この記事では、NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)の記載例を公開しています。
今回は領域12「安楽」です。
看護記録の書き方が分からない…と悩んでいる看護実習生、新人の方々はぜひ参考にしてみてください!

看護記録(SOAP)の書き方に関しては、コチラの記事(【完全保存版】看護記録「SOAP」の書き方と記載例まとめ【NANDA-Iの看護診断対応】)を参考にしてください!
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【完全保存版】看護記録「SOAP」の書き方と記載例まとめ【NANDA-Iの看護診断対応】
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他の領域の記載例を知りたい!という人は、この記事最後にまとめているので見てみてね!
*ご紹介しているのはあくまでも記載例ですので、実際は担当する患者にあわせて修正してご使用ください。
*できるだけ多くの患者に適応できるよう、あえて抽象的な内容を含めている部分がございます。こちらもご活用いただく際はご注意ください。
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【NANDA-I看護診断】領域12「安楽」の看護計画の記載例まとめ【コピペ可】
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NANDA-I領域12「安楽」の看護診断名一覧

NANDA-I領域12「安楽」は、類①〜③に分けられます。
それぞれの診断名一覧は以下の通りです。
- 類① 身体的安楽
- ・身体的安楽障害
・身体的安楽促進準備状態
・終末期安楽障害シンドローム
・急性疼痛
・慢性疼痛シンドローム
・慢性疼痛
・分娩陣痛
- 類② 環境的安楽
- 本類には現在該当する看護診断なし
- 類③ 社会的安楽
- ・社会的安楽促進準備状態
・社会的関係性不足
・社会的支援ネットワーク不足
・孤独感過剰
・孤独感過剰リスク状態
- 類④ 精神的安楽
- ・精神的安楽障害
・精神的安楽促進準備状態
類①-身体的安楽障害

コード:00380
- 定義
- 安らぎ、充足感、肉体のウェルビーイングの欠如を感じる状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 身体的安楽障害 |
S(主観的情報) | 「なんとなく落ち着かなくて、体も心も休まらない。」「何をしても不快感が続いている感じがする。」 |
O(客観的情報) | 不快感や落ち着かなさが観察され、表情や仕草に緊張やストレスの兆候が見られる。 睡眠障害(例:入眠困難、断続的な覚醒)や食欲の低下が確認される場合がある。 痛みや不快感を訴えるが、明確な身体的原因が特定されないことがある。 環境要因(例:騒音、照明、温度)や心理的要因(例:不安、ストレス)が影響している可能性がある。 |
A(評価) | 身体的・心理的要因および環境的な問題により、安楽を保つことが困難な状態である。この状態が続くと、生活の質や健康に悪影響を及ぼす可能性がある。 |
P(計画) | 安楽を妨げる要因を特定し、それに対応するための具体的な対策を講じる(例:環境調整、不快感の緩和)。 心理的ストレスを軽減するため、リラクゼーション法(例:深呼吸、瞑想)を指導する。 痛みや身体的症状がある場合は、医療的評価を行い、必要に応じて薬物療法や理学療法を提供する。 快適な環境を整える(例:静音、適切な照明と温度、心地よい寝具の使用)。 患者の好きな活動(例:音楽、読書)を取り入れ、気持ちを落ち着かせる時間を確保する。 安楽を高めるため、家族や介護者と連携し、適切なサポートを提供する。 患者の状態を定期的に評価し、安楽のレベルに応じて支援計画を調整する。 |
類①-身体的安楽促進準備状態
コード:00378
- 定義
- 安らぎ、充足感、肉体のウェルビーイングのパターンが強化可能な状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 身体的安楽促進準備状態 |
S(主観的情報) | 「もっとリラックスできる方法を知りたい。」「体も心も安らぐ時間を増やしたいと思っている。」 |
O(客観的情報) | リラックスや安楽を求める積極的な意欲が見られる。 快適な環境や習慣を整えるために、新しい方法を試そうとする姿勢が確認される。 家族や支援者との関わりを深め、安らぎを感じられるサポートを受け入れる準備がある。 日常生活における小さな快適さ(例:好きな音楽や食事)を楽しむ行動が見られる。 |
A(評価) | 安楽を促進する準備が整っており、環境調整や自己ケアを通じて身体的・心理的な安らぎを向上させる可能性が高い状態にある。 |
P(計画) | 環境を整え、安楽を促進するための具体的な方法を提案する(例:快適な照明や温度の調整、リラックスできる空間の確保)。 リラクゼーション法(例:深呼吸、瞑想、ヨガ)を教え、日常的に実践できるよう支援する。 安楽を感じられる活動(例:趣味、音楽鑑賞、散歩)を提案し、楽しみを生活に取り入れる。 睡眠や休息の質を向上させるため、適切なスケジュールや習慣を整えるよう助言する。 心理的な安楽を促進するため、ポジティブな感情を引き出す活動や対話を取り入れる。 家族や支援者と連携し、患者が安心感を持てるようなサポート体制を整える。 定期的に状態を評価し、本人のニーズに合わせて計画を柔軟に見直す。 |
類①-終末期安楽障害シンドローム
コード:00342
- 定義
- 死のプロセスが差し迫っていることで、身体面、心理面、社会面、スピリチュアル面の症状が進行している状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 終末期安楽障害シンドローム |
S(主観的情報) | 「このまま苦しみながら死ぬのではないかと怖い」「痛みがとれないのが一番つらい」「家族に迷惑をかけているのが申し訳ない」 |
O(客観的情報) | 持続的な身体的苦痛(疼痛、呼吸困難、倦怠感など)に対し、症状緩和が十分に達成されていない 不安や抑うつの傾向がみられ、夜間不眠や涙もろさが出現している 治療やケアの選択に対して消極的な姿勢を示し、生きる意欲の低下が認められる 表情に苦悶がみられ、体位調整や接触にも敏感に反応する 家族との関係に葛藤があり、支援体制が不安定 |
A(評価) | 身体的・心理的・社会的苦痛が多層的に存在しており、終末期における快適さと尊厳が著しく損なわれている状態 症状緩和・精神的支援・意思決定支援・家族ケアなど多職種連携による包括的介入が必要とされる |
P(計画) | 疼痛・呼吸困難などの症状緩和を目的とした薬物・非薬物的アプローチを医師と連携し実施する 苦痛の訴えに丁寧に傾聴し、不安や恐怖への共感的対応を継続する スピリチュアルな苦悩や死に対する不安に対して、宗教的・哲学的支援が必要な場合は専門職(チャプレンなど)と連携する 本人の価値観に基づいた意思決定支援を行い、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の導入を検討する 家族に対してもケアの意味や現状を共有し、介護の不安や悲嘆へのサポートを行う |
類①-急性疼痛
コード:00132
- 定義
- 実際のまたは潜在的な組織損傷、それに類似する状態に関連した、続いても3ヶ月未満の、不快な感覚と情動的な体験
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 急性疼痛 |
S(主観的情報) | 「突然、鋭い痛みが走った。」「動かすたびに痛くてたまらない。」 |
O(客観的情報) | 表情のゆがみ、体のこわばり、身をよじるなどの疼痛行動が観察される。 血圧や心拍数の上昇、発汗などの自律神経反応が認められる。 特定の部位を押さえる、動作を控えるなど、痛みを回避しようとする行動が見られる。 突発的な外傷、手術後、炎症、急性疾患などが疼痛の原因である場合が多い。 |
A(評価) | 急性の疼痛が発生しており、日常生活や身体機能に支障をきたしている状態。この状態が続くと、心理的ストレスや二次的な問題(例:筋緊張、睡眠障害)が発生するリスクがある。 |
P(計画) | 疼痛の原因を明確にするため、必要に応じて診察や検査を勧める。 疼痛管理のために、医師の指示のもと適切な鎮痛薬(例:アセトアミノフェン、NSAIDs、オピオイド)を使用する。 患部を固定する、アイシングや温熱療法を行うなど、疼痛緩和のための物理的手段を提案する。 リラクゼーション法(例:深呼吸、瞑想)を教え、痛みの知覚を軽減する心理的サポートを提供する。 患者の姿勢や動作を調整し、疼痛を引き起こす動きを避けるよう指導する。 疼痛の強さや頻度を定期的に評価し、症状に応じた対応を継続する。 急性疼痛が緩和された後も、再発防止や根本的な原因への治療を計画する。 患者に疼痛の経過や治療方法を説明し、安心感を持たせる。 |
類①-慢性疼痛シンドローム
コード:00255
- 定義
- 反復性または持続性の疼痛が3ヶ月以上続き、日常の機能やウェルビーイングに深刻な影響を及ぼしている状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 慢性疼痛シンドローム |
S(主観的情報) | 「ずっと痛みが続いて、日常生活ができないくらい辛い。」「痛みのせいで気分も落ち込み、何をする気も起きない。」 |
O(客観的情報) | 6か月以上の持続的な疼痛があり、痛みが患者の生活全般に影響を及ぼしている。 痛みによる身体活動の制限、睡眠障害、社会的孤立が観察される。 抑うつ、不安、イライラなどの心理的症状が併存している。 痛みに対する過剰な意識や回避行動が見られる。 通常の疼痛管理(例:薬物療法)が十分に効果を発揮していない。 |
A(評価) | 慢性的な疼痛が身体的、心理的、社会的側面で悪循環を引き起こし、慢性疼痛シンドロームの状態にある。この状態が続くと、生活の質がさらに低下し、社会的機能の喪失が進む可能性がある。 |
P(計画) | 痛みとその影響を包括的に評価するため、多職種のチーム(医師、看護師、心理士、理学療法士)と連携する。 薬物療法(例:抗うつ薬、抗てんかん薬、神経ブロック療法)の調整を行い、適切な疼痛管理を行う。 理学療法や運動療法を取り入れ、身体機能を維持・回復させる。 心理的支援(例:認知行動療法、マインドフルネス)を提供し、痛みへの認識やストレスの軽減を図る。 患者のライフスタイル(例:睡眠、栄養、運動)を改善するための支援を行う。 患者が孤立しないよう、家族や友人との関係を強化し、社会的サポートを提供する。 代替療法(例:鍼治療、ヨガ、瞑想)を検討し、痛みの軽減に役立つ補完的なケアを提供する。 患者が自分で痛みを管理できるよう、教育プログラムやセルフケアスキルを指導する。 進捗を定期的に確認し、痛みの強さや影響をモニタリングしながら、計画を柔軟に調整する。 |
類①-慢性疼痛
コード:00133
- 定義
- 実際のまたは潜在的な組織損傷、それに類似する状態に関連した、続いても3ヶ月以上続く、不快な感覚と情動的な体験
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 慢性疼痛 |
S(主観的情報) | 「ずっと痛みが続いていて、普通の生活ができない。」「どう対処しても痛みがなくならないので、気が滅入る。」 |
O(客観的情報) | 痛みが3か月以上続いており、明確な病因が特定されない場合もある。 患者が痛みを避けるための制限的な行動(例:動作を控える、外出を避ける)が観察される。 睡眠障害、食欲不振、疲労感などの症状が併発している場合がある。 精神的ストレスや抑うつ状態、不安が影響している可能性が高い。 |
A(評価) | 慢性的な疼痛が身体的・心理的・社会的に負担を与えており、生活の質を大きく低下させている。このままでは、身体機能の低下や心理的な悪循環が進むリスクがある。 |
P(計画) | 疼痛の評価を定期的に行い、痛みの強さや部位、誘発因子を詳細に記録する。 医師の指示に基づき、慢性疼痛の管理に適した薬物療法(例:非ステロイド性抗炎症薬、抗うつ薬、抗てんかん薬)を導入する。 物理療法(例:理学療法、マッサージ、運動療法)を提案し、身体機能の維持・改善を図る。 心理的サポート(例:認知行動療法、マインドフルネス)を提供し、痛みに対するストレスや不安を軽減する。 患者の生活習慣(例:睡眠、食事、運動)を整えるよう支援し、痛みの緩和を促進する。 痛みを軽減するための代替療法(例:鍼治療、アロマセラピー)を検討する。 家族や支援者と連携し、患者が孤立せず適切なサポートを受けられる環境を整える。 患者の目標に基づいたケア計画を作成し、小さな成功体験を積み重ねて生活の質を向上させる。 慢性疼痛の進行状況を定期的にモニタリングし、計画を柔軟に調整する。 |
類①-分娩陣痛
コード:00256
- 定義
- 分娩と出産に関連し、快から不快まで変化する、感覚と情動的な体験
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 分娩陣痛 |
S(主観的情報) | 「お腹が強く張って、痛みがだんだん激しくなってきた。」「定期的に痛みが来るようになった。」 |
O(客観的情報) | 規則的な子宮収縮が確認され、間隔が短くなり、強度が増している。 分娩進行の兆候(例:子宮口の開大、胎児の下降)が観察される。 呼吸が浅く速くなり、痛みに対して緊張した表情や体のこわばりが見られる。 分娩に向けた準備(例:入院、医療スタッフのサポート)が必要な段階にある。 |
A(評価) | 分娩の第一期(開口期)における分娩陣痛が始まり、子宮収縮に伴う疼痛が現れている。この疼痛は分娩の進行に伴い増強し、適切なサポートが必要である。 |
P(計画) | 子宮収縮の間隔、持続時間、強さを記録し、分娩の進行状況をモニタリングする。 分娩の痛みに対応するため、呼吸法(例:ラマーズ法)の指導やリラクゼーション法を活用する。 痛みが強い場合は、医師と相談の上、適切な鎮痛法(例:硬膜外麻酔、笑気ガス)を導入する。 水分補給や軽食(可能であれば)を提案し、体力を維持するようサポートする。 感情的な安心感を与えるため、家族やパートナーと一緒にいる環境を整える。 分娩室での環境を快適に保つため、照明や温度、静かさを調整する。 分娩の進行状況に応じて、次の段階(例:分娩の第二期)への準備を進める。 定期的に胎児の心拍をモニタリングし、母子の安全を確保するための適切なケアを継続する。 |
類②-本類には現在該当する看護診断なし
類③-社会的安楽促進準備状態
コード:00376
- 定義
- 安らぎ、充足感、人間関係のウェルビーイングのパターンが強化可能な状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 社会的安楽促進準備状態 |
S(主観的情報) | 「最近、人と話すのが楽しくなってきた」「誰かと一緒に過ごすと安心する」「もっと誰かと関わってみたい気持ちがある」 |
O(客観的情報) | 他者との関わりに対して前向きな姿勢がみられ、笑顔や会話の回数が増加している 集団活動や面会に積極的に参加しようとする様子がある 以前は孤立傾向にあったが、現在は看護師や他利用者との信頼関係が築かれつつある 環境への適応が進み、生活リズムや心理状態が安定している |
A(評価) | 社会的つながりや交流を求める意欲が高まっており、今後さらに社会的安楽(安心感・受容・一体感など)を深める準備が整っている状態 対人関係や環境への支援を通じて、本人の社会的ウェルビーイングが向上する可能性が高い |
P(計画) | 本人が安心して人と関われる機会を意識的に提供し、小集団活動や対話の場を設定する 本人の人間関係における希望や不安について傾聴し、安心できる関係づくりを支援する 過去の交流経験や得意なコミュニケーション方法をふまえて、関わり方の工夫を行う 必要に応じて家族や地域の支援者との再交流の場を調整する 社会的なつながりが継続・拡大できるよう、活動の記録や振り返りを取り入れ、成功体験を強化する |
類③-社会的関係性不足
コード:00383
- 定義
- 与えられた状況の中で、自分の居場所がなく、大切にされていない、力を与えられていないと感じる状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 社会的関係性不足 |
S(主観的情報) | 「誰とも話す機会がなく、毎日一人でいるのがつらい。」「助けてくれる人がいないように感じる。」 |
O(客観的情報) | 家族や友人との交流がほとんどなく、外出や社会活動が減少している。 感情表現が乏しく、孤独感や無力感を訴えることが多い。 生活環境における支援者が不在で、サポートを受ける体制が整っていない。 基本的な生活リズムが乱れ、健康管理が不十分な場合がある。 |
A(評価) | 社会的孤立が進行しており、心理的な安定や生活の質に重大な影響を及ぼしている。この状態が継続すると、抑うつや身体的健康の悪化につながるリスクがある。 |
P(計画) | 社会的支援を強化するため、地域のコミュニティ活動や支援団体への参加を提案する。 家族や友人との関係を再構築するため、連絡や会話のきっかけ作りを支援する。 心理的サポートを提供し、孤立感の背景にある感情や思考を整理する機会を設ける。 外出や趣味活動を促進し、社会参加のきっかけとなる環境を整える。 必要に応じて、ソーシャルワーカーや地域包括支援センターと連携し、長期的な支援体制を確立する。 孤立状態を改善するため、小さな目標を設定し、達成感を感じられる活動を積み重ねる。 定期的に状況をモニタリングし、孤立状態が改善しているか評価しながら計画を柔軟に調整する。 孤立による身体的健康リスクを軽減するため、適切な健康管理をサポートする(例:栄養、運動、医療機関受診)。 |
類③-社会的支援ネットワーク不足
コード:00358
- 定義
- 対人および組織間の交流が、健康上のニーズを満たすには不十分だと感じられる状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 社会的支援ネットワーク不足 |
S(主観的情報) | 「相談できる人がいない」「何かあっても誰にも頼れない」「孤独を感じることが多い」 |
O(客観的情報) | 家族や友人との関係が希薄で、訪問や連絡がほとんどない 通院や生活支援を一人でこなしており、介護・療養における援助者が不在 他者との交流の場(地域活動や趣味など)への参加歴がなく、社会的孤立の傾向が強い 不安やストレスの訴えがあるが、相談機関や支援サービスの利用が見られない 表情が乏しく、会話も最小限で終わることが多い |
A(評価) | 生活上および心理的に支えとなる人間関係や社会資源が不足しており、健康行動や療養継続に支障をきたすリスクが高い 支援ネットワークの構築を通じて、本人の安心感・自立性・生活の安定を図ることが必要 |
P(計画) | 本人の生活歴・家族構成・交流経験を丁寧に聴取し、潜在的な支援者の存在を確認する 地域包括支援センター、ボランティア団体、民生委員などの社会資源と連携を図る 外出・交流機会を提供し、社会とのつながりを少しずつ取り戻せるよう支援する 不安や孤独感について傾聴を継続し、心理的サポートの場を提供する 必要に応じて精神保健福祉士やケースワーカーと連携し、継続的な支援体制を整える |
類③-孤独感過剰
コード:00475
- 定義
- 交友関係の欠如や他者から離れていることで、どうしようもなく悲しい気持ち、落胆、不快感のある状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 孤独感過剰 |
S(主観的情報) | 「誰とも話すことがなくて寂しい」「このままずっとひとりだったらどうしよう」「誰にも必要とされていない気がする」 |
O(客観的情報) | 面会や連絡のある家族・知人がいない、または極めて少ない 会話の機会が少なく、自発的な発言が減少している 表情が乏しく、孤立感や抑うつ的な気分が持続している様子がみられる 日中もベッド上で過ごす時間が長く、活動意欲の低下がうかがえる 集団活動や交流の機会に対して消極的な反応が多い |
A(評価) | 対人交流の欠如により、孤独感が著しく増加しており、心理的・身体的健康に悪影響を及ぼすリスクが高い 本人の背景や価値観に配慮しながら、段階的に他者とのつながりを再構築していく支援が必要 |
P(計画) | 孤独感や不安な思いを丁寧に傾聴し、安心できる関係性を築く 本人の関心に応じた交流機会(小集団活動、レクリエーションなど)を提案し、無理のない範囲で参加を促す 同じような体験を持つ他者とのつながり(ピアサポート)を検討する 家族や地域支援者と連携し、訪問や連絡の機会を調整する 心理士やソーシャルワーカーと連携し、継続的な心のサポートと社会的支援を行う |
類③-孤独感過剰リスク状態
コード:00335
- 定義
- 交友関係の欠如や他者から離れていることで、どうしようもなく悲しい気持ち、落胆、不快感の起きやすい状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 孤独感過剰リスク状態 |
S(主観的情報) | 「一人で過ごす時間が多くて、少し寂しい気がする。」「話せる人があまりいなくて、不安になることがある。」 |
O(客観的情報) | 家族や友人との交流頻度が減少している。 社会的なサポートネットワークが弱い状況が確認される。 対人関係を避ける傾向があり、社会活動やコミュニティへの参加が少ない。 感情表現が乏しく、内向的な態度が目立つ。 |
A(評価) | 社会的孤立やサポート不足により、孤独感を抱えるリスクが高い状態。このままでは、心理的な不安定さや生活の質の低下が進む可能性がある。 |
P(計画) | 孤独感を軽減するため、本人に合った社会的交流の場を提案する(例:趣味活動、地域のサポートグループ)。 定期的なコミュニケーションの機会を設け、家族や友人とのつながりを強化する方法を考える。 交流に不安を感じる場合、簡単な対人スキル(例:自己紹介や傾聴の練習)を支援する。 心理的サポートを提供し、孤独感の背景にある感情や思考パターンを整理する手助けをする。 地域のリソース(例:ボランティア団体、地域センター)を紹介し、社会的な支援体制を整える。 進捗を定期的に確認し、孤独感を減らすための計画を本人のペースに合わせて柔軟に調整する。 孤独感の軽減に向けて成功体験を積み重ね、自信を回復させる支援を行う。 |
類④-精神的安楽障害
コード:00379
- 定義
- 安らぎ、充足感、心のウェルビーイングの欠如を感じる状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 精神的安楽障害 |
S(主観的情報) | 「気持ちが落ち着かない」「心がモヤモヤして眠れない」「何のために生きているのかわからない」 |
O(客観的情報) | 落ち着きのない様子があり、不安や焦燥感を繰り返し訴えている 表情が乏しく、声のトーンも低下しており、気力の低下がうかがえる 周囲との会話や関わりに消極的で、孤立しがち 病状や将来に対する悲観的な発言が多く、希望や意欲の低下がみられる 睡眠障害や食欲低下など、身体的にも影響が出ている |
A(評価) | 不安・孤独・絶望感・価値喪失感など、精神的苦痛が多方面に及んでおり、精神的安楽が損なわれている状態 心理的支援やスピリチュアルケアを通じた心の安定と回復を図る必要がある |
P(計画) | 本人の気持ちや不安に丁寧に耳を傾け、感情を表出できるよう支援する 安心感を得られるような環境づくり(静かな空間、信頼できるスタッフの関与など)を整える 希望や意味を見出すための対話や、スピリチュアルなニーズの確認を行う 必要に応じて心理士・チャプレン・精神科医など多職種と連携し、包括的な精神的支援を提供する 本人の好きな活動や癒しとなる要素(音楽、読書、宗教的実践など)を取り入れ、精神的安定を促す |
類④-精神的安楽促進準備状態
コード:00377
- 定義
- 安らぎ、充足感、心のウェルビーイングのパターンが強化可能な状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 精神的安楽促進準備状態 |
S(主観的情報) | 「気持ちが少しずつ落ち着いてきた」「今の自分を受け入れられるようになってきた」「不安はあるけれど、前向きに考えたい」 |
O(客観的情報) | 表情が穏やかで、看護師や他者との対話に前向きな姿勢がみられる これまで避けていた話題(死生観、将来のことなど)にも言及しはじめている 落ち着いた口調で感情を語ることができ、自己理解が深まりつつある様子 睡眠や食欲など生活リズムが整い、心理的安定がみられる 日中の活動への参加や、趣味・宗教的活動に意欲を示している |
A(評価) | 精神的苦痛や不安からの回復が進み、自身の状態を受け入れ、心の安定や生きがいを見出そうとする意欲が高まっている 精神的安楽をさらに促進するために、個別の価値観や希望に寄り添った支援が有効なタイミングである |
P(計画) | 本人が大切にしている価値観や信念を尊重し、それに基づいた対話や支援を行う スピリチュアルケア(信仰、人生の意味、希望など)について希望があれば専門職との連携を図る 感情や気づきについて語る時間を意識的に設け、安心して表現できる環境を整える 前向きな気持ちを維持できるよう、日々の小さな目標や楽しみを一緒に見つけていく 回復のプロセスを本人と共有し、これまでの取り組みや強みを振り返る機会を持つ |
NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)&看護計画の記載例まとめ

当サイトでは、今回ご紹介した領域の他にも、NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)&看護計画の記載例を多数まとめています。
ぜひ、日々の業務のご活用ください!
看護記録(SOAP)の記載例
看護計画の記載例
引用・参考文献
T. ヘザー・ハードマン 編,上鶴 重美 訳:NANDA-I看護診断 定義と分類 2020-2023.医学書院.