この記事では、NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)の記載例を公開しています。
今回は領域13「成長/発達」です。
看護記録の書き方が分からない…と悩んでいる看護実習生、新人の方々はぜひ参考にしてみてください!
トコル
看護記録(SOAP)の書き方に関しては、コチラの記事(【完全保存版】看護記録「SOAP」の書き方と記載例まとめ【NANDA-Iの看護診断対応】)を参考にしてください!
【完全保存版】看護記録「SOAP」の書き方と記載例まとめ【NANDA-Iの看護診断対応】
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新人看護師
他の領域の記載例を知りたい!という人は、この記事最後にまとめているので見てみてね!
*ご紹介しているのはあくまでも記載例ですので、実際は担当する患者にあわせて修正してご使用ください。
*できるだけ多くの患者に適応できるよう、あえて抽象的な内容を含めている部分がございます。こちらもご活用いただく際はご注意ください。
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【NANDA-I看護診断】領域13「成長/発達」の看護計画の記載例まとめ【コピペ可】
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NANDA-I領域13「成長/発達」の看護診断名一覧
NANDA-I領域13「成長/発達」は、類①〜②に分けられます。
それぞれの診断名一覧は以下の通りです。
- 類① 成長
- 本類には現在該当する看護診断なし
- 類② 発達
- ・小児発達遅延
・小児発達遅延リスク状態
・乳児運動発達遅延
・乳児運動発達遅延リスク状態
類①-本類には現在該当する看護診断なし
類②-小児発達遅延
コード:00314
- 定義
- 小児が発達のマイルストーン(目安)を、期待される時間枠では継続して達成できない状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 小児発達遅延 |
S(主観的情報) | ※小児は主観的情報を直接訴えられないため、保護者の発言を記載 「同じ年齢の子どもに比べて、言葉や動きが遅れているように感じます。」「周りと遊ぶのが苦手みたいで、心配です。」 |
O(客観的情報) | 年齢相応の発達マイルストーン(例:言語、運動、社会性)を達成していない。 言葉の遅れや身体動作のぎこちなさが確認される。 他児との交流が乏しく、社会的な反応が弱い場合がある。 健康診断や発達スクリーニングで遅れが指摘されている。 |
A(評価) | 年齢に応じた発達マイルストーンの達成が遅れており、運動、言語、認知、または社会性のいずれか、あるいは複数の領域における遅れが確認される。この遅れが早期に対応されない場合、将来的な学習や社会適応に影響を及ぼす可能性がある。 |
P(計画) | 専門家(例:小児科医、発達心理士、理学療法士)による詳細な評価を受け、具体的な発達支援計画を立てる。 保護者に対し、小児の発達特性とサポート方法についての教育を行い、不安を軽減する。 運動や言語の発達を促進するための遊びや活動(例:絵本の読み聞かせ、手遊び、運動遊び)を提案する。 発達支援プログラムや早期介入サービス(例:理学療法、作業療法、言語療法)への参加を推奨する。 家庭環境でのポジティブな発達刺激を提供するため、保護者と具体的な取り組み方法を共有する。 同年代の子どもと交流する機会(例:プレイグループ、保育所)を増やし、社会性の発達を支援する。 進捗を定期的に確認し、発達の状況に応じて支援計画を柔軟に調整する。 必要に応じて、専門家や教育機関と連携し、小児の全体的な成長を支える包括的なサポート体制を整える。 |
類②-小児発達遅延リスク状態
コード:00305
- 定義
- 小児が発達のマイルストーン(目安)を、期待される時間枠では達成するのが困難になりやすい状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 小児発達遅延リスク状態 |
S(主観的情報) | ※小児は主観的情報を直接訴えられないため、保護者の発言を記載 「まだ言葉が出てこなくて、このままで大丈夫なのか心配です。」「歩くのが遅い気がして、少し不安です。」 |
O(客観的情報) | 発達マイルストーンの達成が遅れる可能性を示す兆候(例:運動能力、言語発達の遅れ)が観察される。 健康診断や育児相談で、発達に関する懸念が指摘されている場合がある。 家庭環境や育児環境が発達を促進する刺激に乏しい状況がある(例:交流の機会が少ない、保護者の育児不安が強い)。 出生時のリスク要因(例:低出生体重、早産)がある場合が確認される。 |
A(評価) | 年齢相応の発達を妨げる可能性がある要因が存在し、小児発達遅延のリスクが高い状態。このまま適切な支援が行われない場合、発達の遅れが顕在化する可能性がある。 |
P(計画) | 定期的な健康診断や発達スクリーニングを受け、小児の発達状況を詳細に評価する。 保護者に対し、発達に適した刺激(例:話しかけ、遊び、運動)を提供する方法を指導する。 地域の育児支援サービスや発達支援プログラムの利用を促し、家庭外での適切な刺激を提供する環境を整える。 同年代の子どもと交流する機会(例:児童館、保育所)を増やし、社会性や運動能力の発達を促進する。 保護者の育児不安を軽減するため、育児相談やカウンセリングを提案し、支援体制を構築する。 早期介入が必要と判断された場合、専門家(例:小児科医、発達支援専門家)と連携し、具体的な介入計画を立てる。 定期的に発達状況をモニタリングし、リスクの進展を防ぐために支援計画を調整する。 保護者と共有しながら、目標を設定し、小さな達成を積み重ねて自信を高めるサポートを行う。 |
類②-乳児運動発達遅延
コード:00315
- 定義
- 骨や筋肉の一般的な強化や、周囲の物を動かしたり周囲の物に触れたりする能力に関連した発達のマイルストーン(目安)を、常に達成できない状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 乳児運動発達遅延 |
S(主観的情報) | 「首がまだすわらなくて、同じ月齢の子より動きが遅い気がします。」「寝返りができるようになるのが遅いようで心配です。」 |
O(客観的情報) | 月齢相応の運動発達マイルストーン(例:首のすわり、寝返り、おすわり、はいはい、つかまり立ち)が達成されていない。 筋緊張の異常(例:低緊張または高緊張)が観察される場合がある。 乳児の運動範囲が限られており、手足の動きが少ない、またはぎこちない動作が見られる。 家庭環境において、運動発達を促進する活動(例:床での自由な遊び)が不足している可能性がある。 |
A(評価) | 運動発達に遅れが見られ、適切な介入が行われない場合、今後の身体的発達や運動能力に影響を及ぼす可能性がある。 |
P(計画) | 乳児の運動発達状況を正確に評価するため、小児科医や理学療法士による専門的な診察を受ける。 保護者に対し、運動発達を促進するための具体的な遊びやケア方法(例:腹ばい運動、手足を自由に動かす環境作り)を指導する。 乳児が安心して運動できる環境を整える(例:安全な床面、クッション材の使用)。 必要に応じて、早期介入プログラム(例:理学療法、作業療法)を導入し、専門的な支援を受ける。 同月齢の乳児と交流する機会を作り、自然な刺激を与えることで運動発達を促す。 保護者の不安を軽減するため、乳児の発達に関する情報提供や相談の場を設ける。 発達状況を定期的にモニタリングし、必要に応じて計画を柔軟に調整する。 保護者と共有しながら、運動発達の目標を設定し、小さな達成を喜び合えるようサポートする。 |
類②-乳児運動発達遅延リスク状態
コード:00316
- 定義
- 骨や筋肉の一般的な強化や、周囲の物を動かしたり周囲の物に触れたりする能力に関連した発達のマイルストーン(目安)を、達成するのが困難になりやすい状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 乳児運動発達遅延リスク状態 |
S(主観的情報) | ※乳児は主観的情報を直接訴えられないため、保護者の発言を記載 「まだ首がしっかりしていない気がして、心配です。」「寝返りが遅れると問題があるんじゃないかと不安です。」 |
O(客観的情報) | 月齢相応の運動発達マイルストーン(例:首のすわり、寝返り)がまだ達成されていない。 筋緊張の異常が観察される可能性がある(例:筋肉が柔らかすぎる、または硬すぎる)。 自由に動ける環境が不足している(例:長時間抱っこされたり、ベビーカーやチャイルドシートに座りっぱなしで過ごしている)。 出生時のリスク要因(例:早産、低出生体重、分娩時合併症)がある場合が確認される。 |
A(評価) | 乳児の運動発達遅延のリスクが高い状態であり、適切な刺激や支援が行われない場合、発達に影響を及ぼす可能性がある。この状態を早期に特定し、対応することが重要である。 |
P(計画) | 小児科医や発達支援専門家による発達スクリーニングを推奨し、詳細な評価を受ける。 保護者に対し、乳児の運動発達を促進するための具体的な方法(例:腹ばい遊びや自由な動きができる環境づくり)を提案する。 家庭環境を見直し、乳児が自由に動ける安全なスペースを確保するよう支援する。 地域の育児サポートセンターや子育て支援プログラムへの参加を勧め、運動刺激を増やす機会を提供する。 運動発達を観察し、リスクが顕在化しないよう定期的にモニタリングを行う。 保護者の不安を軽減するため、乳児の発達過程についての情報を提供し、具体的なケア方法を共有する。 早期介入が必要な場合、理学療法や作業療法などの専門的支援を導入する。 発達の小さな進歩を保護者と共有し、自信を持って乳児の成長を見守れるよう支援する。 |
NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)&看護計画の記載例まとめ
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看護記録(SOAP)の記載例
看護計画の記載例
引用・参考文献
T. ヘザー・ハードマン 編,上鶴 重美 訳:NANDA-I看護診断 定義と分類 2020-2023.医学書院.