この記事では、NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)の記載例を公開しています。
今回は領域12「安楽」です。
看護記録の書き方が分からない…と悩んでいる看護実習生、新人の方々はぜひ参考にしてみてください!
トコル
看護記録(SOAP)の書き方に関しては、コチラの記事(【完全保存版】看護記録「SOAP」の書き方と記載例まとめ【NANDA-Iの看護診断対応】)を参考にしてください!
【完全保存版】看護記録「SOAP」の書き方と記載例まとめ【NANDA-Iの看護診断対応】
続きを見る
新人看護師
他の領域の記載例を知りたい!という人は、この記事最後にまとめているので見てみてね!
*ご紹介しているのはあくまでも記載例ですので、実際は担当する患者にあわせて修正してご使用ください。
*できるだけ多くの患者に適応できるよう、あえて抽象的な内容を含めている部分がございます。こちらもご活用いただく際はご注意ください。
あわせて読む
【NANDA-I看護診断】領域12「安楽」の看護計画の記載例まとめ【コピペ可】
続きを見る
NANDA-I領域12「安楽」の看護診断名一覧
NANDA-I領域12「安楽」は、類①〜③に分けられます。
それぞれの診断名一覧は以下の通りです。
- 類① 身体的安楽
- ・安楽障害
・安楽促進準備状態
・悪心
・急性疼痛
・慢性疼痛
・慢性疼痛シンドローム
・分娩陣痛
- 類② 環境的安楽
- ・安楽障害
・安楽促進準備状態
- 類③ 社会的安楽
- ・安楽障害
・安楽促進準備状態
・孤独感リスク状態
・社会的孤立
類①-安楽障害
コード:00214
- 定義
- 身体的・心理スピリチュアル的・環境的・文化的・社会的側面における、安心・緩和・超越が欠如していると認識している状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 安楽障害 |
S(主観的情報) | 「なんとなく落ち着かなくて、体も心も休まらない。」「何をしても不快感が続いている感じがする。」 |
O(客観的情報) | 不快感や落ち着かなさが観察され、表情や仕草に緊張やストレスの兆候が見られる。 睡眠障害(例:入眠困難、断続的な覚醒)や食欲の低下が確認される場合がある。 痛みや不快感を訴えるが、明確な身体的原因が特定されないことがある。 環境要因(例:騒音、照明、温度)や心理的要因(例:不安、ストレス)が影響している可能性がある。 |
A(評価) | 身体的・心理的要因および環境的な問題により、安楽を保つことが困難な状態である。この状態が続くと、生活の質や健康に悪影響を及ぼす可能性がある。 |
P(計画) | 安楽を妨げる要因を特定し、それに対応するための具体的な対策を講じる(例:環境調整、不快感の緩和)。 心理的ストレスを軽減するため、リラクゼーション法(例:深呼吸、瞑想)を指導する。 痛みや身体的症状がある場合は、医療的評価を行い、必要に応じて薬物療法や理学療法を提供する。 快適な環境を整える(例:静音、適切な照明と温度、心地よい寝具の使用)。 患者の好きな活動(例:音楽、読書)を取り入れ、気持ちを落ち着かせる時間を確保する。 安楽を高めるため、家族や介護者と連携し、適切なサポートを提供する。 患者の状態を定期的に評価し、安楽のレベルに応じて支援計画を調整する。 |
類①-安楽促進準備状態
コード:00183
- 定義
- 身体的・心理スピリチュアル的・環境的・文化的・社会的側面における、安心・緩和・超越のパターンが、さらに強化可能な状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 安楽促進準備状態 |
S(主観的情報) | 「もっとリラックスできる方法を知りたい。」「体も心も安らぐ時間を増やしたいと思っている。」 |
O(客観的情報) | リラックスや安楽を求める積極的な意欲が見られる。 快適な環境や習慣を整えるために、新しい方法を試そうとする姿勢が確認される。 家族や支援者との関わりを深め、安らぎを感じられるサポートを受け入れる準備がある。 日常生活における小さな快適さ(例:好きな音楽や食事)を楽しむ行動が見られる。 |
A(評価) | 安楽を促進する準備が整っており、環境調整や自己ケアを通じて身体的・心理的な安らぎを向上させる可能性が高い状態にある。 |
P(計画) | 環境を整え、安楽を促進するための具体的な方法を提案する(例:快適な照明や温度の調整、リラックスできる空間の確保)。 リラクゼーション法(例:深呼吸、瞑想、ヨガ)を教え、日常的に実践できるよう支援する。 安楽を感じられる活動(例:趣味、音楽鑑賞、散歩)を提案し、楽しみを生活に取り入れる。 睡眠や休息の質を向上させるため、適切なスケジュールや習慣を整えるよう助言する。 心理的な安楽を促進するため、ポジティブな感情を引き出す活動や対話を取り入れる。 家族や支援者と連携し、患者が安心感を持てるようなサポート体制を整える。 定期的に状態を評価し、本人のニーズに合わせて計画を柔軟に見直す。 |
類①-悪心
コード:00134
- 定義
- のどの奥や胃に不快感を覚える主観的現象で、嘔吐を引き起こすこともあれば、そうでないこともある。
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 悪心 |
S(主観的情報) | 「気持ち悪くて、吐きそうな感じが続いている。」「食べ物を見るだけで気分が悪くなる。」 |
O(客観的情報) | 顔色の蒼白、冷や汗、頻繁な飲み込み動作などの身体症状が観察される。 食欲不振や飲食量の減少が確認される。 嘔吐を伴う場合がある。 胃の不快感や鼓動が速くなるなどの症状を訴えることがある。 |
A(評価) | 悪心が持続しており、日常生活や食事摂取に影響を与えている状態。このままでは脱水や栄養不良のリスクが生じる可能性がある。 |
P(計画) | 悪心の原因(例:消化器疾患、薬物の副作用、ストレス)を明確にするため、必要に応じて医療機関での評価を推奨する。 小分けにした食事や消化に良い食品を提案し、食事の負担を軽減する。 悪心を抑えるため、医師の指示のもと、必要に応じて制吐薬(例:メトクロプラミド、オンダンセトロン)を使用する。 環境を整え、悪心を誘発する刺激(例:強い匂い、音、視覚的な刺激)を避けるよう指導する。 心理的ストレスが原因の場合、リラクゼーション法(例:深呼吸、瞑想)を取り入れることで悪心を軽減する。 水分摂取をこまめに行い、脱水を防ぐ(例:冷たい水やイオン飲料の少量摂取)。 悪心が軽減しない場合や症状が悪化する場合は、早急に医師の診察を受けるよう指導する。 状態を定期的に観察し、必要に応じてケア計画を調整する。 |
類①-急性疼痛
コード:00132
- 定義
- 実在する、あるいは潜在する組織損傷に伴う、もしくはそのような損傷によって説明される、不快な感覚的および情動的経験。発症は突発的または遅発的で、強さは軽度から重度までさまざまあり、回復が期待・予測でき、継続が3ヶ月未満
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 急性疼痛 |
S(主観的情報) | 「突然、鋭い痛みが走った。」「動かすたびに痛くてたまらない。」 |
O(客観的情報) | 表情のゆがみ、体のこわばり、身をよじるなどの疼痛行動が観察される。 血圧や心拍数の上昇、発汗などの自律神経反応が認められる。 特定の部位を押さえる、動作を控えるなど、痛みを回避しようとする行動が見られる。 突発的な外傷、手術後、炎症、急性疾患などが疼痛の原因である場合が多い。 |
A(評価) | 急性の疼痛が発生しており、日常生活や身体機能に支障をきたしている状態。この状態が続くと、心理的ストレスや二次的な問題(例:筋緊張、睡眠障害)が発生するリスクがある。 |
P(計画) | 疼痛の原因を明確にするため、必要に応じて診察や検査を勧める。 疼痛管理のために、医師の指示のもと適切な鎮痛薬(例:アセトアミノフェン、NSAIDs、オピオイド)を使用する。 患部を固定する、アイシングや温熱療法を行うなど、疼痛緩和のための物理的手段を提案する。 リラクゼーション法(例:深呼吸、瞑想)を教え、痛みの知覚を軽減する心理的サポートを提供する。 患者の姿勢や動作を調整し、疼痛を引き起こす動きを避けるよう指導する。 疼痛の強さや頻度を定期的に評価し、症状に応じた対応を継続する。 急性疼痛が緩和された後も、再発防止や根本的な原因への治療を計画する。 患者に疼痛の経過や治療方法を説明し、安心感を持たせる。 |
類①-慢性疼痛
コード:00133
- 定義
- 実在する、あるいは潜在する組織損傷に伴う、もしくはそのような損傷によって説明される、不快な感覚的および情動的経験。発症は突発的または遅発的で、強さは軽度から重度までさまざまあり、回復が期待・予測できず、継続が3ヶ月以上
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 慢性疼痛 |
S(主観的情報) | 「ずっと痛みが続いていて、普通の生活ができない。」「どう対処しても痛みがなくならないので、気が滅入る。」 |
O(客観的情報) | 痛みが3か月以上続いており、明確な病因が特定されない場合もある。 患者が痛みを避けるための制限的な行動(例:動作を控える、外出を避ける)が観察される。 睡眠障害、食欲不振、疲労感などの症状が併発している場合がある。 精神的ストレスや抑うつ状態、不安が影響している可能性が高い。 |
A(評価) | 慢性的な疼痛が身体的・心理的・社会的に負担を与えており、生活の質を大きく低下させている。このままでは、身体機能の低下や心理的な悪循環が進むリスクがある。 |
P(計画) | 疼痛の評価を定期的に行い、痛みの強さや部位、誘発因子を詳細に記録する。 医師の指示に基づき、慢性疼痛の管理に適した薬物療法(例:非ステロイド性抗炎症薬、抗うつ薬、抗てんかん薬)を導入する。 物理療法(例:理学療法、マッサージ、運動療法)を提案し、身体機能の維持・改善を図る。 心理的サポート(例:認知行動療法、マインドフルネス)を提供し、痛みに対するストレスや不安を軽減する。 患者の生活習慣(例:睡眠、食事、運動)を整えるよう支援し、痛みの緩和を促進する。 痛みを軽減するための代替療法(例:鍼治療、アロマセラピー)を検討する。 家族や支援者と連携し、患者が孤立せず適切なサポートを受けられる環境を整える。 患者の目標に基づいたケア計画を作成し、小さな成功体験を積み重ねて生活の質を向上させる。 慢性疼痛の進行状況を定期的にモニタリングし、計画を柔軟に調整する。 |
類①-慢性疼痛シンドローム
コード:00255
- 定義
- 反復性あるいは持続性の疼痛が、3ヶ月以上続き、日常的な機能やウェルビーイングに大きな影響を及ぼしている状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 慢性疼痛シンドローム |
S(主観的情報) | 「ずっと痛みが続いて、日常生活ができないくらい辛い。」「痛みのせいで気分も落ち込み、何をする気も起きない。」 |
O(客観的情報) | 6か月以上の持続的な疼痛があり、痛みが患者の生活全般に影響を及ぼしている。 痛みによる身体活動の制限、睡眠障害、社会的孤立が観察される。 抑うつ、不安、イライラなどの心理的症状が併存している。 痛みに対する過剰な意識や回避行動が見られる。 通常の疼痛管理(例:薬物療法)が十分に効果を発揮していない。 |
A(評価) | 慢性的な疼痛が身体的、心理的、社会的側面で悪循環を引き起こし、慢性疼痛シンドロームの状態にある。この状態が続くと、生活の質がさらに低下し、社会的機能の喪失が進む可能性がある。 |
P(計画) | 痛みとその影響を包括的に評価するため、多職種のチーム(医師、看護師、心理士、理学療法士)と連携する。 薬物療法(例:抗うつ薬、抗てんかん薬、神経ブロック療法)の調整を行い、適切な疼痛管理を行う。 理学療法や運動療法を取り入れ、身体機能を維持・回復させる。 心理的支援(例:認知行動療法、マインドフルネス)を提供し、痛みへの認識やストレスの軽減を図る。 患者のライフスタイル(例:睡眠、栄養、運動)を改善するための支援を行う。 患者が孤立しないよう、家族や友人との関係を強化し、社会的サポートを提供する。 代替療法(例:鍼治療、ヨガ、瞑想)を検討し、痛みの軽減に役立つ補完的なケアを提供する。 患者が自分で痛みを管理できるよう、教育プログラムやセルフケアスキルを指導する。 進捗を定期的に確認し、痛みの強さや影響をモニタリングしながら、計画を柔軟に調整する。 |
類①-分娩陣痛
コード:00256
- 定義
- 分娩と出産に伴い、心地よいものから不快なものまでさまざまな感覚的また情動的な経験をしている状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 分娩陣痛 |
S(主観的情報) | 「お腹が強く張って、痛みがだんだん激しくなってきた。」「定期的に痛みが来るようになった。」 |
O(客観的情報) | 規則的な子宮収縮が確認され、間隔が短くなり、強度が増している。 分娩進行の兆候(例:子宮口の開大、胎児の下降)が観察される。 呼吸が浅く速くなり、痛みに対して緊張した表情や体のこわばりが見られる。 分娩に向けた準備(例:入院、医療スタッフのサポート)が必要な段階にある。 |
A(評価) | 分娩の第一期(開口期)における分娩陣痛が始まり、子宮収縮に伴う疼痛が現れている。この疼痛は分娩の進行に伴い増強し、適切なサポートが必要である。 |
P(計画) | 子宮収縮の間隔、持続時間、強さを記録し、分娩の進行状況をモニタリングする。 分娩の痛みに対応するため、呼吸法(例:ラマーズ法)の指導やリラクゼーション法を活用する。 痛みが強い場合は、医師と相談の上、適切な鎮痛法(例:硬膜外麻酔、笑気ガス)を導入する。 水分補給や軽食(可能であれば)を提案し、体力を維持するようサポートする。 感情的な安心感を与えるため、家族やパートナーと一緒にいる環境を整える。 分娩室での環境を快適に保つため、照明や温度、静かさを調整する。 分娩の進行状況に応じて、次の段階(例:分娩の第二期)への準備を進める。 定期的に胎児の心拍をモニタリングし、母子の安全を確保するための適切なケアを継続する。 |
類②-安楽障害
コード:00214
- 定義
- 身体的・心理スピリチュアル的・環境的・文化的・社会的側面における、安心・緩和・超越が欠如していると認識している状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 安楽障害 |
S(主観的情報) | 「なんだか体も心も落ち着かない感じがする。」「どんな姿勢を取っても楽にならない。」 |
O(客観的情報) | 体のこわばりや表情の緊張が見られる。 痛み、不快感、またはその他の症状(例:かゆみ、倦怠感)を訴える場合がある。 睡眠が断続的、または浅い状態が観察される。 環境の影響(例:騒音、照明、温度)が不快感を増している可能性がある。 |
A(評価) | 身体的、心理的、または環境的な要因により、安楽を保つことが困難な状態。この状態が続くと、睡眠障害、心理的ストレス、全体的な生活の質の低下を引き起こす可能性がある。 |
P(計画) | 安楽を妨げる要因を特定し、取り除けるものについて対策を講じる(例:適切な姿勢調整、環境の静音化)。 痛みや不快感がある場合は、医師の指示のもと、鎮痛薬や補助的なケアを実施する。 リラクゼーション法(例:深呼吸、瞑想、軽いストレッチ)を指導し、心身の緊張を緩和する。 睡眠環境を整える(例:快適な寝具、適切な室温と照明)ことで、夜間の安楽をサポートする。 好きな音楽やアロマテラピーなど、患者がリラックスできる方法を取り入れる。 心理的な安楽を促進するため、患者の感情を傾聴し、安心感を提供する。 定期的に患者の状態を評価し、安楽度を確認しながらケア計画を調整する。 必要に応じて、家族や介護者と協力し、患者の安楽を維持するためのサポートを強化する。 |
類②-安楽促進準備状態
コード:00183
- 定義
- 身体的・心理スピリチュアル的・環境的・文化的・社会的側面における、安心・緩和・超越のパターンが、さらに強化可能な状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 安楽促進準備状態 |
S(主観的情報) | 「もっとリラックスできる時間を増やしたい。」「心も体も楽になる方法を試してみたいと思っている。」 |
O(客観的情報) | 安楽を求める前向きな姿勢が見られる。 環境を整えたり、新しい方法を試そうとする意欲が観察される。 家族や支援者と積極的に関わろうとする行動が確認される。 日常生活の中で安楽を得るための調整を自主的に行っている。 |
A(評価) | 身体的・心理的な安楽を向上させる準備が整っており、適切な支援を通じて生活の質を向上させる可能性が高い状態にある。 |
P(計画) | 安楽を促進するために適した環境を整える(例:静かな空間の確保、心地よい温度設定)。 リラクゼーション法(例:深呼吸、瞑想、ヨガ)を提案し、日常生活に取り入れる方法を教える。 好きな活動(例:音楽鑑賞、散歩、趣味)を増やし、気持ちを落ち着ける時間を作る。 睡眠や休息の質を向上させるため、適切な生活リズムやリラックスできる寝具の選択を支援する。 感情面の安楽を促進するため、日々のポジティブな体験や達成感を振り返る機会を設ける。 家族や支援者とのコミュニケーションを深め、安楽を支える環境を構築する。 定期的に安楽の度合いを評価し、ニーズに合わせてケア計画を調整する。 新しいリラクゼーション技法やケア方法の導入を検討し、効果を評価しながら調整する。 |
類③-安楽障害
コード:00214
- 定義
- 身体的・心理スピリチュアル的・環境的・文化的・社会的側面における、安心・緩和・超越が欠如していると認識している状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 安楽障害 |
S(主観的情報) | 「周りの人とうまく関われていない感じがする。」「話し相手がいなくて孤独を感じる。」 |
O(客観的情報) | 他者との交流が減少しており、孤立感が見られる。 社会的支援ネットワークが十分に機能していない。 会話や表情に消極的な傾向があり、対人関係における不安が観察される。 交流を避ける行動や、自分の感情を表現する機会が少ない。 |
A(評価) | 社会的要因により安楽が損なわれており、孤独感や対人関係の欠如が心理的な不安定さを引き起こしている。この状態が続くと、さらに孤立が深まり、生活の質が低下するリスクがある。 |
P(計画) | 社会的支援を強化するため、地域のコミュニティ活動や支援グループへの参加を促す。 本人の興味や関心に基づいた交流の機会を提案し、ポジティブな対人関係を構築できるよう支援する。 家族や友人と定期的に話し合う時間を設け、感情を共有する場を提供する。 対人関係における不安がある場合、コミュニケーションスキル(例:アサーション)の習得を支援する。 孤独感の緩和に向けて、趣味や活動を取り入れることで社会的なつながりを増やす機会を提供する。 必要に応じてカウンセリングや心理的支援を導入し、感情の整理と社会的安楽の促進を図る。 進捗を定期的にモニタリングし、本人のニーズや状態に応じて支援計画を柔軟に調整する。 |
類③-安楽促進準備状態
コード:00183
- 定義
- 身体的・心理スピリチュアル的・環境的・文化的・社会的側面における、安心・緩和・超越のパターンが、さらに強化可能な状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 安楽促進準備状態 |
S(主観的情報) | 「もっと人とつながって、安心感を得たいと思っている。」「新しい人と関わるのが少し楽しみになってきた。」 |
O(客観的情報) | 他者との交流を増やしたいという前向きな姿勢が見られる。 地域活動やグループへの参加意欲を示している。 家族や友人との関係を深めようとする行動が観察される。 他者とのつながりが安楽の一因であると本人が認識している様子が確認される。 |
A(評価) | 社会的安楽を促進する準備が整っており、適切な支援を通じて対人関係の充実や心理的安定を向上させる可能性が高い状態である。 |
P(計画) | 地域のコミュニティ活動や趣味グループへの参加を提案し、交流の機会を広げる。 家族や友人とポジティブな時間を共有するための具体的な行動計画を立てる(例:定期的な会話や共同の活動)。 交流の場でリラックスできるよう、簡単なコミュニケーションスキル(例:傾聴や相槌)を指導する。 社会的なつながりを広げるために、本人の興味や特技に基づいた活動を提案する。 交流に対する不安を軽減するため、心理的サポートやリラクゼーション法を取り入れる。 社会的支援ネットワーク(例:地域のボランティア団体、サポートグループ)を紹介し、本人が利用できるよう支援する。 進捗を定期的に確認し、本人が実感する社会的安楽の程度をモニタリングしながら計画を柔軟に調整する。 |
類③-孤独感リスク状態
コード:00054
- 定義
- 他者とのより多くの接触の願望や必要性に関連した、不快感を経験しやすく、健康を損なう恐れがある状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 孤独感リスク状態 |
S(主観的情報) | 「一人で過ごす時間が多くて、少し寂しい気がする。」「話せる人があまりいなくて、不安になることがある。」 |
O(客観的情報) | 家族や友人との交流頻度が減少している。 社会的なサポートネットワークが弱い状況が確認される。 対人関係を避ける傾向があり、社会活動やコミュニティへの参加が少ない。 感情表現が乏しく、内向的な態度が目立つ。 |
A(評価) | 社会的孤立やサポート不足により、孤独感を抱えるリスクが高い状態。このままでは、心理的な不安定さや生活の質の低下が進む可能性がある。 |
P(計画) | 孤独感を軽減するため、本人に合った社会的交流の場を提案する(例:趣味活動、地域のサポートグループ)。 定期的なコミュニケーションの機会を設け、家族や友人とのつながりを強化する方法を考える。 交流に不安を感じる場合、簡単な対人スキル(例:自己紹介や傾聴の練習)を支援する。 心理的サポートを提供し、孤独感の背景にある感情や思考パターンを整理する手助けをする。 地域のリソース(例:ボランティア団体、地域センター)を紹介し、社会的な支援体制を整える。 進捗を定期的に確認し、孤独感を減らすための計画を本人のペースに合わせて柔軟に調整する。 孤独感の軽減に向けて成功体験を積み重ね、自信を回復させる支援を行う。 |
類③-社会的孤立
コード:00053
- 定義
- 前向きで、長続きする、意義深い対人関係につながる交流感を欠いた状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 社会的孤立 |
S(主観的情報) | 「誰とも話す機会がなく、毎日一人でいるのがつらい。」「助けてくれる人がいないように感じる。」 |
O(客観的情報) | 家族や友人との交流がほとんどなく、外出や社会活動が減少している。 感情表現が乏しく、孤独感や無力感を訴えることが多い。 生活環境における支援者が不在で、サポートを受ける体制が整っていない。 基本的な生活リズムが乱れ、健康管理が不十分な場合がある。 |
A(評価) | 社会的孤立が進行しており、心理的な安定や生活の質に重大な影響を及ぼしている。この状態が継続すると、抑うつや身体的健康の悪化につながるリスクがある。 |
P(計画) | 社会的支援を強化するため、地域のコミュニティ活動や支援団体への参加を提案する。 家族や友人との関係を再構築するため、連絡や会話のきっかけ作りを支援する。 心理的サポートを提供し、孤立感の背景にある感情や思考を整理する機会を設ける。 外出や趣味活動を促進し、社会参加のきっかけとなる環境を整える。 必要に応じて、ソーシャルワーカーや地域包括支援センターと連携し、長期的な支援体制を確立する。 孤立状態を改善するため、小さな目標を設定し、達成感を感じられる活動を積み重ねる。 定期的に状況をモニタリングし、孤立状態が改善しているか評価しながら計画を柔軟に調整する。 孤立による身体的健康リスクを軽減するため、適切な健康管理をサポートする(例:栄養、運動、医療機関受診)。 |
NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)&看護計画の記載例まとめ
当サイトでは、今回ご紹介した領域の他にも、NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)&看護計画の記載例を多数まとめています。
ぜひ、日々の業務のご活用ください!
看護記録(SOAP)の記載例
看護計画の記載例
引用・参考文献
T. ヘザー・ハードマン 編,上鶴 重美 訳:NANDA-I看護診断 定義と分類 2020-2023.医学書院.