看護計画 看護記録 NANDA-Iに基づく記載例 領域5

思考過程混乱(NANDA-I領域5)の観察ポイントと看護計画&看護記録(SOAP)の記載例【コピペ可】

当サイトでは、看護学生や新人看護師のために、NANDA-Iの看護診断に基づく看護計画&看護記録の記載例・書き方を多数ご紹介しています。

今回は、NANDA-I領域5の看護診断「思考過程混乱」の患者の観察ポイントを解説してまいります。

急性疼痛は、看護診断の中でも使用頻度が高く、しっかりと抑えておくべき診断の一つです。

記事の最後には、看護計画と看護記録(SOAP)の記載例を公開しており、すべてコピペ可です。

あくまでも一例であり、所属している病院や法人によって、書き方やルールは異なる場合も考えられますので、各自カスタマイズしてご活用ください。

思考過程混乱(NANDA-I領域5)とは

思考過程混乱とは、注意力、集中力、思考の論理性や正確さに支障をきたし、適切な判断や意思決定ができない状態を指します。

この状態は、一時的なものから慢性的なものまで幅があり、個人の生活やケアに大きな影響を及ぼします。

原因には身体的、心理的、環境的な要因が絡むことが多く、早期の評価と介入が重要です。

思考過程混乱(NANDA-I領域5)の原因

思考過程混乱(NANDA-I領域5)を引き起こす主な原因は以下の通りです。

身体的要因

  • 脳の器質的損傷(例:脳卒中、外傷性脳損傷)
  • 神経変性疾患(例:アルツハイマー型認知症、パーキンソン病)
  • 薬物の影響(例:鎮静薬、抗うつ薬、アルコール)
  • 代謝異常(例:低血糖、高カルシウム血症)
  • 感染症(例:尿路感染症によるせん妄)

心理的要因

  • 極度のストレス、不安、うつ病
  • トラウマや心理的ショック

環境的要因

  • 視覚や聴覚の低下による情報不足
  • 環境の急激な変化(例:入院、引越し)。孤立や社会的な支援の欠如

思考過程混乱(NANDA-I領域5)の評価方法

思考過程混乱(NANDA-I領域5)を評価するには、患者の状態を多角的に観察し、適切なスクリーニングを行います。

主観的評価

  • 患者の訴えを確認します。「物事をうまく考えられない」「集中できない」などの自己申告を把握します

客観的評価

  • 注意力、記憶力、判断力、問題解決能力を観察します
  • 例:会話が脱線しやすい、適切な選択ができない

標準化された評価ツール

  • MMSE(Mini-Mental State Examination):認知機能全般を簡便に評価します
  • HDS-R(長谷川式認知症スケール改訂版):高齢者の認知機能障害の評価に適しています
  • CAM(Confusion Assessment Method):せん妄の有無を評価します

環境要因の確認

  • 患者が過ごしている環境や日常生活の中で混乱を引き起こす可能性のある要因を把握します

思考過程混乱(NANDA-I領域5)の治療方法

思考過程混乱(NANDA-I領域5)への治療は、原因の特定と適切な介入を組み合わせることが重要です。

原因への対処

  • 感染症や代謝異常などの身体的要因が原因の場合は、適切な治療を行います
  • 薬物の副作用が疑われる場合は、医師と連携して処方を見直します

環境調整

  • 患者にとって安心できる環境を整え、急激な変化を避けます
  • 視覚や聴覚補助具を提供し、周囲の情報を得やすくします

心理的支援

  • 不安やストレスの軽減を目指します。リラクゼーション技術やカウンセリングを取り入れます
  • 必要に応じて心理療法を実施します

認知訓練

  • ゲームや課題を通じて注意力や記憶力を向上させる訓練を行います
  • 理学療法士や作業療法士と連携して、患者が達成感を得られる活動を計画します

思考過程混乱(NANDA-I領域5)の患者をケアする上で気をつけること

思考過程混乱(NANDA-I領域5)の患者をケアする際には、以下の点に注意する必要があります。

  • 患者のペースに合わせて会話や指示を行う。急かさず、シンプルな言葉を使うことが重要です
  • 患者の混乱を否定せず、安心感を与える対応を心がける
  • 環境の変化を最小限にし、患者が慣れ親しんだ物品や習慣を大切にする
  • 家族や介護者にも混乱状態への対応方法を指導し、一貫性のある支援を提供する
  • 専門職(例:心理士、作業療法士)と連携し、包括的なケアを提供する

思考過程混乱(NANDA-I領域5)の看護計画を立案する上でのポイント

思考過程混乱(NANDA-I領域5)の看護計画(観察計画、援助計画、行動計画)は、以下のポイントに注意をして立案すると良いでしょう。

観察計画(O-P)の立案ポイント

患者の思考過程の状態を詳細に観察します。

混乱の兆候や引き金となる状況を把握し、記録します。

また、患者が環境や状況を理解しているかどうか、行動や言動から確認します。

援助計画(T-P)の立案ポイント

患者が混乱を感じないよう、シンプルでわかりやすい指示を出します。

適切な環境調整を行い、安心感を提供します。

また、患者が達成感を得られる活動を取り入れ、自己効力感を高めるよう支援します。

教育計画(E-P)の立案ポイント

患者や家族に対して、思考過程混乱の原因や対処法について説明します。

家族には、患者の混乱に対する適切な接し方や、サポート方法を指導します。

思考過程混乱(NANDA-I領域5)の看護計画の記載例・書き方

看護診断#1 思考過程混乱
患者目標長期目標:思考の混乱を軽減し、日常生活の判断力を取り戻す。
短期目標:混乱が軽減し、基本的な日常生活活動が自立して行える。
観察計画(O-P)患者の会話や行動を観察し、混乱の程度を把握する。
混乱が発生しやすい時間帯や状況を記録する。
重要な決定を行う際の患者の反応を確認する。
情報をどの程度理解しているかを観察する。
援助計画(T-P)必要な情報を簡潔かつ具体的に伝える(例:1度に1つの指示を与える)。
混乱を引き起こさないよう、環境を整える(例:静かな空間、わかりやすい配置)。
視覚や聴覚補助具を用いて情報を補完する。
環境に患者が慣れる時間を十分に設ける。
家族や支援者とのコミュニケーションを通じて、一貫性のあるケアを提供する。
教育計画(E-P)思考過程混乱の原因と対処法について、家族と共有する。
患者が混乱を感じた場合の対応方法を指導する。
適切な支援ネットワーク(例:地域の支援団体)の活用を勧める。
混乱が改善する可能性と、そのために必要な取り組みを説明する。

トコル
トコル

看護計画作成におけるルールは、コチラの記事(【完全保存版】看護計画の作成ルールと記載例まとめ【NANDA- I】)を参考にしてください!

【完全保存版】看護計画の作成ルールと記載例まとめ【NANDA- I】

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思考過程混乱(NANDA-I領域5)の看護記録(SOAP)の記載例・書き方

看護診断
(看護問題)
思考過程混乱
S(主観的情報)「何をどうしたらいいのかわからなくなることが多いです。」
「最近、自分が何を話しているか途中で忘れることがあります。」
O(客観的情報)会話中に話題が頻繁に逸れる。
指示に対して混乱した反応を示す。
自室に戻れず迷子になる場面が観察される。
A(評価)思考過程に混乱が見られ、適切な意思決定が困難な状態にある。
P(計画)会話や指示をシンプルかつ段階的に行う。
環境を整備し、患者が安心して生活できる空間を作る。
思考の混乱が増悪する場面を記録し、改善策を検討する。
家族に対し、患者が混乱した場合の対応方法を指導する。
必要に応じて心理士や作業療法士と連携して支援を提供する。

トコル
トコル

看護記録(SOAP)作成におけるルールは、コチラの記事看護記録(【完全保存版】「SOAP」の書き方と記載例まとめ【NANDA-Iの看護診断対応)を参考にしてください!

【完全保存版】看護記録「SOAP」の書き方と記載例まとめ【NANDA-Iの看護診断対応】

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NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)&看護計画の記載例まとめ

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看護記録(SOAP)の記載例

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看護計画の記載例

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引用・参考文献
T. ヘザー・ハードマン 編,上鶴 重美 訳:NANDA-I看護診断 定義と分類 2020-2023.医学書院.

-看護計画, 看護記録, NANDA-Iに基づく記載例, 領域5