この記事では、NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)の記載例を公開しています。
今回は領域4「活動/休息」です。
看護記録の書き方が分からない…と悩んでいる看護実習生、新人の方々はぜひ参考にしてみてください!

看護記録(SOAP)の書き方に関しては、コチラの記事(【完全保存版】看護記録「SOAP」の書き方と記載例まとめ【NANDA-Iの看護診断対応】)を参考にしてください!
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【完全保存版】看護記録「SOAP」の書き方と記載例まとめ【NANDA-Iの看護診断対応】
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他の領域の記載例を知りたい!という人は、この記事最後にまとめているので見てみてね!
*ご紹介しているのはあくまでも記載例ですので、実際は担当する患者にあわせて修正してご使用ください。
*できるだけ多くの患者に適応できるよう、あえて抽象的な内容を含めている部分がございます。こちらもご活用いただく際はご注意ください。
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【NANDA-I看護診断】領域4「活動/休息」の看護計画の記載例まとめ【コピペ可】
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NANDA-I領域4「活動/休息」の一覧

NANDA-I領域4「活動/休息」は、類①〜⑤に分けられます。
それぞれの診断名一覧は以下の通りです。
- 類① 睡眠/休息
- ・睡眠パターン不良
・睡眠パターン不良リスク状態
・睡眠パターン促進準備状態
・睡眠衛生行動不良
・睡眠衛生行動不良リスク状態
- 類② 活動/運動
- ・身体可動性障害
・身体可動性障害リスク状態
・床上可動性障害
・車椅子可動性障害
・坐位機能障害
・立位機能障害
・移乗機能障害
・歩行機能障害
- 類③ エネルギー平衡
- ・活動耐性低下
・活動耐性低下リスク状態
・倦怠感負担過剰
・術後回復障害
・術後回復障害リスク状態
- 類④ 心血管/肺反応
- ・心血管機能障害リスク状態
・血圧バランス異常リスク状態
・心拍出量減少リスク状態
・脳組織灌流不良リスク状態
・末梢組織灌流不良
・末梢組織灌流不良リスク状態
・呼吸パターン不良
・自発換気障害
・小児人工換気離脱反応障害
・成人人工換気離脱反応障害
- 類⑤ セルフケア
- ・セルフケア能力低下シンドローム
・セルフケア能力低下シンドロームリスク状態
・セルフケア能力促進準備状態
・入浴自立性低下
・更衣自立性低下
・摂食自立性低下
・整容自立性低下
・排泄自立性低下
・口腔衛生行動不良
・口腔衛生行動不良リスク状態
類①-不眠(2024-削除)

コード:00095
- 定義
- 睡眠を開始または継続できず、機能が低下する状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 不眠 |
S(主観的情報) | 「最近、夜中に何度も目が覚めてしまう。」「寝つきが悪くて、朝も疲れが取れない感じがする。」 |
O(客観的情報) | 入眠に30分以上かかることが多く、夜間に3回以上の覚醒が見られる。 日中の活動中に集中力の低下や倦怠感が観察される。 カフェイン摂取が夜間まで続いており、就寝直前までスマートフォンを使用している様子が確認されている。 バイタルサインは安定しているが、日中の眠気や疲労感が本人にとって問題となっている。 |
A(評価) | 夜間の頻回な覚醒や入眠困難により、睡眠の質が低下している不眠の状態にある。生活習慣や就寝環境が影響している可能性が高く、睡眠リズムの改善が必要である。 |
P(計画) | 毎日同じ時間に就寝・起床するよう助言し、一定の睡眠リズムを確立する。 カフェイン摂取を午後以降は控えるよう指導し、リラックスできるハーブティーやホットミルクを勧める。 寝る1時間前にはスマートフォンやテレビの使用を避け、読書やストレッチなどリラックスできる習慣を取り入れる。 就寝環境を整えるため、照明や室温、寝具を快適に調整するよう助言する。 改善が見られない場合には、医師に相談し、必要に応じて睡眠改善薬や心理的サポートの導入を検討する。 |
類①-睡眠パターン不良
コード:00337
- 定義
- 自然で周期的な意識の停止を体験することが困難で、機能に悪影響が及んでいる状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 睡眠パターン不良 |
S(主観的情報) | 「夜中に何度も目が覚めてしまう」「ぐっすり眠った感じがしない」「朝起きると疲れが取れていない」 |
O(客観的情報) | 入眠までに30分以上かかる日が多く、夜間2〜3回の中途覚醒あり 夜間睡眠時間は4〜5時間程度と短く、日中にうとうとする様子がある 表情に疲労感がみられ、活動量も低下傾向 カフェイン飲料を夕方以降も摂取している 就寝時間・起床時間が不規則で、生活リズムが乱れている |
A(評価) | 入眠困難や中途覚醒により睡眠の質が低下し、日中の活動や集中力にも影響が出ている 生活習慣や環境要因が関与しており、睡眠衛生の改善が必要と考えられる |
P(計画) | 就寝・起床時刻を一定に保ち、生活リズムを整えるよう支援する 就寝前のリラックス法(読書、音楽、深呼吸など)を提案する カフェイン・アルコールの摂取時間や量を見直すよう指導する 昼寝は30分以内に制限し、日中の活動量を意識的に増やす 睡眠状況を記録(睡眠日誌)し、パターンや影響要因を可視化して評価を継続する |
類①-睡眠パターン不良リスク状態
コード:00407
- 定義
- 自然で周期的な意識の停止を体験することが困難になりやすく、機能に悪影響が及びやすい状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 睡眠パターン不良リスク状態 |
S(主観的情報) | 「最近なかなか寝つけなくなってきた気がする」「夜中に目が覚めるのが怖い」「寝てもすぐ目が覚めそうで不安になる」 |
O(客観的情報) | 就寝時間が日によってばらつきがあり、生活リズムが不規則 夕方以降もカフェイン飲料を摂取している 日中にうとうとする場面が増えており、夜間睡眠への影響が懸念される 環境音や照明の影響を受けやすい入院・療養環境にある 心理的ストレスや不安を抱えており、睡眠への影響が示唆される言動あり |
A(評価) | 現時点では明確な睡眠障害はみられないが、生活リズムや心理的要因など複数の影響により、今後睡眠パターンが乱れるリスクが高い 早期からの生活習慣の見直しと心理的サポートを通じて、睡眠障害の予防が必要 |
P(計画) | 毎日の就寝・起床時間を整えるよう声かけを行い、生活リズムの安定を図る 就寝前のカフェイン・スマートフォンなど刺激の強い習慣を控えるよう助言する 睡眠に適した環境づくり(室温・照明・音など)を一緒に確認・調整する リラクゼーション法(深呼吸・音楽など)を紹介し、実施を支援する ストレスや不安の背景を把握し、必要に応じてカウンセリングや精神的サポートを導入する |
類①-睡眠パターン促進準備状態
コード:00417
- 定義
- 自然で周期的な意識の停止パターンが、強化可能な状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 睡眠パターン促進準備状態 |
S(主観的情報) | 「最近、夜にリラックスできるようになってきた気がする。」「少しずつ眠りやすくなってきた。」 |
O(客観的情報) | 就寝前のルーティンとして、ストレッチや深呼吸などを行っている様子が観察される。 夜間の覚醒が減少し、1回の睡眠時間が5時間から6時間に延長している。 日中の疲労感が軽減し、集中力や気分が安定している。 就寝前のスマートフォンやカフェイン摂取を控えるようになっている。 |
A(評価) | 睡眠環境や習慣の見直しが功を奏し、より良い睡眠が取れる準備状態にある。リラックスした就寝前の行動が定着しつつあり、睡眠の質が向上する可能性が高い。 |
P(計画) | 現在のリラックス習慣(ストレッチ、深呼吸など)を継続し、睡眠の質をさらに高められるようサポートする。 入浴やアロマテラピーなど、さらにリラックス効果の高い習慣も取り入れるよう提案する。 就寝前1時間のリラックスタイムを確保し、スマートフォンや明るい光を避けることでより良い睡眠環境を維持する。 日中の適度な運動や規則正しい生活リズムも継続するように促し、睡眠改善効果を維持する。 睡眠の状態を記録し、必要に応じて医師や専門家と相談しながら、最適な睡眠パターンの確立を目指す。 |
類①-睡眠衛生行動不良
コード:00323
- 定義
- 睡眠の開始や維持、または質の良い睡眠をもたらす習慣や儀式を継続して行うことが困難な状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 睡眠衛生行動不良 |
S(主観的情報) | 「夜になっても眠くならない」「寝る直前までスマホを見ている」「朝起きてもスッキリしない感じが続いている」 |
O(客観的情報) | 就寝時間が日によってばらつきがあり、深夜1時以降の入眠が多い 起床時間も遅く、昼夜逆転傾向あり 就寝前にカフェイン飲料やスマートフォン使用の習慣がある 日中の活動量が少なく、昼寝が1時間以上の日が多い 夜間の睡眠時間は4〜5時間と短く、睡眠の質の低下が推測される |
A(評価) | 不適切な睡眠習慣(就寝前の刺激、生活リズムの乱れ、昼間の過眠など)により、睡眠の質と量の低下が継続している 睡眠に対する知識や自己管理行動の見直しが必要な状態 |
P(計画) | 睡眠衛生に関する基本知識(就寝前の刺激の回避、生活リズムの重要性など)をわかりやすく説明する 就寝・起床時間を一定にするよう助言し、日中の活動量を確保するよう支援する カフェイン・スマートフォン・テレビなどの刺激的な習慣を見直すよう促す 昼寝は30分以内に制限するよう提案する 睡眠日誌を活用し、睡眠パターンと関連行動を可視化して振り返りを支援する |
類①-睡眠衛生行動不良リスク状態
コード:00408
- 定義
- 睡眠の開始や維持、または質の良い睡眠をもたらす習慣や儀式を継続して行うことが困難になりやすい状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 睡眠衛生行動不良リスク状態 |
S(主観的情報) | 「寝る前にスマホを見ていたらいつの間にか夜中になっている」「最近寝つきが悪くなってきた気がする」「休みの日は昼まで寝てしまう」 |
O(客観的情報) | 就寝時間が日によって異なり、生活リズムが不規則 就寝直前までスマートフォンやテレビを使用している 日中の活動量が少なく、屋外に出る機会が限られている 昼寝が1時間以上の日が週に複数回ある 夜間の睡眠時間は確保されているが、眠気や倦怠感を日中に訴える場面がある |
A(評価) | 現時点で重大な睡眠障害はないものの、不適切な生活習慣により今後睡眠の質やリズムが乱れるリスクが高い 睡眠衛生に対する理解と行動変容を促すことで、予防的支援が可能な段階 |
P(計画) | 睡眠衛生の基本について教育し、特に就寝前の過ごし方の重要性を説明する 就寝・起床時刻を一定にする習慣づけを支援する スマートフォンやテレビの使用を就寝1時間前までに控えるよう促す 昼寝は30分以内に制限し、日中の活動量や太陽光への曝露を促す 睡眠に関する行動を記録する簡易なチェックリストを用いて、生活習慣の振り返りを支援する |
類②-身体可動性障害
コード:00085
- 定義
- 胴体あるいは一つ以上の四肢の意図的な自力運動に限界がある状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 身体可動性障害 |
S(主観的情報) | 「体を動かすのが大変で、日常動作が思うようにできない。」「歩くのも不安定で、転びそうになることが多い。」 |
O(客観的情報) | 歩行時にふらつきがあり、杖や手すりなどの補助が必要。 上肢と下肢の筋力低下が見られ、関節の可動域も制限されている。 立ち上がりや座位からの移動に時間がかかり、動作の途中で疲労を訴えることがある。 関節のこわばりが観察され、動作時に痛みを感じている様子が見られる。 |
A(評価) | 筋力低下、関節可動域の制限、バランスの不安定さにより身体可動性が低下しており、日常生活動作に支障が出ている状態である。転倒やさらなる機能低下のリスクがあるため、可動性改善のための介入が必要である。 |
P(計画) | 理学療法士と連携し、上肢・下肢の筋力維持および関節の可動域を広げるためのリハビリテーションプログラム(例:関節のストレッチ、下肢の筋力強化運動)を行う。 バランス訓練を取り入れ、歩行時や移動時の安定性を向上させる。 移動の際は杖や歩行器の使用を推奨し、必要に応じて周囲の環境に手すりや滑り止めマットを設置して安全を確保する。 痛みがある場合は、無理をせず適度に休憩を取り、痛み管理について医師と相談する。 関節のこわばりが見られる場合、温罨法を取り入れ、動作前に関節を温めることで可動性を高める。 |
類②-身体可動性障害リスク状態
コード:00324
- 定義
- 胴体あるいは一つ以上の四肢の意図的な自力運動に限界が起きやすい状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 身体可動性障害リスク状態 |
S(主観的情報) | 「最近、足が思うように動かない感じがする」「転びそうで動くのが怖い」「体が重たくて動くのが億劫になってきた」 |
O(客観的情報) | 筋力の低下(MMT4レベル)を両下肢に認める 歩行時にふらつきがあり、手すりや介助を必要とする場面がある 起立・移乗動作に時間を要しており、動作が緩徐 日中の臥床時間が長く、活動量が著しく減少している 骨粗鬆症および関節痛の既往あり |
A(評価) | 筋力低下・活動量の減少・転倒への不安など複数の要因により、今後身体可動性が低下するリスクが高い 廃用症候群や転倒による二次的障害を予防するため、早期からの運動支援と環境整備が必要 |
P(計画) | 現状の身体機能を評価し、リハビリスタッフと連携して個別の運動プログラムを作成する 日常生活の中で取り入れやすい運動(ベッド上体操や短時間の歩行)を提案する 転倒予防のため、室内環境の整備(段差の解消・滑り止めマットの使用など)を行う 移動や立ち上がり時に介助が必要な場合は、適切な支援方法をスタッフ間で共有する 活動状況や疲労の程度を観察し、無理のない範囲で継続できるよう調整する |
類②-床上可動性障害
コード:00091
- 定義
- 床上でのある体位から別の体位への自力動作に限界がある状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 床上可動性障害 |
S(主観的情報) | 「ベッドの中で体を動かすのが大変で、起き上がるのにも一苦労。」「自分で向きを変えるのが難しくなってきた。」 |
O(客観的情報) | ベッド上での寝返りや起き上がり動作が困難で、介助が必要な状態。 自力で体位変換が難しく、長時間同じ姿勢で過ごすことが多い。 下肢や体幹の筋力低下が確認され、ベッド上での動作が不安定。 皮膚の一部に発赤が見られ、褥瘡(じょくそう)リスクが高まっている。 |
A(評価) | 筋力低下および体力低下により、ベッド上での可動性が制限されている床上可動性障害が見られる。この状態が続くと褥瘡のリスクが高まるため、適切な体位変換や筋力維持が必要である。 |
P(計画) | 定期的な体位変換(2時間ごと)を実施し、皮膚の圧迫を軽減して褥瘡予防に努める。 理学療法士と連携し、体幹と下肢の筋力を維持・向上させるためのリハビリテーションプログラム(例:ベッド上での足踏みや軽い体幹トレーニング)を行う。 可能な範囲で自力での寝返りや起き上がり動作を促し、患者の可動性を支援する。 必要に応じて、体位変換用クッションやエアマットレスを使用し、身体負担を軽減する。 皮膚の状態を毎日観察し、発赤や異常が見られた場合は早期に対応する。 |
類②-車椅子可動性障害
コード:00089
- 定義
- 環境内での車椅子の自力操作に限界がある状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 車椅子可動性障害 |
S(主観的情報) | 「車椅子を動かすのが難しく、方向転換や移動がスムーズにできない。」「長時間車椅子に座っていると、背中やお尻が痛くなる。」 |
O(客観的情報) | 自力での車椅子の操作が困難で、特に方向転換や坂道での移動が不安定。 上肢筋力の低下が見られ、長距離の車椅子操作で疲労を訴えることがある。 長時間座位を保つことで、座骨や背中に痛みや不快感が見られ、皮膚の発赤がある。 サポートがないとスムーズな移動が難しく、介助が必要な場面が多い。 |
A(評価) | 上肢筋力の低下や座位姿勢の保持が難しいため、車椅子での可動性に制限があり、移動や生活の自立度が低下している状態である。長時間の車椅子使用による皮膚トラブルのリスクも高まっている。 |
P(計画) | 上肢筋力を向上させるため、理学療法士と連携して腕や肩の筋力トレーニング(例:セラバンドや軽いダンベルを使った運動)を取り入れる。 クッションや姿勢保持サポート具を使用し、座位時の圧迫を軽減し、背中やお尻の皮膚保護を図る。 定期的な体位変換や、少なくとも1時間ごとに軽いストレッチや姿勢調整を促し、圧迫による皮膚トラブルを予防する。 車椅子の操作技術向上のため、方向転換や坂道の上り下りの練習を行い、安全かつ効率的に移動できるよう支援する。 移動が難しい場合は、介助者への適切な介助方法の指導も行い、移動時の安全性を確保する。 |
類②-坐位機能障害
コード:00363
- 定義
- 殿部と大腿部で上半身を直立に支える安静位を自力で意図的にとる、または保つ能力に限界がある状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 坐位機能障害 |
S(主観的情報) | 「長く座っていると腰やお尻が痛くなる。」「座っている姿勢を保つのがつらく、すぐに背もたれに寄りかかってしまう。」 |
O(客観的情報) | 座位保持が困難で、短時間で体が崩れたり、背もたれに寄りかかる姿勢が多い。 体幹筋力の低下が確認され、腹筋や背筋の筋力が弱い。 座位時に骨盤が後傾し、猫背の姿勢が見られ、姿勢の崩れによる不快感を訴えることがある。 長時間の座位保持により、臀部や腰部に発赤や圧迫感が観察される。 |
A(評価) | 体幹筋力の低下により、安定した座位姿勢の保持が困難な坐位障害が見られる。姿勢が崩れることで腰や臀部への負担が増え、長時間の座位が難しく、褥瘡などのリスクもある。 |
P(計画) | 理学療法士と連携し、腹筋・背筋などの体幹筋力を強化するためのリハビリテーション(例:体幹トレーニングや簡単な腹筋運動)を行う。 座位姿勢のサポートとして、骨盤を安定させるクッションや姿勢保持具を使用し、負担を軽減する。 1時間ごとに体位を変える、または立ち上がって軽いストレッチを行い、座位時の圧迫部位を保護するよう促す。 座位の姿勢を整えるため、座る際に骨盤を立てる意識や、正しい姿勢の保持方法について指導する。 長時間の座位が必要な場合には、定期的に皮膚の状態をチェックし、発赤や痛みが見られた場合には早期に対処する。 |
類②-立位機能障害
コード:00364
- 定義
- 足から頭まで直立の姿勢を自力で意図的にとる、または保つ能力に限界がある状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 立位機能障害 |
S(主観的情報) | 「立ち上がるとふらついてしまう。」「長時間立っていると、足が痛くなって続けられない。」 |
O(客観的情報) | 立位保持が不安定で、短時間でふらつきや前屈みの姿勢が見られる。 下肢筋力の低下やバランス感覚の不安定さがあり、立ち上がり動作に時間がかかる。 立位時に膝や足首が不安定で、支えがないとすぐに座りたがる様子が確認される。 長時間立位を保つと足部に発赤が見られ、疼痛を訴えることが多い。 |
A(評価) | 下肢筋力やバランス機能の低下により立位の保持が困難な立位障害が見られる。長時間の立位で足部に痛みが生じるため、日常生活動作にも支障が出る可能性がある。 |
P(計画) | 下肢筋力とバランス感覚を向上させるため、理学療法士と連携してリハビリテーションプログラム(例:スクワット、立位でのバランストレーニング)を実施する。 立位時の安定性を高めるため、足元に滑り止めマットを敷くなどの環境整備を行い、必要に応じて手すりや歩行器の使用を勧める。 立ち上がりや立位をサポートする姿勢保持具(例:膝装具や足首サポーター)の利用を検討し、負担を軽減する。 長時間の立位が必要な場合には、定期的に座る・足を動かすなどの休憩を取り、足部の負担を軽減するよう指導する。 足部や膝に痛みがある場合は、医師と相談し、痛み管理の方法(例:鎮痛薬の使用)を検討する。 |
類②-移乗機能障害
コード:00367
- 定義
- 隣接する面から面への自力移動に限界がある状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 移乗機能障害 |
S(主観的情報) | 「ベッドや車椅子から移動するのが怖い。」「自分で立ち上がったり、別の場所に移るのが大変で、支えがないと不安になる。」 |
O(客観的情報) | ベッドから車椅子への移乗やトイレへの移動時にふらつきが見られ、自力での移乗が困難。 下肢筋力と体幹の安定性が低下しており、特に片足立ちや体重移動に不安定さがある。 支えがないと移乗時にバランスを崩すことが多く、介助が必要な場面が多い。 移乗動作に時間がかかり、本人に不安や恐怖の表情が見られる。 |
A(評価) | 下肢筋力とバランス能力の低下により、自力での移乗が難しく移乗能力障害が見られる。安全に移乗を行うための筋力強化とサポートが必要であり、移乗時の不安も軽減する必要がある。 |
P(計画) | 理学療法士と連携し、下肢や体幹の筋力強化を目的としたリハビリテーション(例:スクワット、体幹トレーニング)を実施する。 ベッドや車椅子、トイレ周囲に手すりや移乗用の補助具を設置し、移乗の際に安定感を得られるようにする。 移乗動作の手順を指導し、安全な方法で体重を移動する練習を行うことで自信をつけるよう支援する。 必要に応じて介助者への移乗介助方法の指導を行い、移乗時の負担軽減と安全確保を図る。 移乗時の不安を軽減するため、ゆっくりとしたペースで行えるよう声掛けを行い、リラックスした状態で取り組めるようサポートする。 |
類②-歩行機能障害
コード:00365
- 定義
- 環境内での徒歩による自力移動能力に限界がある状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 歩行機能障害 |
S(主観的情報) | 「歩くとふらついてしまい、転びそうになる。」「少し歩いただけで疲れて、足が重くなる。」 |
O(客観的情報) | 歩行時に不安定さが見られ、歩幅が狭く、歩行速度が遅い。 バランスを崩しやすく、方向転換や立ち止まる際にふらつきが確認される。 下肢筋力の低下があり、特に膝や足首の安定性が不足している。 歩行中に何度も休憩が必要であり、長距離の移動は困難な様子。 |
A(評価) | 下肢筋力およびバランス能力の低下により、歩行が不安定で歩行障害が見られる。転倒リスクが高く、日常生活の移動が制限されているため、筋力とバランスの強化が必要である。 |
P(計画) | 下肢筋力およびバランスを改善するため、理学療法士と連携してリハビリテーション(例:下肢筋力トレーニング、バランス練習)を行う。 歩行の安定性を高めるため、杖や歩行器などの補助具の使用を検討し、安全に移動できるよう支援する。 室内や通路に手すりや滑り止めを設置するなど、転倒予防のための環境整備を行う。 歩行練習においては、一定の歩幅と歩行リズムを意識させ、歩行パターンを安定させる訓練を行う。 歩行中に疲労が見られる場合には、適宜休憩を取るよう指導し、無理のないペースで日常生活動作が行えるよう支援する。 |
類③-活動耐性低下
コード:00298
- 定義
- 必要な、あるいは望ましい日常生活をやり遂げる持久力が不足している状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 活動耐性低下 |
S(主観的情報) | 「少し動いただけで疲れてしまい、息切れもする。」「家事や軽い運動をするのがしんどくなってきた。」 |
O(客観的情報) | 少しの動作(例:立ち上がりや歩行)で呼吸数が増加し、息切れを訴える。 脈拍数が軽い運動でも100回/分以上に上昇し、安静に戻るまで時間がかかっている。 顔色が蒼白で、動作後には軽度のふらつきが見られる。 体力評価で筋力低下と持久力の低下が確認され、歩行速度も遅くなっている。 |
A(評価) | 体力や筋力の低下により、軽度の活動でも疲労や息切れが生じる活動耐性の低下が見られる。日常生活の活動に支障を来しており、持続的なリハビリテーションや活動レベルの改善が必要とされる。 |
P(計画) | 現在の体力に応じた軽い運動(例:座位での下肢の挙上運動、深呼吸)から開始し、徐々に活動量を増やすよう指導する。 理学療法士と連携して、持久力と筋力を高めるリハビリプログラムを作成し、段階的に活動耐性を向上させる。 日中の安静時にも深呼吸やストレッチを取り入れ、循環機能と筋力をサポートする。 疲労や息切れが見られる場合には、適宜休憩を取るよう指導し、無理のないペースで日常生活を送れるよう支援する。 栄養士と相談し、体力向上に必要な栄養素を含んだバランスの取れた食事を摂取するよう助言する。 |
類③-活動耐性低下リスク状態
コード:00299
- 定義
- 必要な、あるいは望ましい日常生活をやり遂げる持久力が不足しやすい状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 活動耐性低下リスク状態 |
S(主観的情報) | 「最近、少し動いただけでも疲れやすく感じる。」「前よりも運動する機会が減ってきた。」 |
O(客観的情報) | 日常的な活動量が低下しており、座位で過ごす時間が増加している。 筋力テストで下肢の筋力低下が確認され、バランスを崩しやすい様子が見られる。 階段昇降や歩行時に息切れや疲労感を訴えることがある。 全般的な持久力が低下しており、1回の活動後に休憩が必要となる場面が増えている。 |
A(評価) | 活動量の低下と筋力の衰えにより、今後さらに活動耐性が低下するリスクが高い状態である。日常生活への支障を防ぐため、活動レベルを維持・向上させるための支援が必要と考えられる。 |
P(計画) | 無理のない範囲で日常生活に軽い運動(例:短い散歩やストレッチ)を取り入れ、活動量を増やすよう助言する。 定期的な下肢筋力トレーニング(例:座位での脚の挙上運動や軽いスクワット)を取り入れ、筋力の維持を図る。 理学療法士と連携して、段階的に体力と持久力を向上させるリハビリプログラムを作成する。 日中に適度な休息を取りつつも、可能な範囲で立ち上がりや歩行を促進し、筋力維持に努める。 栄養バランスの良い食事を摂取し、筋力や体力の回復をサポートするよう栄養士と相談する。 |
類③-倦怠感負担過剰
コード:00477
- 定義
- 圧倒的で長引く消耗感があり、通常の身体的・精神的な作業能力が低下した状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 倦怠感負担過剰 |
S(主観的情報) | 「常に体が重くて、何をするにもやる気が起きない。」「朝起きたときから疲れていて、日中もだるい。」 |
O(客観的情報) | 日中の活動量が低下しており、動作が鈍く、短時間の活動でも疲労を訴える。 顔色が優れず、表情に疲れが見られる。 睡眠が浅く、夜間に何度か目が覚めていることが確認されている。 食事量が少なく、栄養バランスが偏っている様子が見られる。 |
A(評価) | 睡眠の質の低下や栄養不足、活動量の減少により、慢性的な倦怠感が引き起こされている。日常生活に支障が出ているため、睡眠と栄養改善、活動量の調整が必要である。 |
P(計画) | 毎日の就寝・起床時間を一定にし、睡眠リズムを整えるよう助言する。また、睡眠の質を高めるため、寝る前のリラックス習慣(例:ストレッチや深呼吸)を取り入れるよう指導する。 栄養バランスの取れた食事を摂取するように栄養士と連携し、特にエネルギー補給に必要な栄養素(例:ビタミン、ミネラル、タンパク質)を意識して取り入れる。 体力を維持し、倦怠感を軽減するために、無理のない範囲で軽い運動(例:散歩やヨガ)を日常生活に取り入れるよう支援する。 リラクゼーション法や趣味など、気分転換できる活動を提案し、精神的なリフレッシュを図る。 定期的に倦怠感の程度を観察し、改善が見られない場合は医師に相談し、必要に応じて検査や治療を検討する。 |
類③-術後回復障害
コード:00465
- 定義
- 周術期の生理的または心理的変化によって、術前の機能的健康状態への到達や向上に必要な療養期間が長引いている状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 術後回復障害 |
S(主観的情報) | 「手術後の痛みがまだ続いていて、動きたくない感じがします。」「回復が遅いような気がして不安です。」 |
O(客観的情報) | 手術後の回復に影響を与える因子(例:感染症、炎症、貧血、栄養不良)が確認される。 創部の治癒が遅れており、発赤、腫脹、滲出液の増加が見られる場合がある。 バイタルサイン(例:体温、心拍数)に異常があり、炎症または感染が示唆される。 活動量が低下し、リハビリの進行が滞っている。 精神的ストレスや手術への恐怖感が回復を妨げている可能性がある。 |
A(評価) | 術後の回復が遅れており、身体的、心理的、または環境的な因子が影響している。この状態が続くと、合併症のリスクが増加し、回復の遅延がさらに進む可能性がある。 |
P(計画) | 術後の痛みを適切にコントロールするため、鎮痛薬の使用を医師と相談し、痛みの軽減を図る。 創部の状態をモニタリングし、感染や炎症の兆候があれば早期に対応する。 栄養状態を改善するため、高タンパク質やビタミン、ミネラルを豊富に含む食事を提案し、必要に応じて栄養補助食品を利用する。 適切なリハビリテーションプログラムを提供し、活動量を段階的に増やすことで身体機能の回復を促進する。 本人および家族に対し、術後回復における生活管理(例:適切な休息と活動のバランス)の重要性を説明する。 心理的なサポートを提供し、不安感を軽減するための対話やカウンセリングを実施する。 水分摂取を促進し、血液循環を改善して治癒をサポートする。 術後合併症(例:血栓症、肺炎)のリスクを軽減するため、深呼吸運動や足の運動を指導する。 経過を定期的に評価し、回復状況に応じてケア計画を調整する。 |
類③-術後回復障害リスク状態
コード:00464
- 定義
- 周術期の生理的または心理的変化によって、術前の機能的健康状態への到達や向上に必要な療養期間が長引きやすい状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 術後回復障害リスク状態 |
S(主観的情報) | 「手術の後、ちゃんと回復できるか不安です。」「以前、回復に時間がかかったことがあるので心配です。」 |
O(客観的情報) | 手術の種類や範囲が広く、回復に時間がかかる可能性が高い。 高齢、栄養不良、糖尿病、肥満、喫煙、免疫力低下などのリスク因子が確認される。 バイタルサインが不安定で、炎症や感染の兆候(例:発熱、心拍数増加)が認められる場合がある。 活動量の低下やリハビリテーションへの参加意欲が低い。 術後の心理的ストレスや不安感が回復を妨げる要因となっている可能性がある。 |
A(評価) | 身体的、心理的、環境的な要因により、術後の回復が遅れるリスクが高い状態。このままでは、合併症やQOLの低下を引き起こす可能性がある。 |
P(計画) | 術後の感染リスクを低減するため、創部ケアを徹底し、清潔を保つ方法を指導する。 栄養状態を改善するため、術後の必要栄養素(例:タンパク質、ビタミンC、亜鉛)を含む食事計画を立てる。必要に応じて栄養補助食品を活用する。 適切な鎮痛管理を行い、痛みを軽減して活動しやすい状態を作る。 深呼吸運動や足の運動を指導し、血栓症や肺炎などの術後合併症を予防する。 段階的にリハビリテーションを進め、術後早期の身体活動を促進する。 本人および家族に対して、術後回復の目標と見通しを共有し、不安の軽減を図る。 心理的サポートを提供し、ストレス軽減やリハビリ参加意欲を高めるためのカウンセリングを実施する。 定期的にバイタルサインや身体機能の回復状況を評価し、リスクの進行を早期に発見する。 必要に応じて、リスク因子に対処するために医療チーム(例:栄養士、理学療法士、心理士)と連携する。 術後の回復計画を継続的にモニタリングし、リスクが軽減されているか確認しながら調整を行う。 |
類④-心血管機能障害リスク状態
コード:00311
- 定義
- 物質の運搬、体内の恒常性、組織の代謝老廃物の除去、臓器機能に関わる正常なプロセスが変化しやすい状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 心血管機能障害リスク状態 |
S(主観的情報) | 「最近、階段を上がるとすぐに息切れがする。」「たまに胸が締め付けられるような感じがある。」 |
O(客観的情報) | バイタルサイン:血圧が140/90mmHgと高めで、安静時の脈拍が1分間に92回とやや頻脈。 肥満傾向(BMI 27)で、食事に高塩分や高脂肪の食品が含まれることが多い。 既往歴として高血圧と喫煙歴があり、心血管疾患のリスク因子が複数存在。 ストレスが多く、睡眠の質も低下していることが確認される。 |
A(評価) | 高血圧、頻脈、肥満、喫煙歴などのリスク因子が複数あり、心血管機能障害を発症するリスクが高い状態にある。将来的な心筋梗塞や狭心症などの予防が必要であり、生活習慣の改善が急務である。 |
P(計画) | 食事内容の改善(減塩、低脂肪、高食物繊維)について栄養士と連携し、バランスの取れた食事を指導する。 日常生活に軽い運動(例:ウォーキング)を取り入れ、体重管理と血圧の安定を図る。 ストレス管理のため、リラクゼーション法(深呼吸、瞑想、趣味など)を勧め、心身の安定を図る。 睡眠の質を向上させるため、就寝前のリラックス法や就寝・起床時間の一定化を指導する。 定期的にバイタルサイン(血圧、脈拍)をモニタリングし、異常が見られる場合には医師に報告し、必要に応じて血圧管理のための薬物療法を検討する。 |
類④-血圧バランス異常リスク状態
コード:00362
- 定義
- 動脈壁にかかる血流の圧力が、望ましいレベル以上、または以下に繰り返し変動しやすい状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 血圧バランス異常リスク状態 |
S(主観的情報) | 「最近、立ち上がるとふらつくことが増えた。」「疲れやすくて、めまいがすることがある。」 |
O(客観的情報) | 安静時の血圧は120/80mmHgだが、立ち上がり後に100/65mmHgまで低下するなど、姿勢変化による血圧の変動が確認される。 立位での脈拍が速くなる傾向(脈拍110回/分)もあり、血圧調節が不安定。 脱水傾向が見られ、1日あたりの水分摂取量が1リットル未満である。 既往歴として高血圧があり、血圧を安定させるためのセルフケアが不十分。 |
A(評価) | 立位での血圧低下と頻脈傾向があり、姿勢変化や水分不足による血圧不安定リスクが高い状態にある。脱水や体位変動による血圧変動のリスクを予防し、血圧の安定を図る必要がある。 |
P(計画) | 1日1.5〜2リットルの水分摂取を目標にこまめに水分を補給し、血圧安定を促進する。 体位変換を行う際にはゆっくりとした動作を心がけ、急な立ち上がりを避けるよう指導する。 必要に応じて、弾性ストッキングを使用し、下肢の血流を促進して起立性低血圧の予防を図る。 日常生活での血圧の変動やふらつきの頻度を記録し、状況に応じて医師と相談し、血圧管理のための適切な治療やセルフケア方法の見直しを行う。 バイタルサイン(特に血圧と脈拍)の変動を定期的にモニタリングし、異常が見られる場合は速やかに医師に報告する。 |
類④-心拍出量減少リスク状態
コード:00240
- 定義
- 心血管疾患や肺疾患や外傷のある人で、心臓から送り出される血液量が、代謝要求量に対して不十分になりやすい状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 心拍出量減少リスク状態 |
S(主観的情報) | 「最近、動くとすぐに息が切れる感じがする。」「立ち上がるとふらつくことが増えた。」 |
O(客観的情報) | バイタルサイン:血圧が100/65mmHgと低めで、脈拍が1分間に88回でやや頻脈傾向が見られる。 皮膚に冷感があり、末端の血色が少し悪い。 軽い動作で息切れを訴えるが、現在のところ明確なチアノーゼや胸痛は認められない。 既往歴に高血圧があり、心血管系疾患のリスク因子を有する。 |
A(評価) | 低血圧や頻脈が見られ、軽い運動でも息切れが生じることから、今後心拍出量が低下するリスクがある。循環器系への負担が増加する可能性があり、心拍出量減少の予防的な介入が必要である。 |
P(計画) | 安静時や軽い運動時のバイタルサイン(血圧、脈拍、SpO2)を定期的にモニタリングし、心拍出量の低下兆候を早期に発見する。 日常生活での負担を軽減するため、動作はゆっくり行い、無理な動作を避けるよう指導する。 体位変換や立ち上がり時には、ゆっくりと行い、めまいや立ちくらみがある場合には安静を保つよう助言する。 塩分や水分の適切な摂取を指導し、循環血液量の維持をサポートする。 必要に応じて心電図や心エコー検査の実施を医師に相談し、心機能の状態を確認しながら、早期の予防的介入を検討する。 |
類④-脳組織灌流不良リスク状態
コード:00201
- 定義
- 脳への血液循環が減少しやすい状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 脳組織灌流不良リスク状態 |
S(主観的情報) | 「最近、頭がぼーっとして集中できないことがある。」「たまにふらつく感じがする。」 |
O(客観的情報) | 血圧が140/95mmHgと高めで、既往歴に高血圧がある。 コレステロール値と血糖値が基準値を超えており、動脈硬化のリスクがある。 BMIが29で肥満傾向があり、血管への負担が増している。 軽度の喫煙習慣があり、現在も1日5本程度喫煙している。 |
A(評価) | 高血圧、脂質異常症、肥満、喫煙など複数のリスク因子により、脳組織への血流(灌流)が低下するリスクが高い状態にある。脳組織灌流が不十分になると、脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)などの発症リスクが高まる可能性がある。 |
P(計画) | 血圧やコレステロールを安定させるため、減塩・低脂肪の食事を栄養士と連携して指導する。また、適切な水分摂取を促し、血液の粘度を下げるよう支援する。 有酸素運動(ウォーキングや軽いジョギング)を日常生活に取り入れ、体重管理と血流改善を図るよう助言する。 禁煙の重要性を説明し、禁煙支援や禁煙外来の活用について勧め、脳血流への負担軽減を図る。 バイタルサインや血液検査結果(特に血圧、コレステロール、血糖値)を定期的にモニタリングし、異常が見られる場合には医師と連携して管理を強化する。 脳血流不足による症状(ふらつき、視界のぼやけなど)が発生した際は、速やかに安静を保ち、悪化が見られる場合は医師に報告する。 |
類④-末梢組織灌流不良
コード:00204
- 定義
- 四肢への血液循環が低下した状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 末梢組織灌流不良 |
S(主観的情報) | 「手足が冷たくて、しびれたり、だるい感じがする。」「少し歩くだけで足が重くなって疲れやすい。」 |
O(客観的情報) | 末梢(手足)に冷感と蒼白があり、足先に軽度のチアノーゼが見られる。 足の脈拍が弱く触知しにくい。 歩行後にふくらはぎの痛み(間欠性跛行)が見られる。 糖尿病の既往歴があり、血糖値とコレステロール値が高め。 |
A(評価) | 糖尿病および高コレステロール血症などの既往歴と血管内皮の健康状態の悪化により、末梢組織への血流(灌流)が低下している状態が見られる。末梢の循環が悪化することで、組織の酸素供給不足や末梢神経障害が進行するリスクが高い。 |
P(計画) | 足先を温めたり、弾性ストッキングを使用するなど、末梢の血流を改善する方法を指導する。 有酸素運動(ウォーキングなど)を取り入れ、無理のない範囲で定期的な運動を行うことで末梢の血流を促進するよう助言する。 血糖コントロールを強化するため、栄養士と連携し、バランスの取れた食事指導を行う。また、血糖値のセルフモニタリングの習慣を促す。 足の観察を定期的に行い、色や温度、傷や感染の有無を確認するよう指導する。特に糖尿病の既往があるため、早期のケアが必要な場合は医師に相談する。 痛みやしびれが悪化したり、歩行が困難になった場合には、速やかに受診し、血管専門医の評価を受けるよう助言する。 |
類④-末梢組織灌流不良リスク状態
コード:00228
- 定義
- 四肢への血液循環が低下しやすい状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 末梢組織灌流不良リスク状態 |
S(主観的情報) | 「最近、足先が冷たく感じることが増えた。」「少し歩いただけで足がだるくなることがある。」 |
O(客観的情報) | 血圧が140/90mmHgとやや高めで、血糖値とコレステロール値も基準値を上回っている。 BMIが28で肥満傾向があり、末梢血管への負担が増加している。 日常的な運動習慣がなく、長時間座ったまま過ごすことが多い。 足部に冷感があり、脈拍触知がやや弱いが、明確なチアノーゼや痛みは認められない。 |
A(評価) | 高血圧、高血糖、肥満、運動不足など複数のリスク因子が重なり、末梢組織灌流が低下するリスクが高い状態にある。今後、末梢の血流障害が進行する可能性があるため、早期の生活習慣改善が必要である。 |
P(計画) | 血流促進と血管への負担軽減のため、1日30分程度の有酸素運動(ウォーキングやストレッチなど)を生活に取り入れるよう指導する。 血圧、血糖、コレステロールの安定を図るため、栄養士と連携して減塩・低脂肪・低糖の食事内容を提案し、バランスの取れた食生活を促進する。 長時間の座位を避け、1〜2時間ごとに立ち上がって足を動かすなど、末梢循環を促す工夫を行うよう助言する。 足部を観察し、冷感、色の変化、しびれや痛みの出現がないか定期的にチェックするよう指導する。異常が見られる場合は早期に受診する。 血圧や血糖値を定期的にモニタリングし、異常が認められた場合には医師と相談し、必要に応じて治療計画を見直す。 |
類④-呼吸パターン不良
コード:00032
- 定義
- 吸気や呼気による適切な換気の維持が困難な状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 呼吸パターン不良 |
S(主観的情報) | 「息が浅くて、少し動くと息切れがする。」「胸が苦しくて、十分に息が吸えていない感じがする。」 |
O(客観的情報) | 呼吸数が1分間に24回と速く、浅い呼吸が見られる。 胸式呼吸が中心で、腹式呼吸ができていない様子。 SpO2(酸素飽和度)が92%と低めで、酸素供給が不足している可能性がある。 顔色に蒼白が見られ、軽度のチアノーゼが口唇に確認される。 |
A(評価) | 浅く速い呼吸により、十分なガス交換が行われていない非効果的な呼吸パターンが見られる。呼吸補助筋の使用により疲労も伴っているため、効果的な呼吸法を導入する必要がある。 |
P(計画) | 呼吸効率を高めるため、腹式呼吸やゆっくりとしたペースでの呼吸法を指導し、深い呼吸を促す。 呼吸を楽にするため、ファウラー位(45度~60度)での安静を保ち、胸郭の拡張をサポートする。 必要に応じて酸素投与を検討し、SpO2の改善を図る。 呼吸リズムが安定するよう、リラックス法(深呼吸や瞑想など)を取り入れ、焦りを軽減するよう支援する。 呼吸状態の変化(呼吸数、SpO2、チアノーゼの有無)を定期的に観察し、異常が見られた場合は医師に報告して対応する。 |
類④-自発換気障害
コード:00033
- 定義
- 生命維持に必要な自力呼吸の開始や維持ができない状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 自発換気障害 |
S(主観的情報) | 「息が苦しくて、しっかり呼吸できていない気がする。」「少し動くだけで息切れがする。」 |
O(客観的情報) | 呼吸数が1分間に28回と速く、努力呼吸が見られる。 SpO2が90%と低下しており、呼吸の効率が悪い。 呼吸補助筋(肩や首の筋肉)の使用が確認され、安静時でも息切れの様子がある。 胸部聴診にて、両側肺野における呼吸音が弱く、呼吸パターンが不規則。 |
A(評価) | 呼吸補助筋の使用と呼吸数の増加が見られ、自発換気の効率が低下している状態である。十分なガス交換が行われておらず、酸素供給が不十分であるため、呼吸機能をサポートする必要がある。 |
P(計画) | ファウラー位(45度~60度)で安静を保ち、呼吸がしやすくなる姿勢を取るよう指導する。 酸素投与を検討し、SpO2を95%以上に維持できるようサポートする。 腹式呼吸や口すぼめ呼吸(リップパース呼吸)を指導し、呼吸効率を高める方法を教える。 呼吸状態(呼吸数、SpO2、チアノーゼの有無)を頻回にモニタリングし、異常が見られた場合には速やかに医師に報告して対応する。 呼吸の改善が見られない場合、人工換気のサポートを含めた追加の治療を医師と検討する。 |
類④-小児人工換気離脱反応障害
コード:00431
- 定義
- 人工換気を24時間以上必要な18歳以下の子どもが、自発換気にうまく移行できない状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 小児人工換気離脱反応障害 |
S(主観的情報) | 「まだ呼吸が苦しくて、自分の力で息をするのが不安。」「呼吸器が外れると、また息切れするんじゃないかと思う。」 |
O(客観的情報) | 人工換気装置のサポート下でSpO2は95%を維持しているが、離脱を試みると呼吸数が1分間に30回まで上昇し、浅く速い呼吸パターンが見られる。 自発呼吸時に努力呼吸が観察され、呼吸補助筋の使用が見られる。 離脱試行中に血圧が上昇し、脈拍も増加傾向にある。 不安と疲労感が強く、離脱時に表情に緊張が見られ、呼吸困難感が訴えられる。 |
A(評価) | 人工換気装置離脱を試みると自発呼吸の負担が大きく、効果的な呼吸が維持できていないため、人工換気離脱が困難な状態である。不安や呼吸筋疲労が影響しており、段階的な離脱とサポートが必要である。 |
P(計画) | 段階的な人工換気の離脱プロトコル(例:短時間の離脱試行から開始し、徐々に離脱時間を延長)を実施し、呼吸筋の負担を軽減しながら進める。 離脱中はセミファウラー位を維持し、呼吸が楽になる体位を確保する。 腹式呼吸やリラックス法を指導し、患者が呼吸をコントロールできるよう支援する。 離脱試行時のバイタルサイン(呼吸数、血圧、SpO2、脈拍)を頻回にモニタリングし、異常が見られた場合には直ちに人工換気を再開する。 不安を軽減するため、段階的な進行状況を説明し、患者の理解と協力を得ながら、心理的なサポートも行う。 |
類④-成人人工換気離脱反応障害
コード:00430
- 定義
- 人工換気を24時間以上必要とした18歳を超える大人が、自発換気にうまく移行できない状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 成人人工換気離脱反応障害 |
S(主観的情報) | 「自分で呼吸するのが怖い。まだ呼吸がうまくできない気がする。」「呼吸器が外れると息苦しくなりそうで不安。」 |
O(客観的情報) | 人工換気装置のサポート下でSpO2は95%を維持しているが、離脱を試みるとSpO2が90%以下に低下し、呼吸数も1分間に30回以上に増加する。 離脱試行中に血圧と脈拍が上昇し、顔に緊張の表情が見られる。 呼吸補助筋(胸や肩の筋肉)の使用が確認され、自発呼吸時に努力呼吸が顕著。 過去数回の離脱試行が短時間で終了しており、離脱に対する不安が強く見られる。 |
A(評価) | 離脱試行中に呼吸困難感や不安が強く、効果的なガス交換が維持できず、成人の人工換気離脱困難反応が見られる。呼吸筋疲労や不安が影響しているため、段階的な離脱アプローチと不安軽減が必要である。 |
P(計画) | 段階的な人工換気離脱プロトコルを使用し、短時間の離脱試行から開始して、呼吸筋にかかる負担を徐々に減らしていく。 離脱試行中および直後はファウラー位またはセミファウラー位で安静を保ち、呼吸を楽にできる体位を確保する。 リラックス効果を高めるため、腹式呼吸法を指導し、呼吸のコントロールと自信をつけられるよう支援する。 離脱試行時にはSpO2、呼吸数、脈拍、血圧などのバイタルサインを頻回にモニタリングし、異常が見られる場合は直ちにサポートを再開する。 離脱への不安を軽減するため、段階的な計画を本人に説明し、進捗を確認しながら心理的サポートも併用する。 |
類⑤-セルフケア能力低下シンドローム
コード:00331
- 定義
- 複数の日常生活動作を自立して行う能力が衰えた状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | セルフケア能力低下シンドローム |
S(主観的情報) | 「身の回りのことがだんだんできなくなってきた」「お風呂や着替えをするのがつらい」「人に頼るのが申し訳ないけど、自分では難しい」 |
O(客観的情報) | 更衣・整容・食事・排泄・移動のすべてにおいて部分的〜全面的な介助を要している 筋力低下、関節可動域制限がみられ、起立・歩行に不安定さあり 認知機能は軽度低下(見当識の混乱や記憶のあいまいさが時折出現) 日中の活動量は少なく、臥床傾向が強い ADL全般に対する意欲の低下が見られ、「できない」という発言が繰り返される |
A(評価) | 身体的・認知的・心理的要因が複合的に関与し、セルフケア全般の遂行能力が著しく低下している状態 生活の質や自立度の維持に向けて、多面的な支援と継続的な介入が必要 |
P(計画) | ADLの各項目について、本人の可能な範囲を明確化し、残存機能を活かした介助方法を実践する 必要に応じて作業療法士・理学療法士と連携し、セルフケア能力の維持・回復を目指した訓練を行う 整容・更衣・食事・排泄・移動ごとに、段階的な目標を設定し、小さな達成感を積み重ねられるよう支援する ケアの際はできる部分は本人に任せ、依存傾向を防ぎながら自立を促す 介護者や家族に対しても、適切な介助方法や励ましの声かけを指導し、家庭内での継続的支援体制を整える |
類⑤-セルフケア能力低下シンドロームリスク状態
コード:00332
- 定義
- 複数の日常生活動作を自立して行う能力が衰えやすい状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | セルフケア能力低下シンドロームリスク状態 |
S(主観的情報) | 「最近、着替えや洗顔をするのが面倒に感じる」「少し動くだけで疲れてしまう」「今までできていたことが、だんだんおっくうになってきた」 |
O(客観的情報) | 更衣・整容・排泄・移動など日常生活動作の一部に時間を要するようになっている 筋力の低下とバランス能力の低下がみられ、立位・歩行に不安定さあり 食事摂取量の減少、活動量の低下、表情の乏しさなど、セルフケア意欲の減退傾向がある 軽度の認知機能低下がみられ、指示への理解や遂行に遅れがある 独居または支援者が少なく、環境的サポートが不十分 |
A(評価) | 身体的・認知的・環境的要因により、今後セルフケア能力が包括的に低下するリスクが高い 早期の支援介入により、セルフケア能力の維持・低下予防が可能と考えられる |
P(計画) | 現時点で自立しているADL項目を評価し、可能な限り維持・強化できるよう支援する 日常生活の中で簡単に実践できるセルフケア動作(洗顔、着脱、歩行など)を一緒に行い、自信を回復させる リハビリスタッフと連携し、筋力維持・ADL維持に向けた個別訓練を検討する セルフケア行動の重要性や本人に合った工夫を説明し、動機づけを図る 家族や支援者との連携体制を確認・整備し、必要に応じて在宅サービスの利用を検討する |
類⑤-セルフケア能力促進準備状態
コード:00442
- 定義
- 日常生活動作を自立して行う能力のパターンが強化可能な状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | セルフケア能力促進準備状態 |
S(主観的情報) | 「少しずつ自分でできることを増やしたいと思う。」「今まで介助が必要だったけど、自分でやってみたい気持ちがある。」 |
O(客観的情報) | 一部のセルフケア(例:更衣や軽い運動)に積極的に取り組む姿勢が見られる。 介助が必要な場面でも、自分で動こうとする努力が確認される。 日常生活での動作が安定し、体力も徐々に向上している。 意欲が高まりつつあり、自立に向けた支援やセルフケアの計画を求めている。 |
A(評価) | セルフケアへの意欲が高まっており、自立を促進する準備が整いつつある状態である。少しずつ自立度を高め、セルフケアの範囲を広げていくための支援が効果的である。 |
P(計画) | 本人が希望するセルフケアの目標を設定し、段階的に目標達成を支援する。 セルフケアをしやすくするため、握りやすい食器や着脱しやすい衣類などの補助具を導入し、自立を促進する。 日常的に自分で行えるセルフケア活動(例:洗顔や軽いストレッチ)を日課に組み込み、習慣化を支援する。 成功体験を積み重ねられるように小さな達成を一緒に喜び、モチベーションを維持する。 必要に応じて家族や介護者に指導を行い、本人のセルフケアをサポートするよう促す。 |
類⑤-入浴自立性低下
コード:00326
- 定義
- 自力で身体を清潔にする能力が衰えた状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 入浴自立性低下 |
S(主観的情報) | 「最近、お風呂に入るのが面倒に感じる。」「疲れやすくて、入浴がしんどい。」 |
O(客観的情報) | 入浴頻度が週に1~2回程度で、清潔保持が十分ではない。 入浴動作に対してためらいがあり、実施時には疲労感を訴えることが多い。 一部介助が必要であり、洗髪や足先の洗浄など、自力で行うには負担が大きい様子。 皮膚の乾燥や軽度のかゆみが見られ、清潔保持の不足による皮膚トラブルのリスクがある。 |
A(評価) | 疲労や体力低下により入浴のセルフケアが困難であり、清潔保持が十分に行えない入浴セルフケア不足の状態にある。衛生管理のため、入浴の負担軽減や部分浴の取り入れが必要である。 |
P(計画) | 体力や気力に合わせて負担の少ない部分浴(例:足浴や洗顔)を取り入れ、清潔保持を促進する。 入浴の負担を軽減するため、シャワーチェアや滑り止めマットを使用し、入浴中の疲労を軽減できるよう支援する。 入浴頻度が増やせるよう、介助が可能な家族や介護者に入浴サポートを依頼し、洗髪や背中など自力で届きにくい部分の清潔保持を補助する。 皮膚の乾燥やかゆみの予防として、保湿クリームの使用を勧め、入浴後のスキンケア方法について指導する。 入浴が負担である場合には、医師や看護師と相談し、体調に応じた清潔保持の方法やスケジュールを検討する。 |
類⑤-更衣自立性低下
コード:00327
- 定義
- 自力で衣服を着脱する能力が衰えた状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 更衣自立性低下 |
S(主観的情報) | 「着替えが面倒に感じることが多くなった。」「服を脱いだり着たりするのが大変で、疲れてしまう。」 |
O(客観的情報) | 更衣に時間がかかり、一部介助が必要な場面が見られる。 手指や腕の筋力低下により、ボタンを留めたり、衣類を引き上げたりする動作が困難。 上下の衣服が十分に整っておらず、清潔保持や体温調整が不十分な場合がある。 更衣の動作時に疲労感を訴え、途中で休憩が必要なことが多い。 |
A(評価) | 筋力低下や疲労により、更衣のセルフケアが十分に行えず、清潔保持や体温調整が難しい状態にある。自立した更衣が難しく、介助や更衣環境の調整が必要である。 |
P(計画) | 着脱が簡単な衣類(マジックテープやファスナー付きの服)を提案し、更衣の負担を軽減する。 更衣時には椅子に座って行うよう指導し、安定した姿勢で無理なく着替えができるようサポートする。 必要に応じて、家族や介護者に更衣のサポートを依頼し、特にボタンや靴下など細かな動作が必要な場面での支援を行う。 手指や腕の筋力維持を目的とした簡単な運動(例:グリップエクササイズ)を取り入れ、更衣動作の改善を図る。 清潔保持と体温調整を意識し、更衣の頻度を確保するための工夫やスケジュールを本人と共に決める。 |
類⑤-摂食自立性低下
コード:00328
- 定義
- 自力で食事をする能力が衰えた状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 摂食セルフケア不足 |
S(主観的情報) | 「食事をするのが疲れるし、面倒に感じることが多い。」「手が震えて、うまく食べ物を口に運べない。」 |
O(客観的情報) | 食事に時間がかかり、一部介助が必要で、食べ残しが増えている。 手指や腕の筋力低下、または振戦(ふるえ)が見られ、スプーンや箸の操作が不安定。 体重が減少傾向にあり、栄養状態が悪化しつつある。 食事中に疲労を訴え、途中で食事をやめることが多い。 |
A(評価) | 筋力低下や手の震えにより、摂食動作が困難で十分な栄養摂取ができていない摂食セルフケア不足の状態にある。栄養状態を維持するため、摂食の補助や食事環境の調整が必要である。 |
P(計画) | 握りやすい食器や、持ち手が太めのスプーン・フォークを使用することで、摂食のしやすさを改善する。 一口サイズにカットしたり、柔らかい食材を取り入れるなど、負担が少なく摂取しやすい食事形態を提供する。 食事中は安定した姿勢を保てるよう、座位のサポートやテーブルの高さを調整する。 食事が進まない場合や疲労が強い場合は、食事の合間に休憩を入れ、ゆっくりと時間をかけて食事ができるよう配慮する。 家族や介護者に食事補助を依頼し、必要に応じて一部介助や声かけを行いながら摂食を支援する。 |
類⑤-整容自立性低下
コード:00330
- 定義
- 自力で身だしなみを維持する能力が衰えた状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 整容自立性低下 |
S(主観的情報) | 「最近は髪をとかしたり顔を洗うのも面倒」「手がうまく動かないから、化粧もできない」「誰にも会わないから身なりなんてどうでもいい」 |
O(客観的情報) | 洗顔・整髪・歯磨き・髭剃りなどが自力で行えておらず、外見の清潔感が低下している 手指の巧緻運動に制限があり、整容動作が困難な様子がみられる 衣類が乱れていることが多く、本人からの整容に関する言及や希望は少ない 日中もパジャマ姿で過ごすことが多く、社会的な交流意欲が低下している 軽度の抑うつ傾向が認められる |
A(評価) | 身体的・心理的要因により整容行動が困難となっており、自尊心や社会的交流にも影響を及ぼしている 整容の低下は生活全体の意欲低下の表れでもあり、セルフケア能力の回復と精神的支援の両面からの介入が必要 |
P(計画) | 可能な範囲で自分で行える整容行動を明確にし、必要に応じて部分介助を行う 整容動作を補助する道具(握りやすいブラシ、電動歯ブラシなど)の使用を検討する 毎朝の整容を日課に組み入れ、声かけやタイミングの調整で実行を支援する 本人の好みや生活歴を尊重し、前向きに取り組めるような関わりを工夫する 必要に応じて、作業療法士・心理士と連携し、整容を含めた日常生活全般の再構築を図る |
類⑤-排泄自立性低下
コード:00329
- 定義
- 自力で排泄に伴う動作を行う能力が衰えた状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 排泄自立性低下 |
S(主観的情報) | 「トイレに行くのが面倒に感じることがある。」「動くのがつらくて、トイレまで間に合わないことがある。」 |
O(客観的情報) | 排泄の頻度が減少し、尿意や便意を我慢することが多い。 トイレまでの移動や衣服の着脱に時間がかかり、一部介助が必要な場面がある。 動作が緩慢で、トイレまで間に合わず失禁することがある。 長時間の排尿・排便の我慢により、軽度の膀胱不快感や便秘傾向が見られる。 |
A(評価) | 筋力低下や移動困難により排泄セルフケアが不足し、排泄動作に支障をきたしている。排泄の自立度が低下し、失禁や便秘などのリスクが高まっているため、適切なサポートが必要である。 |
P(計画) | 排泄のタイミングを定時化し、2〜3時間ごとにトイレに行くよう促すことで、排泄のリズムを整える。 移動の負担を軽減するため、トイレまでの動線に手すりを設置し、歩行器や杖などの補助具の使用を検討する。 トイレでの着脱が簡単になるよう、着脱しやすい衣類(ゴム製のズボンやマジックテープ付きの服)を使用する。 夜間や移動が困難な際にはポータブルトイレや尿器の使用も検討し、排泄が間に合わない場面を減らす。 家族や介護者に排泄動作の介助方法を指導し、必要な場合には声かけやサポートを行い、失禁や便秘の予防に努める。 |
類⑤-口腔衛生行動不良
コード:00375
- 定義
- 口腔の健康維持に必要な方法や習慣の継続が困難な状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 口腔衛生行動不良 |
S(主観的情報) | 「歯磨きが面倒で、つい忘れてしまう」「口の中がねばねばすることがある」「入れ歯が合わなくて、使うのをやめてしまった」 |
O(客観的情報) | 口腔内に歯垢の付着や舌苔が認められ、口臭もある 歯ブラシや入れ歯の清掃が不十分で、清掃頻度も不明確 口腔乾燥あり、唾液分泌の低下を示唆する所見あり 過去に虫歯や歯周病の治療歴があるが、定期的な歯科受診歴はなし 自立して歯磨きは可能だが、日常的に行う習慣が定着していない様子がみられる |
A(評価) | 口腔衛生に対する意識や習慣が不十分であり、口腔内環境の悪化や全身状態への影響が懸念される 適切なセルフケアと理解を促すことで、改善が見込める状態 |
P(計画) | 口腔衛生の重要性について説明し、毎食後の歯磨きや義歯清掃の習慣づけを支援する 使用中の口腔ケア用品(歯ブラシ、義歯洗浄剤など)を確認し、本人に合った道具の使用を提案する 口腔乾燥への対処法(保湿ジェル、こまめな水分摂取など)を指導する 定期的な歯科受診を勧め、必要に応じて歯科衛生士との連携を図る 口腔内の観察を継続し、炎症・疼痛・義歯不適合などの異常があれば早期に対応する |
類⑤-口腔衛生行動不良リスク状態
コード:00414
- 定義
- 口腔の健康維持に必要な方法や習慣の継続が困難になりやすい状態
看護記録(SOAP)の記載例
看護診断 (看護問題) | 口腔衛生行動不良リスク状態 |
S(主観的情報) | 「最近、歯磨きが面倒に感じる」「口の中が乾くことが増えた」「入れ歯の手入れをうっかり忘れてしまうことがある」 |
O(客観的情報) | 口腔内に軽度の歯垢付着がみられる 義歯使用中だが、清掃状況にばらつきあり 水分摂取量が少なく、口腔乾燥がみられる 日中の活動量が減少しており、セルフケア全般が不規則になっている 認知機能や手指の巧緻性は保たれているが、セルフケアへの意欲がやや低下傾向 |
A(評価) | 現時点では明確な口腔内トラブルはないが、生活習慣の乱れや意欲低下により、今後口腔衛生行動が不良となるリスクが高い 口腔内の健康を維持するためには、早期の生活習慣への働きかけと支援が必要 |
P(計画) | 毎食後の歯磨きや義歯清掃の習慣化を目的とした声かけと環境調整を行う 口腔ケアの必要性と全身の健康との関連についてわかりやすく説明する 口腔保湿剤やうがいなど、乾燥への対応策を取り入れる 簡単なチェックリストや口腔ケア記録表を活用し、セルフモニタリングを支援する 必要に応じて歯科衛生士との連携を図り、予防的な専門的支援を導入する |
NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)&看護計画の記載例まとめ

当サイトでは、今回ご紹介した領域の他にも、NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)&看護計画の記載例を多数まとめています。
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看護記録(SOAP)の記載例
看護計画の記載例
引用・参考文献
T. ヘザー・ハードマン 編,上鶴 重美 訳:NANDA-I看護診断 定義と分類 2020-2023.医学書院.