この記事では、NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)の記載例を公開しています。
今回は領域5「知覚/認知」です。
看護記録の書き方が分からない…と悩んでいる看護実習生、新人の方々はぜひ参考にしてみてください!
トコル
看護記録(SOAP)の書き方に関しては、コチラの記事(【完全保存版】看護記録「SOAP」の書き方と記載例まとめ【NANDA-Iの看護診断対応】)を参考にしてください!
【完全保存版】看護記録「SOAP」の書き方と記載例まとめ【NANDA-Iの看護診断対応】
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新人看護師
他の領域の記載例を知りたい!という人は、この記事最後にまとめているので見てみてね!
*ご紹介しているのはあくまでも記載例ですので、実際は担当する患者にあわせて修正してご使用ください。
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NANDA-I領域5「知覚/認知」の看護診断名一覧
NANDA-I領域5「知覚/認知」は、類①〜⑤に分けられます。
それぞれの診断名一覧は以下の通りです。
- 類① 注意
- ・半側無視
- 類② 見当識
- 本類には現在該当する看護診断なし
- 類③ 感覚/知覚
- 本類には現在該当する看護診断なし
- 類④ 認知
- ・急性混乱
・急性混乱リスク状態
・慢性混乱
・不安定性情動コントロール
・非効果的衝動コントロール
・知識不足
・知識獲得促進準備状態
・記憶障害
・思考過程混乱
- 類⑤ コミュニケーション
- ・コミュニケーション促進準備状態
・言語的コミュニケーション障害
類①-半側無視
コード:00123
- 定義
- 身体および付随する環境への感覚反応や運動反応、心的表象、空間性注意に障害のある状態。片側への不注意と反対側への過剰な注意を特徴とする。左半側無視のほうが右半側無視よりも重症で長期化する
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 半側無視 |
S(主観的情報) | 「誰かに言われないと、左側に物があることに気づかないことがある。」 |
O(客観的情報) | 食事の際に左側の食べ物を残す、あるいは左側に置いたものに手を伸ばさない様子が見られる。 歩行時に左側の障害物や壁に気づかずに接触しそうになる場面がある。 視力や視野に異常はないが、視覚的な刺激に対する注意が右側に偏っている。 左側から話しかけると反応が遅く、左側の空間に対する認識が不十分である。 |
A(評価) | 左側の空間に対する注意力が低下しており、半側無視が見られる状態である。日常生活の動作や安全確保に支障をきたす可能性があるため、左側への注意を促すリハビリや支援が必要である。 |
P(計画) | 左側への注意を促すため、食事や活動を行う際には左側から開始するように指導する。 左側にあるものに気づきやすくするため、視覚的なリマインダー(例:色のついたテープや目立つ印)を左側に配置する。 リハビリテーションを通じて、左側への意識を高める練習(例:左側への追視や、左側を探す視覚スキャン訓練)を行う。 歩行時や移動時に安全を確保するため、左側に障害物がないことを確認するようサポートし、必要に応じて介助者が左側に立つ。 家族や介護者にも半側無視について説明し、日常生活での左側への注意喚起や支援の方法を共有する。 |
類②-本類には現在該当する看護診断なし
類③-本類には現在該当する看護診断なし
類④-急性混乱
コード:00128
- 定義
- 短期間に発症し、持続が3ヶ月未満の意識・注意・認知・知覚の可逆的障害
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 急性混乱 |
S(主観的情報) | 「頭がぼんやりして、今がいつなのか分からない感じがする。」「なぜか不安で落ち着かない。」 |
O(客観的情報) | 時間や場所の見当識が低下しており、現在の日時や自分の居場所が分からないことがある。 普段と異なる行動(例:興奮しやすくなる、夜間に起きて徘徊するなど)が見られ、不安や混乱の様子が確認される。 質問に対する回答が遅れたり、不正確になることが多い。 バイタルサイン(例:発熱や脱水など)の変動があり、急性混乱の原因として身体的要因が疑われる。 |
A(評価) | 急性混乱が見られ、時間や場所の見当識の低下と混乱状態がある。身体的または環境的要因が関与している可能性があるため、原因を特定し、症状を軽減するための介入が必要である。 |
P(計画) | 急性混乱の原因となり得る身体的要因(例:感染症、脱水、薬剤の影響)を特定するため、医師と相談して検査(血液検査、尿検査など)を実施する。 混乱を防ぐため、日常生活のスケジュールを規則正しくし、静かで落ち着いた環境を整える。 時計やカレンダーを見やすい場所に置き、現在の時間や日付が分かりやすいようにする。 不安や混乱がある場合、やさしく声かけを行い、本人のペースで落ち着けるようサポートする。 家族や介護者に急性混乱の症状と対応方法について説明し、見守りや安全管理の協力を依頼する。 |
類④-急性混乱リスク状態
コード:00173
- 定義
- 短期間に発症し、意識・注意・認知・知覚の可逆的障害が起こりやすく、健康を損なう恐れのある状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 急性混乱リスク状態 |
S(主観的情報) | 「最近、夜になるとぼんやりしてしまうことがある。」「いつもと違う環境だと少し落ち着かない。」 |
O(客観的情報) | 環境の変化や夜間の不安定な照明により、軽度の不安が見られる。 軽度の脱水傾向があり、水分摂取量が不十分。 睡眠パターンが不規則で、夜間の覚醒が増加している。 過去に入院中や環境の変化時に混乱が見られた既往がある。 |
A(評価) | 環境の変化や脱水、不規則な睡眠パターンにより、急性混乱を発症するリスクが高い状態にある。混乱を予防するため、環境調整と身体状態の安定が必要である。 |
P(計画) | 十分な水分摂取を確保し、1日1.5〜2リットルの水分摂取を目標とすることで脱水を予防する。 睡眠の質を向上させるため、夜間は安定した照明と静かな環境を整え、昼夜のリズムを整えるよう支援する。 時計やカレンダーを見やすい場所に配置し、現在の時間や日付の把握をサポートする。 混乱や不安を軽減するため、日中にリラックスできる活動(例:軽いストレッチや読書)を取り入れ、安心感を提供する。 家族や介護者に急性混乱のリスクとその兆候を説明し、適切な見守りとサポートを依頼する。 |
類④-慢性混乱
コード:00129
- 定義
- 3ヶ月以上持続する、意識・注意・認知・知覚の不可逆性・進行性・潜行性の障害
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 慢性混乱 |
S(主観的情報) | 「最近、物事を覚えられないことが多い。」「時間や場所が分からなくなることがあって、不安になる。」 |
O(客観的情報) | 時間や場所の見当識が低下し、日時や現在の状況を間違える場面がある。 短期記憶の障害が見られ、同じ質問を繰り返すことが多い。 日常生活で支援が必要な場面が増加しており、食事や服薬管理に介助が必要。 表情に不安感が見られ、会話の流れが途切れることがある。既往歴として認知症または軽度認知障害(MCI)が確認されている。 |
A(評価) | 記憶力や見当識の低下が継続しており、慢性混乱の状態がある。日常生活に支障をきたしており、適切な環境調整と支援が必要である。 |
P(計画) | 日常生活の中で規則的なスケジュールを設定し、安心感を提供する。たとえば、毎日の活動を決まった時間に行うように促す。 時計やカレンダーを見やすい場所に設置し、時間や日付を把握しやすくする。 本人が好む活動(例:音楽療法や軽い家事)を取り入れ、記憶力や見当識を刺激する。 薬の管理が必要な場合は、家族や介護者と連携し、服薬スケジュールを作成して支援を行う。 家族や介護者に慢性混乱の特徴と適切な対応方法を説明し、介護負担を軽減するための支援を提供する。 必要に応じて医師や専門家と連携し、認知機能を維持・改善するための治療やケアプランを検討する。 |
類④-不安定性情動コントロール
コード:00251
- 定義
- 大げさで意図しない情動表出の爆発を抑えられない状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 不安定性情動コントロール |
S(主観的情報) | 「気持ちが落ち着かず、些細なことでイライラしたり涙が出たりする。」「感情が自分でコントロールできない気がする。」 |
O(客観的情報) | 些細な刺激や出来事に対して、怒りや悲しみなどの感情が過剰に表出される場面が見られる。 気分の変動が激しく、数時間の間に異なる感情状態が観察される。 感情表現の後に疲労感を訴えることが多い。 日常生活でストレスを感じる場面が増加し、本人が感情的な状態に困難を感じている様子。 |
A(評価) | 感情のコントロールが不安定であり、日常生活に支障をきたす可能性がある。不安定性情動コントロールの状態が見られるため、感情調整のスキル向上とストレス緩和が必要である。 |
P(計画) | 感情を客観的に捉えられるよう、気分日記を記録し、感情の変化やトリガーを特定する。 リラクゼーション法(例:深呼吸、瞑想、ヨガ)を指導し、感情が高ぶった際に落ち着ける方法を習得するよう支援する。 本人がストレスを感じやすい状況を把握し、回避できる工夫や適応的な対処方法を一緒に考える。 心理カウンセリングや認知行動療法(CBT)を勧め、感情調整スキルの向上を図る。 家族や周囲の人に、不安定な感情に対する適切な対応方法(例:感情を否定せずに受け入れる)を指導し、サポート体制を整える。 必要に応じて、医師と連携して薬物療法(抗不安薬や気分安定薬)を検討し、症状の緩和を図る。 |
類④-非効果的衝動コントロール
コード:00222
- 定義
- 自分や他者に悪影響をもたらす可能性を考慮せずに、内的あるいは外的刺激に対して、拙速で無計画な反応を示すパターン
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 非効果的衝動コントロール |
S(主観的情報) | 「つい感情的になってしまい、後で後悔することが多い。」「やってはいけないと分かっているのに、衝動的に行動してしまう。」 |
O(客観的情報) | 感情の高まりによって衝動的な行動(例:怒りの爆発、物に当たる)が見られる。 トラブル後に後悔や反省の言葉が確認されるが、同様の行動が繰り返される。 ストレスフルな場面や対人関係の問題に直面すると、自制心が著しく低下する様子が観察される。 本人の衝動的な行動により、周囲との摩擦や対人関係の悪化が確認される。 |
A(評価) | 衝動的な行動に対するコントロールが不十分であり、非効果的衝動コントロールの状態が見られる。ストレス管理や自己調整スキルを向上させる介入が必要である。 |
P(計画) | 衝動的な行動が起こる前兆やトリガーを特定するため、日記や記録をつけ、自己認識を深めるよう指導する。 ストレスを感じたときに活用できるリラクゼーション法(例:深呼吸、カウント法)を練習し、感情が高ぶる場面で実践できるよう支援する。 怒りや衝動を安全に発散できる活動(例:運動、アートセラピー)を提案し、適応的な発散方法を身につける。 心理カウンセリングや認知行動療法(CBT)を導入し、衝動的行動のパターンを見直し、適切な対処方法を学ぶ。 家族や周囲の人に対し、衝動的な行動が見られた際の適切な対応方法(例:冷静に受け止める)を指導し、サポート体制を整える。 必要に応じて医師と相談し、気分安定薬や抗不安薬の使用を検討し、衝動的行動を緩和する治療を進める。 |
類④-知識不足
コード:00126
- 定義
- 特定のテーマに関する認知情報がない、あるいは獲得していない状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 知識不足 |
S(主観的情報) | 「病気や治療について詳しく分からないので不安。」「どうしたらいいのか、正しい方法が分からない気がする。」 |
O(客観的情報) | 医療やケアに関する質問が多く、具体的な理解が不足している様子が見られる。 指導されたセルフケア(例:食事管理、服薬スケジュールなど)が十分に実施されていない。 専門用語や説明に対する反応が曖昧で、理解度が低い可能性がある。 家族や介護者からも、適切なサポート方法が分からないという声がある。 |
A(評価) | 疾病や治療、セルフケアに関する知識不足により、不安や実践の困難さが見られる。正しい情報提供と理解を促進する教育が必要である。 |
P(計画) | 患者の理解度に合わせて、簡潔で分かりやすい言葉を用いて病気や治療について説明する。 図やイラスト、パンフレットなどの視覚的教材を活用し、理解を深めるための支援を行う。 セルフケアの具体的な方法(例:血糖値測定の手順、運動の仕方)を実演し、患者自身が実践できるよう指導する。 患者や家族からの質問を受け付け、適切に答える時間を確保し、不明点を解消する。 理解度を確認するため、教えた内容を繰り返し説明してもらうなど、フォローアップを行う。 必要に応じて、ソーシャルワーカーや地域の支援団体と連携し、長期的な学習サポート体制を整える。 |
類④-知識獲得促進準備状態
コード:00161
- 定義
- 特定のテーマに関する認知情報のパターン、あるいはその獲得パターンが、さらに強化可能な状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 知識獲得促進準備状態 |
S(主観的情報) | 「病気や治療についてもっと知っておきたい。」「自分でできることを増やしていきたい。」 |
O(客観的情報) | 医療やケアについて質問が積極的に出され、知識を深めたい意欲が見られる。 指導されたセルフケア(例:運動や食事の工夫など)を試し、自分で実践しようとする姿勢がある。 医療スタッフの説明に集中して聞き、メモを取るなどの行動が確認される。 家族や介護者にも情報を共有し、積極的に関わる姿勢が見られる。 |
A(評価) | 患者は健康管理やセルフケアの知識を積極的に習得しようとしており、知識獲得促進の準備状態にある。適切な教育とサポートにより、効果的に知識を身につけることが期待される。 |
P(計画) | 患者の理解度に合わせ、病気や治療、セルフケアについて段階的に説明し、実践につながる具体的な情報を提供する。 パンフレットや図解資料を活用し、視覚的に分かりやすい教材を提供して学習を支援する。 セルフケアのデモンストレーションやリハーサルを行い、患者が実際に行えるよう指導する。 患者の進捗を定期的に確認し、学習内容の理解度を評価しながらフォローアップを行う。 家族や介護者にも教育内容を共有し、患者の学びをサポートする体制を整える。 適切な学習のペースを尊重し、患者のモチベーションを高めるために達成したことを積極的に認める。 |
類④-記憶障害
コード:00131
- 定義
- 日常生活動作(ADL)の自立を維持しながらも、ちょっとした情報やスキルが、永続的に覚えられないか、思い出せない状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 記憶障害 |
S(主観的情報) | 「最近、物をどこに置いたかすぐ忘れてしまう。」「話していた内容を思い出せないことが多くて、不安になる。」 |
O(客観的情報) | 短期記憶の低下が顕著で、最近の出来事や会話内容を頻繁に忘れる様子が見られる。 同じ質問を繰り返すことが多く、日常生活に支障をきたしている。 スケジュール管理ができず、約束や予定を忘れることが増加。 診察中や面談時に話題が脱線しやすく、会話の流れを維持するのが難しい。 |
A(評価) | 記憶障害が見られ、短期記憶の低下が日常生活に影響を与えている状態である。日常生活の支援と記憶の補助を行うとともに、記憶障害の原因を評価する必要がある。 |
P(計画) | 診察にて記憶障害の原因(例:認知症、脳血管障害、ストレスなど)を特定するための検査(MRI、血液検査など)を医師と相談し実施する。 日常生活での記憶を補助するため、カレンダーやメモ帳、リマインダーアプリの使用を提案し、具体的な利用方法を指導する。 ルーティン化した生活を提案し、決まった時間に決まった行動を取ることで記憶の負担を軽減する。 記憶に関連したリハビリテーション(例:簡単な単語のリストを記憶する練習やパズルゲーム)を取り入れ、記憶力の維持を支援する。 家族や介護者に記憶障害についての情報を提供し、適切なサポート方法(例:質問に優しく答える、ストレスを減らす環境づくり)を指導する。 患者が不安を感じた場合には心理的なサポートを行い、必要に応じてカウンセリングや薬物療法を検討する。 |
類④-思考過程混乱
コード:00279
- 定義
- 認知機能が崩壊し、概念やカテゴリーの発展・推論・問題解決に関わる精神機能に影響を及ぼしている状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 思考過程混乱 |
S(主観的情報) | 「考えがまとまらなくて、何をどうしたらいいのか分からない感じがする。」「話をしているうちに、何を言いたかったのか分からなくなる。」 |
O(客観的情報) | 会話中に話題が飛ぶ、または途中で話が止まり、意図が伝わりにくい場面が見られる。 複雑な指示や質問に対する理解が遅れたり、不正確な回答が多い。 意思決定に時間がかかり、選択肢を提示しても即答できない状況がある。 注意力が散漫で、会話や作業の途中で他の事柄に気を取られることが多い。 |
A(評価) | 思考過程が混乱しており、情報の処理や整理が困難な状態である。意思決定や問題解決が難しく、日常生活に支障をきたしているため、サポートが必要である。 |
P(計画) | 複雑な説明や指示は簡潔にし、1つずつ段階的に伝えるよう支援する。必要に応じて、指示を書面や視覚的な形で提供する。 患者が話している際には、焦らず時間を与え、言葉を整理できるようにサポートする。適切な促しや簡単な質問で会話を助ける。 認知機能を刺激するため、簡単な問題解決やパズル、記憶ゲームを取り入れたリハビリテーションを提案する。 ストレスや疲労が思考混乱を助長する可能性があるため、リラクゼーション法(例:深呼吸、瞑想)を教え、実践を促す。 必要に応じて医師と相談し、認知機能障害や思考混乱の原因となる身体的要因(例:脳血管疾患、代謝異常)を評価するための検査を実施する。 家族や介護者に思考混乱への対応方法(例:急かさずにゆっくり説明する、選択肢を絞る)を指導し、サポート体制を整える。 |
類⑤-コミュニケーション促進準備状態
コード:00157
- 定義
- 情報や考えを他者と交換するパターンが、さらに強化可能な状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | コミュニケーション促進準備状態 |
S(主観的情報) | 「もっと周りの人と話せるようになりたい。」「自分の気持ちを伝えたり、相手の話を聞いたりするのが楽しくなってきた。」 |
O(客観的情報) | 会話への積極性が見られ、他者に対して話しかける回数が増加している。 過去に比べて、意見や感想を伝える場面が増え、表情や声のトーンが明るくなっている。 他者の話に耳を傾ける姿勢が見られ、質問や相槌などのリアクションが増えている。 コミュニケーションスキルの向上を希望し、自信を持ち始めている様子。 |
A(評価) | コミュニケーションに対する意欲が高まり、周囲との関わりを増やしたいという前向きな気持ちがある。スキルをさらに向上させるための支援が効果的である。 |
P(計画) | 簡単な会話やロールプレイを通じて、会話の練習を行い、自信をつけられるよう支援する。 グループ活動や趣味を共有できる場に参加する機会を提供し、他者と自然に交流できる環境を整える。 相手の話を引き出す質問の仕方や、自分の気持ちを伝える表現方法を具体的に指導する。 ポジティブなフィードバックを積極的に行い、コミュニケーションへの意欲をさらに高める。 必要に応じてコミュニケーションに関する教材(例:簡単な会話の例文集)を提供し、日常で実践しやすい形で指導する。 進捗を定期的に確認し、課題があれば一緒に対策を考える。 |
類⑤-言語的コミュニケーション障害
コード:00051
- 定義
- 象徴(シンボル・記号)システムを受け取る・処理する・伝える・用いる能力のいずれかあるいはすべてが、低下・遅延・消失した状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 言語的コミュニケーション障害 |
S(主観的情報) | 「うまく話せなくて、伝えたいことが伝わらない。」「言葉が出てこなくて、もどかしい感じがする。」 |
O(客観的情報) | 言語表現に困難があり、単語が出てこない、話が途切れる場面が多い。 会話中に長い沈黙が見られる、または単語の置き間違いが頻繁に起こる。 聴取理解はある程度可能だが、複雑な指示や質問に対して混乱することがある。 話す際の表情や身振り手振りが増え、非言語的手段で補おうとする行動が見られる。 |
A(評価) | 言語的な表現と理解に困難があり、言語的コミュニケーション障害の状態にある。これにより、日常生活での意思疎通が制限され、本人の不安やフラストレーションを増加させている。 |
P(計画) | コミュニケーションを補助するために、イラストや絵カード、ジェスチャーなどの視覚的支援を活用する。 簡潔でゆっくりとした話し方で説明し、本人が理解しやすいように配慮する。 短い文章やキーワードで会話を進め、回答を導きやすくする質問形式(例:はい/いいえで答えられる質問)を用いる。 言語リハビリテーションを導入し、発話練習や語彙の再学習を通じて言語機能の回復を支援する。 コミュニケーションを円滑に進めるために、家族や介護者に適切な対応方法(例:焦らず待つ、身振り手振りを活用する)を指導する。 必要に応じて、医師や言語聴覚士(ST)と連携し、詳細な評価と治療計画を立てる。 |
NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)&看護計画の記載例まとめ
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看護計画の記載例
引用・参考文献
T. ヘザー・ハードマン 編,上鶴 重美 訳:NANDA-I看護診断 定義と分類 2020-2023.医学書院.