この記事では、NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)の記載例を公開しています。
今回は領域10「生活原理」です。
看護記録の書き方が分からない…と悩んでいる看護実習生、新人の方々はぜひ参考にしてみてください!

トコル
看護記録(SOAP)の書き方に関しては、コチラの記事(【完全保存版】看護記録「SOAP」の書き方と記載例まとめ【NANDA-Iの看護診断対応】)を参考にしてください!
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【完全保存版】看護記録「SOAP」の書き方と記載例まとめ【NANDA-Iの看護診断対応】
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新人看護師
他の領域の記載例を知りたい!という人は、この記事最後にまとめているので見てみてね!
*ご紹介しているのはあくまでも記載例ですので、実際は担当する患者にあわせて修正してご使用ください。
*できるだけ多くの患者に適応できるよう、あえて抽象的な内容を含めている部分がございます。こちらもご活用いただく際はご注意ください。
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【NANDA-I看護診断】領域10「生活原理」の看護計画の記載例まとめ【コピペ可】
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NANDA-I領域10「生活原理」の看護診断名一覧

NANDA-I領域10「生活原理」は、類①〜③に分けられます。
それぞれの診断名一覧は以下の通りです。
- 類① 価値観
- 本類には現在該当する看護診断なし
- 類② 信念
- 本類には現在該当する看護診断なし
- 類③ 価値観/信念/行動の一致
- ・道徳的苦悩
・スピリチュアルウェルビーイング障害
・スピリチュアルウェルビーイング障害リスク状態
・スピリチュアルウェルビーイング促進準備状態
・信仰心障害
・信仰心障害リスク状態
・信仰心促進準備状態
類①-本類には現在該当する看護診断なし
類②-本類には現在該当する看護診断なし
類③-道徳的苦悩
コード:00175
- 定義
- 選択した倫理的または道徳的な決定や活動を、実行できないことへの反応
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 道徳的苦悩 |
S(主観的情報) | 「自分の考えや信念に反することをしなければならない状況が苦しい。」「正しいと思って行動したけれど、それが本当に良かったのか自信が持てない。」 |
O(客観的情報) | 葛藤が原因で、感情が不安定になりやすい様子が見られる(例:落ち込み、イライラ)。 倫理的な選択や行動に対する後悔や不安を繰り返し述べる。 判断を迫られた状況で、自分の価値観や信念が十分に反映されなかったことに対する苦痛が観察される。 職業上の役割や社会的期待との間で強い矛盾を感じている場合がある。 |
A(評価) | 倫理的な選択や行動において、自分の価値観や信念と現実の状況が対立し、精神的・感情的苦痛が生じている。このままでは、心理的ストレスがさらに増大し、自己効力感の低下やバーンアウトのリスクが高まる可能性がある。 |
P(計画) | 倫理的な問題や葛藤を整理するため、安全で支持的な環境で感情を表出できる場を提供する(例:カウンセリング、チームディスカッション)。 倫理的選択や行動に関する価値観や信念を明確にし、それに基づいて対応策を検討するプロセスを支援する。 同じ状況を経験した他者との交流(例:サポートグループ)を促し、感情の共有や新たな視点を得る機会を提供する。 ストレスを軽減するためのリラクゼーション法(例:深呼吸、瞑想)を指導し、心理的安定を支援する。 具体的な倫理的問題について、専門家(例:倫理委員会、スーパーバイザー)の助言を求める場を調整する。 価値観に基づく行動が結果にどう影響を及ぼしたかを振り返る機会を設け、肯定的な学びを得る支援を行う。 道徳的苦悩が継続する場合、専門的な心理療法を提案し、長期的なケア計画を立てる。 進捗を定期的に確認し、苦悩の軽減状況や必要なサポートの内容を柔軟に調整する。 |
類③-スピリチュアルウェルビーイング障害
コード:00454
- 定義
- 自己、他者、世界、自分を超える力とのつながりを通じて、人生の意味や目的を統合する力が弱まっている状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | スピリチュアルウェルビーイング障害 |
S(主観的情報) | 「なぜこんなことが自分に起きるのか分からない。」「生きる意味が見いだせず、心が重い感じがする。」 |
O(客観的情報) | 深い悲しみや絶望感が観察され、感情表現が乏しい、または強い苦悩が表情に現れている。 宗教的またはスピリチュアルな信念が揺らぎ、疑問や葛藤を繰り返し述べる場合がある。 人生の目的や価値観に対して強い迷いや混乱が見られる。 孤立や喪失感を感じ、精神的な支えを失っている様子が確認される。 |
A(評価) | スピリチュアルペインが存在し、人生の意味や価値に対する深い苦悩が心理的および感情的な健康に影響を及ぼしている。この状態が続くと、心理的ストレスや孤立感が増大し、生活の質が低下する可能性がある。 |
P(計画) | スピリチュアルペインに対処するため、安全で支援的な場を提供し、感情や葛藤を自由に表現できるようにする。 人生の意味や価値観を再確認できるよう、傾聴を中心としたカウンセリングや対話を行う。 本人の信念や価値観を尊重しつつ、新たな視点を得るためのリソース(例:スピリチュアルな文献や活動)を紹介する。 スピリチュアルケア専門家や宗教指導者と連携し、信仰やスピリチュアルな支えを再構築する支援を行う。 リラクゼーション法(例:瞑想、深呼吸、アロマセラピー)を導入し、心理的な安定を促進する。 孤立を防ぐため、家族や支援者と連携し、支え合う環境を整える。 進捗を定期的に確認し、スピリチュアルペインの軽減状況や支援計画の効果を評価しながら調整する。 スピリチュアルな痛みを持ちながらも前向きに生きる力を育むための目標を共有し、達成を支援する。 |
類③-スピリチュアルウェルビーイング障害リスク状態
コード:00460
- 定義
- 自己、他者、世界、自分を超える力とのつながりを通じて、人生の意味や目的を統合する力が弱まりやすい状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | スピリチュアルウェルビーイング障害リスク状態 |
S(主観的情報) | 「これからの自分の人生に意味があるのか、考えることが増えた。」「信じてきたことが間違っていたのかもしれないと不安になる。」 |
O(客観的情報) | 人生の価値や目的に対して迷いや疑問を抱き始めている様子が観察される。 ストレスや困難な出来事(例:重篤な疾患の診断、愛する人の喪失)によって心理的に不安定な状態が見られる。 宗教的またはスピリチュアルな活動や信念が揺らぎつつあり、孤立感が強まる兆候がある。 支援的なコミュニティや精神的支えを十分に活用していない。 |
A(評価) | スピリチュアルペインのリスクが高い状態であり、放置すると深刻な精神的苦痛や生活の質の低下を引き起こす可能性がある。早期に対応することで、精神的安定を維持し、スピリチュアルな支えを再構築することが可能である。 |
P(計画) | 人生の価値観や目標を明確にするための対話を行い、スピリチュアルペインの予防に努める。 宗教的またはスピリチュアルな活動を見直し、信念や支えを再確認する場を提供する。 家族や信頼できる人々との交流を促し、精神的な孤立を防ぐ支援を行う。 宗教指導者やスピリチュアルケア専門家との対話を提案し、精神的支えを強化する。 心理的な負担を軽減するためのリラクゼーション法(例:瞑想、深呼吸)を提案する。 本人の関心に基づくスピリチュアルなリソース(例:本、音楽、自然体験)を紹介する。 進捗を定期的に確認し、スピリチュアルな葛藤や不安が軽減しているかをモニタリングする。 必要に応じて専門的な心理カウンセリングを導入し、リスクの進行を防ぐ支援を提供する。 |
類②-スピリチュアルウェルビーイング促進準備状態

コード:00068
- 定義
- 自己、他者、世界、自分を超える力とのつながりを通じて、人生の意味や目的を統合するパターンが強化可能な状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | スピリチュアルウェルビーイング促進準備状態 |
S(主観的情報) | 「自分にとって大切なことをもっと見つめ直したい。」「生きる意味や目的について考える時間を増やしたいと思っている。」 |
O(客観的情報) | 価値観や信念について話し合う意欲があり、自己探求に積極的である。 日常生活の中で、感謝や喜びを見いだそうとする行動が見られる。 瞑想、祈り、自然とのふれあいなどのスピリチュアルな活動に興味を示している。 自分の生活や周囲との関わりに対する意識が高まりつつある。 |
A(評価) | スピリチュアルウェルビーイング(霊的な健康)の促進に向けた準備が整っており、自己成長や生活の質向上に向けた取り組みを始める可能性が高い状態にある。 |
P(計画) | スピリチュアルウェルビーイングを深めるために、自己探求の時間を意識的に確保するよう提案する。 瞑想、日記を書く、感謝の気持ちを表す習慣など、自己と向き合う具体的な方法を指導する。 自然とふれあう時間を増やすことで、リラックスし、スピリチュアルな感覚を高める機会を提供する。 信仰や価値観を共有できるグループやコミュニティ(例:宗教的集まり、哲学サークル)への参加を提案する。 生活の中で意味や目的を見いだすための目標設定を支援し、小さな達成感を積み重ねる。 本人が関心を持つスピリチュアルな活動(例:芸術、音楽、文化的体験)を取り入れるよう提案する。 定期的に本人の進捗や感想を確認し、ニーズに応じて支援計画を調整する。 スピリチュアルウェルビーイングが心身の健康や生活の質に及ぼすポジティブな影響について説明し、意欲を高める。 |
類③-信仰心障害
コード:00169
- 定義
- 特定理念に基づく信念、原則、活動への関与が弱まった状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 信仰心障害 |
S(主観的情報) | 「自分の信仰が揺らいでいる感じがする。」「これまで信じてきたことに疑問を感じて、どうしたらいいか分からない。」 |
O(客観的情報) | 以前は信じていた信仰や信念に対する疑問や迷いを抱えている様子が観察される。 精神的な苦悩や不安定さが表情や行動に表れている(例:落ち着きがない、感情の起伏が激しい)。 祈りや宗教的儀式への参加が減少したり、消極的になっている場合がある。 人生の意味や目的に対して否定的な考えを繰り返し述べる。 |
A(評価) | 信仰や信念が揺らぎ、不安や疑問が精神的安定に悪影響を及ぼしている状態。このままでは、心理的ストレスの増加や生活の質の低下につながる可能性がある。 |
P(計画) | 信仰や精神的な問いについて話し合う安全で支援的な環境を提供する(例:カウンセリング、牧師や宗教指導者との対話)。 信仰やスピリチュアルな面での疑問や葛藤について整理するためのワーク(例:日記、自己探求の質問)を提案する。 スピリチュアルなコミュニティに再び関わることを支援し、他者との交流を通じて視点を広げる機会を作る。 信仰と生活の接点を見直し、日常生活の中で信仰を感じる方法を再構築する支援を行う。 必要に応じて、心理的ストレスを軽減するためのリラクゼーション法(例:深呼吸、マインドフルネス)を導入する。 人生の意味や目的について、新たな視点を見つけるための哲学的・宗教的な学びを提案する。 進捗を定期的に確認し、信仰に関する葛藤が軽減しているか評価しながら支援計画を調整する。 信仰に対する迷いが継続する場合、専門家(例:スピリチュアルケア専門家、心理カウンセラー)との連携を検討する。 |
類③-信仰心障害リスク状態
コード:00170
- 定義
- 特定理念に基づく信念、原則、活動への関与が弱まりやすい状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 信仰心障害リスク状態 |
S(主観的情報) | 「最近、自分の信仰が薄れてきたような気がする。」「これまで大切にしてきた信念に自信が持てなくなりそうで不安です。」 |
O(客観的情報) | 信仰に基づく活動(例:祈り、宗教行事への参加)の頻度や意欲が低下している。 人生の意味や価値観に関する迷いが観察される。 ストレスや困難な出来事(例:喪失体験、大きな決断)によって信仰への影響を受けやすい状況にある。 支援ネットワーク(例:宗教的コミュニティ、信仰に基づく関係者)が十分に活用されていない。 |
A(評価) | 個人の信仰や精神的支えが揺らぐリスクが高い状態にあり、心理的な安定や生活の質が低下する可能性がある。このリスクに早期に対応することで、信仰や信念を維持し、精神的な安定を保つことができる。 |
P(計画) | 信仰や精神的支えについて安心して話し合える場を提供し、不安や疑問を共有する機会を作る。 宗教的コミュニティや支援ネットワークとのつながりを強化し、信仰に基づくサポートを受けやすい環境を整える。 信仰の価値や意義を再確認できるよう、個人の価値観や人生の目標を整理する支援を行う。 ストレス管理や感情の調整を目的としたリラクゼーション法(例:瞑想、深呼吸)を提案し、心理的な安定をサポートする。 宗教指導者やスピリチュアルケア専門家と連携し、信仰に関する相談を促進する。 信仰に基づく活動(例:祈り、瞑想、儀式)を日常生活の中に自然に取り入れる方法を提案する。 信仰や価値観に迷いを感じる要因を分析し、必要に応じてカウンセリングや心理的支援を提案する。 進捗を定期的に確認し、信仰や精神的支えの状況が改善しているかを評価し、支援計画を調整する。 |
類③-信仰心促進準備状態
コード:00171
- 定義
- 特定理念に基づく信念、原則、活動への関与パターンが強化可能な状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 信仰心促進準備状態 |
S(主観的情報) | 「自分の信仰をもっと深めていきたいと思っています。」「信仰を通じて、心の安らぎや生きる意味を感じたい。」 |
O(客観的情報) | 信仰やスピリチュアルな活動に積極的な関心を示している。 宗教的またはスピリチュアルなコミュニティへの参加意欲が確認される。 信仰を日常生活の中で活用しようとする姿勢が見られる。 自己探求や価値観の再確認を通じて、信仰を深める準備が整っている様子が観察される。 |
A(評価) | 信仰心を深め、精神的な満足感や安定を得る準備が整っている状態にあり、適切な支援を通じてその成長を促進する可能性が高い。 |
P(計画) | 信仰心を深めるための具体的な活動(例:祈り、瞑想、礼拝への参加)を提案し、日常生活に取り入れる方法を支援する。 スピリチュアルなコミュニティや宗教的集まりに参加する機会を提供し、他者とのつながりを促進する。 信仰を通じた自己探求の場として、日記や感謝のリストをつける習慣を提案する。 人生の目標や価値観を信仰と結びつけて考えるワークショップや対話の場を設ける。 信仰心を育むための文献やリソース(例:宗教的な書籍、スピリチュアルな講座)を紹介する。 心理的安定を支えるため、信仰に基づいたリラクゼーション法(例:スピリチュアルな音楽、瞑想)を推奨する。 信仰心がもたらす心の安らぎや充実感について振り返る場を定期的に提供し、進捗を確認する。 宗教指導者やスピリチュアルケア専門家との対話の機会を調整し、信仰の成長をサポートする。 |
NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)&看護計画の記載例まとめ

当サイトでは、今回ご紹介した領域の他にも、NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)&看護計画の記載例を多数まとめています。
ぜひ、日々の業務のご活用ください!
看護記録(SOAP)の記載例
看護計画の記載例
引用・参考文献
T. ヘザー・ハードマン 編,上鶴 重美 訳:NANDA-I看護診断 定義と分類 2020-2023.医学書院.