環境に応じて柔軟に対応できるようサポートする。
発熱時には解熱薬や冷却療法(例:冷却シート、湿布)を使用し、患者の快適さを向上させる。
低体温時には保温対策を強化し、加温布や温かい飲み物を用いて体温を回復させる。
水分補給を促進し、体温調節を支える循環機能を維持する(例:経口補水液の摂取)。
本人および家族に、体温調節の重要性や異常が起きた際の対処法を教育する。
体温異常による合併症(例:熱中症、脱水、低体温症)を予防するため、必要に応じて医療チームと連携する。
進行状況を継続的に観察し、体温調節が効果的に機能しているかを確認しながらケア計画を調整する。

類⑥-非効果的体温調節リスク状態

コード:00274

定義
体温が低体温と高体温との間で変動しやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
非効果的体温調節リスク状態
S(主観的情報)「寒暖差が激しいときに、体調を崩しやすいです。」「暑い日や寒い日に、体温がうまく調整できていない感じがします。」
O(客観的情報)高齢者、乳幼児、または慢性疾患を持つ患者など、体温調節機能が低下している可能性がある。
周囲の環境温度が極端に高い(例:夏季の高温多湿)または低い(例:冬季の寒冷環境)。
適切でない衣服の着用や環境調整(例:エアコン未使用)により、体温変動のリスクが高まっている。
手術後、全身麻酔後、または大きな外傷後で、体温調節が正常に機能していない場合がある。
感染症、脱水、栄養不良、または循環不全など、体温調節に影響を与える病態が確認されることがある。
A(評価)身体的または環境的要因により、体温調節機能が損なわれるリスクが高い状態。この状態が放置されると、低体温症、熱中症、または感染症による発熱が発生する可能性がある。
P(計画)体温調節リスクを低減するため、定期的な体温測定を実施し、異常を早期に発見する。
環境温度を適切に管理し、エアコンやヒーターを活用して快適な室温(22~26℃)を維持する。
脱水予防のため、適切な水分補給を指導し、特に暑熱環境下では電解質バランスも考慮する。
衣服の選択を指導し、外部環境に応じた重ね着や素材の工夫を促す。
体温調節に影響を及ぼす基礎疾患(例:感染症、甲状腺機能異常、循環不全)の治療を医師と連携して行う。
寒冷環境や高温環境での活動を最小限にし、適切な休憩を取り入れることでリスクを軽減する。
患者および家族に、体温調節がうまくいかないときの症状(例:震え、汗が出ない、頭痛)を教育し、早期対応を促す。
低体温症や熱中症の予防策(例:冷却法、加温法)について指導し、緊急時の対応方法を共有する。
リスク因子を定期的に評価し、体温調節の状況に応じてケア計画を柔軟に調整する。
患者が安心して生活できるよう、必要な支援を継続的に提供し、身体的および心理的な負担を軽減する。

NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)&看護計画の記載例まとめ

当サイトでは、今回ご紹介した領域の他にも、NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)&看護計画の記載例を多数まとめています。

ぜひ、日々の業務のご活用ください!

看護記録(SOAP)の記載例

領域1領域2領域3
領域4領域5領域6
領域7領域8領域9
領域10領域11領域12
領域13

看護計画の記載例

領域1領域2領域3
領域4領域5領域6
領域7領域8領域9
領域10領域11領域12
領域13

引用・参考文献
T. ヘザー・ハードマン 編,上鶴 重美 訳:NANDA-I看護診断 定義と分類 2020-2023.医学書院.

-看護記録, NANDA-Iに基づく記載例, 領域11