当サイトでは、看護学生や新人看護師のために、NANDA-Iの看護診断に基づく看護計画&看護記録の記載例・書き方を多数ご紹介しています。
今回は、NANDA-I領域1の看護診断「健康自主管理促進準備状態」の患者の観察ポイントを解説してまいります。
健康自主管理促進準備状態は、看護診断の中でも使用頻度が高く、しっかりと抑えておくべき診断の一つです。
記事の最後には、看護計画と看護記録(SOAP)の記載例を公開しており、すべてコピペ可です。
あくまでも一例であり、所属している病院や法人によって、書き方やルールは異なる場合も考えられますので、各自カスタマイズしてご活用ください。
健康自主管理促進準備状態(NANDA-I領域1)とは
健康自主管理促進準備状態とは、患者が自身の健康を維持・改善するための行動を取る準備が整っている、またはさらに効果的な管理方法を学び、実践する意思がある状態を指します。
この状態の患者は、すでに自主管理を行っている場合が多く、さらに改善したいという意欲を持っています。
看護師はこの意欲を尊重し、支援することが重要です。
健康自主管理促進準備状態(NANDA-I領域1)の特徴
健康自主管理促進準備状態(NANDA-I領域1)の患者には以下の特徴があります。
自発的な意欲
- 健康管理のための情報収集を積極的に行う
- 病気の管理方法を学びたいという意思を示す
自己効力感が高い
- 自分で問題を解決しようとする姿勢がある
- これまでの管理方法の成果を認識している
健康状態に対する前向きな態度
- 自身の健康状態や行動を振り返り、改善点を見つけようとする
- 医療者のアドバイスを積極的に受け入れる
支援を求める姿勢
- 看護師や医療者に具体的な質問をする
- 新しい管理方法やスキルを取り入れたいと考えている
健康自主管理促進準備状態(NANDA-I領域1)の評価方法
健康自主管理促進準備状態(NANDA-I領域1)を評価する際には、患者の態度や行動、意欲を観察し、適切に対話を行います。
主観的データの確認
- 「もっと効果的な方法を知りたい」「健康を維持するためにできることは何ですか?」などの発言を聴取
客観的データの確認
- 健康管理に取り組む行動が確認できる(例:食事記録、運動実施)
- 健康指標(例:HbA1c、体重、血圧)が改善傾向にある
心理的評価
- 患者が自己効力感を持ち、自分の行動に自信を持っているかを確認する
- 前向きな感情や態度の有無を評価する
サポート体制の確認
- 家族や友人からの支援があるか
- 環境が健康管理を行うのに適しているか
健康自主管理促進準備状態(NANDA-I領域1)の治療方法
健康自主管理促進準備状態(NANDA-I領域1)の患者には、現状の管理方法をさらに改善し、健康目標を達成するための支援を行います。
教育の提供
- 病気や健康管理に関する新しい情報を提供する
- より効果的なセルフケア方法(例:最新の運動プログラム、栄養情報)を提案する
行動計画の強化
- 現在の行動を振り返り、強化すべき点を具体的に話し合う
- 短期・長期目標を設定し、進捗を共有する
モチベーションの維持
- 成果を評価し、ポジティブなフィードバックを行う
- 成功体験を通じて、患者の自己効力感をさらに高める
サポート体制の整備
- 家族や友人の支援を得られるよう働きかける
- 必要に応じて地域資源や専門家を紹介する
柔軟な対応
- 患者が困難に直面した場合は、無理のない代替案を提供する
- 患者のライフスタイルに合わせた提案を行う
健康自主管理促進準備状態(NANDA-I領域1)の患者をケアする上で気をつけること
健康自主管理促進準備状態(NANDA-I領域1)の患者をケアする際には、以下の点に注意する必要があります。
意欲を尊重する
- 患者の意思を中心にしたケアを提供し、強制的な指導は避ける
具体的で実行可能な提案をする
- 簡単で明確な目標を設定し、達成可能な行動計画を提供する
ポジティブなフィードバックを行う
- 成果を具体的に示し、患者の努力を認める
家族や地域資源を活用する
- サポート体制を整え、患者が継続して健康管理を行えるよう支援する
継続的なフォローアップを行う
- 定期的に患者の進捗状況を確認し、必要に応じて計画を修正する
健康自主管理促進準備状態(NANDA-I領域1)の看護計画を立案する上でのポイント
健康自主管理促進準備状態(NANDA-I領域1)の看護計画(観察計画、援助計画、行動計画)は、以下のポイントに注意をして立案すると良いでしょう。
観察計画(O-P)の立案ポイント
患者が実践している健康管理行動や意欲の変化、周囲のサポート体制を観察します。
また、健康指標の改善状況も定期的に確認します。
援助計画(T-P)の立案ポイント
患者の目標に合わせて行動計画をサポートします。
新しい情報やスキルを提供し、患者がさらに効果的な健康管理を行えるよう支援します。
教育計画(E-P)の立案ポイント
患者が希望する内容を中心に、健康管理に必要な知識やスキルをわかりやすく指導します。
また、家族にも協力を依頼し、支援体制を強化します。
健康自主管理促進準備状態(NANDA-I領域1)の看護計画の記載例・書き方
看護診断 | #1 健康自主管理促進準備状態 |
患者目標 | 長期目標:新しいセルフケア方法を実践し、健康状態をさらに改善できる。 短期目標:1週間以内に新しい健康管理方法について理解し、実践することができる。 |
観察計画(O-P) | 患者の健康管理に対する意欲や態度を観察する。 食事記録や運動記録を確認し、現在の実践状況を把握する。 健康指標(血糖値、血圧、体重など)の変化をモニタリングする。 家族や友人からのサポートの有無を確認する。 患者の主観的な満足度や自己効力感を観察する。 |
援助計画(T-P) | 新しい食事プランや運動プログラムを提案し、具体的な方法を共有する。 患者が気軽に質問や相談ができる環境を整える。 現在の健康管理方法を振り返り、改善点を一緒に考える。 短期目標を設定し、進捗を確認するための記録を提案する。 ポジティブなフィードバックを提供し、患者の努力を評価する。 家族や友人に患者へのサポートの具体例を示し、協力を得る。 必要に応じて専門家(栄養士、理学療法士)の支援を提案する。 患者がストレスを感じた際の対応策を一緒に考える。 健康管理に必要なツール(アプリ、記録帳など)を提供する。 患者が新しいスキルを学ぶ際の実践をサポートする。 |
教育計画(E-P) | 患者が新しい健康管理方法を理解できるよう、わかりやすく説明する。 食事や運動に関する最新の知識を共有する。 家族にも健康管理のポイントを説明し、患者のサポートを依頼する。 成果が見えやすい記録方法を提案し、自己管理の楽しさを伝える。 健康指標の意味と、それを改善するための具体的な方法を教える。 患者が成功体験を得られるよう、小さな目標を設定する方法を説明する。 継続的な健康管理の重要性を強調する。 医療機関や地域資源の利用方法を説明し、適切なサポートを受けられるようにする。 ストレス管理やリラクゼーションの方法を提案する。 患者のペースに合わせて情報を提供し、理解を深める。 |
看護計画作成におけるルールは、コチラの記事(【完全保存版】看護計画の作成ルールと記載例まとめ【NANDA- I】)を参考にしてください!
【完全保存版】看護計画の作成ルールと記載例まとめ【NANDA- I】
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健康自主管理促進準備状態(NANDA-I領域1)の看護記録(SOAP)の記載例・書き方
看護診断 (看護問題) | 健康自主管理促進準備状態 |
S(主観的情報) | 「食事にもっと気をつけて、血糖値を下げたいです。」 「新しい運動を試してみたいのですが、どれがいいですか?」 |
O(客観的情報) | 食事記録を丁寧につけている。 健康指標:HbA1cが改善傾向(7.5%→7.2%)。 週3回のウォーキングを実施中。 |
A(評価) | 患者は現在の健康管理に満足しており、さらに改善する意欲がある状態。新しい健康管理方法を学ぶ準備が整っている。 |
P(計画) | 食事計画を見直し、低GI食品の活用方法を提案する。 初心者向けの筋力トレーニングを紹介し、実施方法をデモンストレーションする。 健康管理アプリを紹介し、運動や食事の記録を簡単に行えるよう支援する。 家族と協力し、食事準備や運動時間の確保を調整する。 健康指標の変化を定期的にフィードバックし、患者の努力を評価する。 栄養士と連携し、患者に適した食事プランを作成する。 医療機器(血糖値測定器)の正確な使用方法を再確認する。 1週間後にフォローアップを行い、進捗を確認する。 患者が抱える疑問や不安に対し、迅速に対応する。 成果が見える形で記録を振り返り、達成感を得られるよう支援する。 |
看護記録(SOAP)作成におけるルールは、コチラの記事看護記録(【完全保存版】「SOAP」の書き方と記載例まとめ【NANDA-Iの看護診断対応)を参考にしてください!
【完全保存版】看護記録「SOAP」の書き方と記載例まとめ【NANDA-Iの看護診断対応】
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NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)&看護計画の記載例まとめ
当サイトでは、今回ご紹介した領域の他にも、NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)&看護計画の記載例を多数まとめています。
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看護記録(SOAP)の記載例
看護計画の記載例
引用・参考文献
T. ヘザー・ハードマン 編,上鶴 重美 訳:NANDA-I看護診断 定義と分類 2020-2023.医学書院.