領域3 看護記録 NANDA-Iに基づく記載例

【NANDA-I看護診断】領域3「排泄と交換」の看護記録(SOAP)の記載例まとめ【コピペ可】

この記事では、NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)の記載例を公開しています。

今回は領域3「排泄と交換」です。

看護記録の書き方が分からない…と悩んでいる看護実習生、新人の方々はぜひ参考にしてみてください!

トコル
トコル

看護記録(SOAP)の書き方に関しては、コチラの記事(【完全保存版】看護記録「SOAP」の書き方と記載例まとめ【NANDA-Iの看護診断対応】)を参考にしてください!

【完全保存版】看護記録「SOAP」の書き方と記載例まとめ【NANDA-Iの看護診断対応】

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新人看護師
新人看護師

他の領域の記載例を知りたい!という人は、この記事最後にまとめているので見てみてね!

*ご紹介しているのはあくまでも記載例ですので、実際は担当する患者にあわせて修正してご使用ください。
*できるだけ多くの患者に適応できるよう、あえて抽象的な内容を含めている部分がございます。こちらもご活用いただく際はご注意ください。

あわせて読む
【NANDA-I看護診断】領域3「排泄と交換」の看護計画の記載例まとめ【コピペ可】

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NANDA-I領域3「排泄と交換」の一覧

NANDA-I領域3「排泄と交換」は、類①〜④に分けられます。

それぞれの診断名一覧は以下の通りです。

類① 排尿機能
・機能障害性尿失禁
・排尿障害
・混合性尿失禁
・腹圧性尿失禁
・切迫性尿失禁
・切迫性尿失禁リスク状態
・尿閉
・尿閉リスク状態

類② 消化管機能
・便秘
・便秘リスク状態
・知覚的便秘
・慢性機能性便秘
・慢性機能性便秘リスク状態
・排便抑制障害
・下痢
・消化管運動機能障害
・消化管運動機能障害リスク状態

類③ 外皮機能
本類には現在該当する看護診断なし

類④ 呼吸機能
・ガス交換障害

類①-機能障害性尿失禁

コード:00297

定義
泌尿器系の病変や問題との関連性がなく、意図しない尿もれが起こる状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
機能障害性尿失禁
S(主観的情報)「トイレに行きたいと感じても、間に合わないことがある。」「足が弱くなってきて、急いで移動するのが難しい。」
O(客観的情報)歩行が不安定で、移動に時間がかかる。
トイレまでの距離があり、間に合わず失禁する場面が観察される。
バイタルサインは安定しているが、下肢筋力の低下が見られる。
認知機能は保たれているが、反応速度の低下により、トイレの間に合わない場合がある。
A(評価)移動能力の低下や反応の遅れにより、尿意を感じてもトイレに間に合わず失禁する機能障害性尿失禁が見られる。環境調整や移動支援を通じて、失禁予防が必要である。
P(計画)トイレへの移動を安全かつ迅速に行えるよう、動線上の障害物を取り除き、手すりを設置するなど環境整備を行う。
一定の時間ごとにトイレに行く「定時排尿」を取り入れ、失禁のリスクを軽減する。
下肢筋力を強化するため、理学療法士と連携し、歩行訓練や筋力トレーニングを実施する。
ポータブルトイレや尿器の使用も検討し、トイレに間に合わない際の対応策を準備する。
失禁があった場合のケアを家族や本人に指導し、皮膚の清潔と健康維持に努める。

類①-排尿障害

コード:00016

定義
尿を排泄する機能の障害

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
排尿障害
S(主観的情報)「トイレに行ってもすっきり出ない感じがする。」「何度もトイレに行くけど、少しずつしか出なくてつらい。」
O(客観的情報)1回の排尿量が少なく、頻回にトイレに行く様子が見られる。
下腹部に膨満感があり、触診で膀胱の充満が確認される。
尿流が細く、排尿に時間がかかっている。
残尿量の測定で、50mL以上の残尿が認められる。
A(評価)排尿困難と残尿感が見られ、尿の流れが悪いことから、排尿障害が疑われる。膀胱や尿道の機能低下、もしくは前立腺肥大などの要因によって、尿が十分に排出されていない可能性がある。
P(計画)排尿時に下腹部を軽く押す「腹圧排尿法」を試みるよう指導し、排尿を補助する。
必要に応じて、医師と相談し、膀胱機能や尿道の状態を確認するための検査(超音波検査など)を依頼する。
残尿量が多い場合、カテーテルを用いた一時的な導尿を検討し、膀胱の過度な充満を防ぐ。
水分摂取のタイミングを調整し、夜間頻尿や過剰な膀胱充満を避ける。
膀胱訓練を行い、排尿リズムの改善を図る。また、尿路感染症予防のため、排尿後のケアや衛生管理についても指導する。

類①-混合性尿失禁

コード:00310

定義
意図しない尿もれが、強く切迫した尿意と一緒に、あるいはその後に続いて、そしてまた腹腔内圧を上昇させる活動で起こる状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
混合性尿失禁
S(主観的情報)「咳やくしゃみをすると尿が漏れることがあるけど、急に強い尿意が来て間に合わないこともある。」
O(客観的情報)咳やくしゃみなどの腹圧がかかった際に失禁する様子が見られる。
トイレまでの移動中に強い尿意を感じて、間に合わず失禁することがある。
尿意を感じた後すぐに排尿が必要となるが、移動に時間がかかる。
骨盤底筋群の筋力低下があり、腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁が同時に認められる。
A(評価)腹圧がかかった際の尿漏れと、急な尿意に伴う失禁が混在する混合性尿失禁が見られる。骨盤底筋の弱さと反応の遅れが要因となっており、複数のアプローチによる管理が必要である。
P(計画)骨盤底筋群を強化するため、ケーゲル体操を指導し、筋力を高めて尿失禁を軽減する。
切迫性尿失禁に対応するため、排尿間隔を徐々に延ばす「膀胱訓練」を行い、排尿コントロールを改善する。
腹圧をかけずに排尿できるよう、排尿時の姿勢や呼吸法について指導する。
失禁時の皮膚のケアを行い、皮膚トラブルを予防するための清潔保持方法を説明する。
状況に応じて尿吸収パッドや防水シーツを使用し、失禁がある場合でも快適に過ごせるよう支援する。

類①-腹圧性尿失禁

コード:00017

定義
意図しない尿もれが、腹腔内圧を上昇させる活動で起こる状態。尿意切迫感との関連性はない

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
腹圧性尿失禁
S(主観的情報)「咳やくしゃみをするときや、重い物を持ち上げたときに尿が漏れてしまうことがある。」
「運動をするときも尿漏れが気になって、思い切り動けない。」
O(客観的情報)咳やくしゃみなど、腹圧がかかる場面で尿漏れが観察される。
骨盤底筋群の筋力低下が確認されている。
日常生活において、立ち上がりや階段昇降などでも軽度の尿漏れが見られることがある。
A(評価)腹圧がかかる場面での尿漏れが繰り返し見られるため、腹圧性尿失禁が疑われる。骨盤底筋の筋力低下が主な原因と考えられ、筋力強化による対応が必要である。
P(計画)骨盤底筋群を鍛えるため、ケーゲル体操を指導し、日常的に取り組めるようサポートする。
排尿時以外に骨盤底筋を意識して締める練習を行い、反射的な尿漏れを予防する。
日常生活で腹圧がかかりにくい動作方法を指導し、重い物を持つ際や立ち上がる際には注意を促す。
必要に応じて尿吸収パッドの使用を提案し、尿漏れによる不安を軽減する。
骨盤底筋群の強化が困難な場合は、理学療法士と連携し、トレーニングを補助する方法を検討する。

類①-切迫性尿失禁

コード:00019

定義
意図しない尿もれが、強く切迫した尿意と一緒に、あるいはその後に続いて起こる状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
切迫性尿失禁
S(主観的情報)「急に強い尿意がきて、トイレに間に合わないことがある。」「トイレが近くにないと不安になる。」
O(客観的情報)強い尿意が出現した際に、トイレまで間に合わず失禁する様子が観察される。
1日の排尿回数が10回以上で、頻尿傾向がある。
尿検査では感染症やその他の異常は認められない。
下腹部の緊張が見られ、突然の尿意に対して抑制が難しい様子。
A(評価)膀胱の過敏反応による切迫性尿失禁が見られる。急な強い尿意によりトイレに間に合わないケースが多く、生活の質の低下につながっている。膀胱の過敏性を抑え、排尿コントロールを改善することが求められる。
P(計画)膀胱訓練を行い、排尿間隔を徐々に延ばすことで尿意をコントロールできるようにする。
カフェインやアルコールなど、膀胱を刺激する飲料の摂取を控えるよう指導する。
急な尿意を感じた際に深呼吸を行い、落ち着いて対応できるよう助言する。
骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操)を指導し、尿意の抑制に役立つよう筋力を強化する。
不安を軽減するため、尿吸収パッドや防水シーツの使用を提案し、外出時の安心感を高める。

類①-切迫性尿失禁リスク状態

コード:00022

定義
強く切迫した尿意を感じた直後に、意図しない排尿が起こりやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
切迫性尿失禁リスク状態
S(主観的情報)「最近、急にトイレに行きたくなることが多くなった気がする。」「トイレが近くにないと落ち着かない。」
O(客観的情報)1日の排尿回数が8〜10回とやや多く、特に水分摂取後に頻繁に尿意が生じている。
膀胱への刺激で尿意を我慢するのが難しい場面が増えているが、失禁はまだ確認されていない。
カフェイン飲料や刺激の強い食品を好む傾向があり、膀胱が過敏になるリスクがある。
下腹部に軽度の緊張が見られ、排尿が近づくと焦燥感が出ることがある。
A(評価)膀胱が刺激に対して過敏になり始めており、今後切迫性尿失禁が起こるリスクが高い状態である。膀胱の過敏性を抑え、尿意コントロールの改善が求められる。
P(計画)排尿間隔を意識し、トイレの回数を徐々に減らす膀胱訓練を行い、膀胱の過敏性を抑えるよう指導する。
カフェインやアルコールなど、膀胱を刺激する飲み物や食品の摂取を控えるよう助言する。
強い尿意を感じた際には深呼吸やリラックス法を試し、焦らずに対処できるよう支援する。
骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操)を取り入れ、尿意抑制のための筋力強化を図る。
尿意に対する不安がある場合、尿吸収パッドなどを使用し、安心して外出できるようサポートする。

類①-尿閉

コード:00023

定義
膀胱を完全に空にできない状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
尿閉
S(主観的情報)「尿意があるのにトイレで出ない感じがする。」「お腹が張って苦しいが、尿が出なくて困っている。」
O(客観的情報)下腹部の膨満感が見られ、触診で膀胱の充満が確認される。
尿意があるが、自力で排尿できていない。
超音波検査で膀胱内に残尿が確認されており、排尿困難のため、残尿量が多い。
バイタルサインは安定しているが、不安感が強い様子が観察される。
A(評価)膀胱内に尿が溜まっているにもかかわらず、排尿ができない尿閉が見られる。放置すると腎機能に影響を及ぼす可能性があり、早急な対応が求められる。
P(計画)医師と連携して導尿(カテーテル)を行い、膀胱内の尿を排出することで不快感と膀胱の過度な拡張を軽減する。
尿閉の原因(前立腺肥大、膀胱機能障害、薬剤の影響など)を特定するため、必要な検査(超音波検査、血液検査など)を依頼する。
水分摂取のタイミングを調整し、膀胱への負担を減らす。
排尿困難が続く場合は、定期的な導尿が必要かを検討し、患者と家族に導尿方法や感染予防のケアについて指導する。
不安の軽減のため、尿閉の原因と今後の対応について丁寧に説明し、安心感を提供する。

類①-尿閉リスク状態

コード:00322

定義
膀胱を完全に空にすることが困難になりやすい状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
尿閉リスク状態
S(主観的情報)「トイレに行っても尿が出にくい感じがすることが増えた。」「少しずつしか出なくて、すっきりしない。」
O(客観的情報)尿流が弱く、排尿に時間がかかる。
1回の排尿量が少なく、残尿感があると本人が訴えている。
前立腺肥大の既往があり、現在も経過観察中。
水分摂取量は十分であるが、下腹部に軽度の膨満感が確認される。
A(評価)前立腺肥大および尿流の弱さが見られ、今後尿閉が起こるリスクが高い状態にある。排尿がさらに困難になる可能性があり、早期の対応と予防が必要と考えられる。
P(計画)排尿をスムーズに行えるよう、排尿時にリラックスした姿勢を取ることや、腹圧をかけずに排尿を促すよう指導する。
排尿を促すために温かいタオルで下腹部を温める方法や、規則的なトイレ習慣を身につけるよう助言する。
前立腺肥大に伴う症状が悪化している場合は、医師と相談し、適切な治療(薬物療法など)を検討する。
残尿量や排尿の状態を定期的に観察し、異常があれば早期に医師へ報告する。
排尿が困難で尿意があるにもかかわらず排出できない場合には、緊急対応が必要であるため、その際の対応方法をあらかじめ説明する。

類②-便秘

コード:00011

定義
便の排出が低頻度または困難な状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
便秘
S(主観的情報)「ここ数日、便が出なくてお腹が張って苦しい。」「便意はあるけど、出にくい感じがする。」
O(客観的情報)腹部膨満が見られ、触診で硬さを感じる部分がある。
直腸診にて便が滞留していることが確認される。
1週間の排便回数が2回以下であり、硬い便が出ることが多い。
食事内容において、食物繊維の摂取量が少なく、水分摂取量も1日1リットル未満である。
A(評価)食物繊維や水分不足により、便が硬くなり排出が困難になっている便秘状態が見られる。長期間の便秘は腹痛や腸内環境への影響があるため、早期の排便促進と生活習慣の改善が必要である。
P(計画)食事に食物繊維を多く含む野菜や果物、全粒穀物などを取り入れるよう指導する。
1日1.5~2リットルの水分を目標に、こまめな水分補給を促す。
毎朝の排便習慣をつけるため、朝食後にトイレに行く時間を確保するよう助言する。
必要に応じて、腸の動きを促進する軽い運動(例:ウォーキング)を日常に取り入れるよう勧める。
症状が改善しない場合、医師と相談のうえ、便軟化剤や緩下剤の使用を検討する。

類②-便秘リスク状態

コード:00015

定義
便の排出が低頻度または困難になりやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
便秘リスク状態
S(主観的情報)「最近、便意があまり感じられなくなってきた。」「お腹が張ってきて、ちょっと苦しい感じがする。」
O(客観的情報)排便頻度が週に2回以下であり、便が硬くなる傾向が見られる。
食事に食物繊維が不足しており、毎日の水分摂取量が1リットル未満。
便意を感じる回数が少なく、排便の際に少し力むことが多い。
運動量が少なく、長時間座っていることが多い。
A(評価)食物繊維や水分不足、運動不足による便秘のリスクが高い状態にある。今後、便秘が悪化する可能性があり、便秘症状の予防と改善が必要である。
P(計画)食事に食物繊維が豊富な食材(例:野菜、果物、全粒穀物)を取り入れるよう指導する。
1.5〜2リットルの水分を目標に、日常的に水分補給を意識するよう促す。
毎日、少なくとも30分程度の軽い運動(例:ウォーキング)を取り入れるよう支援する。
排便の習慣を身につけるため、毎朝決まった時間にトイレに行くよう促す。
必要に応じて、便秘の予防として食物繊維補助食品や便軟化剤の使用を検討し、医師と連携して適切な対策をとる。

類②-知覚的便秘

コード:00012

定義
便の排出が低頻度または困難だという自己診断と、確実に毎日排便するための方法の乱用が組み合わさった状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
知覚的便秘
S(主観的情報)「毎日お通じがないと不安になる。」「便が少ししか出ない日が続くと、便秘になった気がして心配。」
O(客観的情報)1週間の排便回数は3〜4回で、医学的には基準内。
排便時に便は柔らかく、腹部膨満や不快感は見られないが、本人は排便量に満足していない。
水分摂取量は1日1.5リットル以上であり、食事内容にも食物繊維が適量含まれている。
腹部に痛みや膨満感はなく、正常な腸蠕動音が確認される。
A(評価)排便の頻度や量に対する本人の不安があり、必要以上に便秘と感じている知覚的便秘が疑われる。実際には医学的な便秘の状態ではないが、心理的な要因が関与している可能性がある。
P(計画)排便の頻度や量には個人差があり、必ずしも毎日排便が必要ではないことを説明し、安心感を提供する。
リラックスした排便習慣の確立を促し、必要以上に便秘と感じないようにサポートする。
食事や水分摂取が十分であるため、現在の生活習慣を維持するよう励ます。
不安が続く場合は、心理的サポートを検討し、ストレス管理やリラックス方法について助言する。
本人の排便状況について観察を続け、必要であれば医師や栄養士と連携して指導を継続する。

類②-慢性機能性便秘

コード:00235

定義
排便回数の減少または排便困難が、1年のうち少なくとも3ヶ月以上続く状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
慢性機能性便秘
S(主観的情報)「便が固くて出にくい感じが続いている。」「排便に時間がかかり、週に1~2回しかお通じがない。」
O(客観的情報)排便頻度が週に2回以下で、排便時に強くいきむ様子が観察される。
腹部に膨満感があり、触診で硬い便が滞留していることが確認される。
食事記録から、食物繊維と水分の摂取量が不足気味である。
長期間にわたり便秘が続いているが、過去の検査において器質的な腸の異常は認められていない。
A(評価)生活習慣や腸の機能低下が影響して、慢性的な機能性便秘が続いている状態である。長期にわたる便秘により、日常生活にも影響が出ているため、生活習慣の改善と排便の促進が必要である。
P(計画)食事に食物繊維(野菜、果物、全粒穀物など)を積極的に取り入れ、1日1.5〜2リットルの水分摂取を推奨する。
腸の動きを促進するために、毎日30分以上の軽い運動(ウォーキングなど)を取り入れるよう支援する。
毎朝同じ時間にトイレに行く習慣をつけ、排便リズムを整えるよう助言する。
必要に応じて医師と相談し、便軟化剤や緩下剤など、排便を促す薬剤の使用を検討する。
便秘に伴う腹部不快感やストレスがある場合、リラクゼーション法を取り入れ、不安軽減を図る。

類②-慢性機能性便秘リスク状態

コード:00236

定義
排便回数の減少または排便困難が、1年のうち少なくとも3ヶ月近く続きやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
慢性機能性便秘リスク状態
S(主観的情報)「最近、お通じが少なくなってきた気がする。」「便意はあるけど、出にくく感じることが多い。」
O(客観的情報)排便頻度が週に3回程度で減少傾向が見られる。
食事に含まれる食物繊維が少なく、水分摂取量も1日1リットル未満で不足している。
運動量が少なく、座りっぱなしの時間が長い生活を送っている。
腹部は軽度の膨満感があり、触診で硬い便が感じられることがあるが、現在は排便に特別な痛みや異常はない。
A(評価)生活習慣における食物繊維や水分不足、運動不足により、慢性機能性便秘のリスクが高まっている状態である。便秘が今後悪化し、腹部不快感や排便困難が進行する可能性がある。
P(計画)毎日の食事に食物繊維を多く含む野菜や果物、全粒穀物を取り入れるよう指導し、食生活の改善を促す。
1日1.5〜2リットルの水分摂取を目標に、こまめな水分補給を習慣づけるよう助言する。
日常に軽い運動(ウォーキングなど)を取り入れるよう勧め、腸の動きを促進する。
毎朝決まった時間にトイレに行くなど、規則的な排便習慣をつけるよう支援する。
便秘症状が見られる場合は早めに医師と相談し、便秘の予防と管理に役立つサポートを行う。

類②-排便抑制障害

コード:00319

定義
便を留めておくこと、直腸内の便を感知すること、排便に都合が悪い時には緊張を緩めて便を蓄えておくことができない状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
排便抑制障害
S(主観的情報)「便意を我慢できないことがあり、外出中にトイレを探すのが不安になる。」「急にお腹が痛くなって、すぐにトイレに行かないと間に合わないことがある。」
O(客観的情報)急な便意を訴える場面が頻繁に見られ、トイレに間に合わないことがある。
1日の排便回数が3回以上で、排便時の便は軟らかいことが多い。
腹部に軽度の緊張が見られ、便意を感じた際に焦燥感が伴う。
食事内容に特定の刺激物(例:カフェイン、辛い食べ物)が含まれていることが多い。
A(評価)便意が強く、抑制が困難であるため、排便抑制障害が疑われる。便意に対する不安感が日常生活に影響を及ぼしており、心理的なサポートや生活習慣の調整が必要と考えられる。
P(計画)刺激物(カフェインや辛い食べ物)の摂取を控え、食事内容を見直して腸への刺激を減らすよう指導する。
急な便意が起きた際に落ち着いて対処できるよう、深呼吸やリラックス法を取り入れる。
排便回数や便性を観察し、日常的な排便パターンの把握を支援する。
便意に対する不安感を軽減するため、外出時にトイレの場所を事前に確認するなどの準備を助言する。
症状が改善しない場合は、医師と相談して腸の過敏性や機能の評価を行い、必要に応じて薬物療法を検討する。

類②-下痢

コード:00013

定義
1回あたり3回以上の、軟便または液状便の排出

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
下痢
S(主観的情報)「お腹がゴロゴロして、何度もトイレに行きたくなる。」「便が水のようで、食後すぐに下痢になることが多い。」
O(客観的情報)1日の排便回数が5回以上で、水様便が見られる。
腹部に軽度の圧痛があり、腸蠕動音が亢進している。
食事内容に脂っこい食べ物や乳製品が多く含まれていることが確認される。
脱水症状の兆候は見られないが、口渇がやや認められる。
A(評価)頻回の水様便が見られ、急性下痢の症状が疑われる。腸内の刺激や食事内容が関与している可能性があり、脱水のリスクを避けるため、早急な対策が必要である。
P(計画)水分補給をこまめに行い、経口補水液などを活用して電解質バランスを保つよう指導する。
食事内容を見直し、脂っこい食べ物や乳製品など腸を刺激しやすいものを避けるよう助言する。
腸を休ませるために、消化の良い食事(例:お粥、スープ)を取り入れ、食事の量も調整する。
症状が続く場合や悪化した場合は、医師に相談して腸内感染症や過敏性腸症候群などの原因を調べ、必要に応じて薬物療法を検討する。

類②-消化管運動機能障害

コード:00196

定義
消化管の蠕動運動の亢進、減弱、無効、または欠如が起きている状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
消化管運動機能障害
S(主観的情報)「食後にお腹が張ったり、むかむかしたりすることが多い。」「便秘と下痢を繰り返していて、胃腸が落ち着かない感じがする。」
O(客観的情報)腹部に膨満感が見られ、触診で腸内ガスの滞留が確認される。
便秘と下痢を繰り返すパターンがあり、排便に不規則性が見られる。
腹部の聴診で腸蠕動音が不安定(強すぎたり弱すぎたり)していることが確認される。
食事内容やストレスが消化管の症状に影響している可能性があり、生活リズムが不規則。
A(評価)消化管の運動機能が不安定で、蠕動運動の過剰または低下によって便通や腹部症状に不調が見られる。食事やストレスなど生活習慣が影響し、症状が悪化している可能性があるため、消化管運動機能の安定化が必要である。
P(計画)食事を1日3回、少量ずつ規則的に取るよう指導し、消化管の負担を軽減する。
腸内環境を整えるため、食物繊維を適量摂取しつつ、発酵食品(ヨーグルト、納豆など)を取り入れるよう助言する。
ストレスの軽減を図るため、リラクゼーション法や適度な運動(ウォーキングなど)を取り入れるよう支援する。
消化管の蠕動を助ける薬剤やプロバイオティクスの使用について、症状が改善しない場合は医師と相談して検討する。
症状や排便パターンの変化を記録し、悪化が見られる場合は早めに受診するよう指導する。

類②-消化管運動機能障害リスク状態

コード:00197

定義
消化管の蠕動運動の亢進、減弱、無効、または欠如が起こりやすく、健康を損なう恐れがある状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
消化管運動機能障害リスク状態
S(主観的情報)「最近お腹が張ることが多く、食後に胃が重く感じることが増えた。」「便通が不規則で、たまに下痢や便秘になる。」
O(客観的情報)食事が不規則で、早食いや食事量が多い日がある。
運動不足が見られ、1日の活動量が少ない。
ストレスが多く、睡眠の質が低下していることが確認される。
腹部に軽度の膨満感があり、腸蠕動音がやや不規則。
A(評価)不規則な食習慣や運動不足、ストレスの影響で消化管運動機能が不安定になりやすい状態にある。今後、消化管運動機能障害が発症し、便通異常や腹部不快感が悪化するリスクが高い。
P(計画)毎日決まった時間に食事を取るよう指導し、消化に負担をかけない規則正しい食習慣を促す。
1日30分以上の軽い運動(ウォーキングやストレッチなど)を取り入れ、消化管運動を活性化するよう助言する。
食事中はゆっくりよく噛むことを勧め、早食いを避けるようにする。
ストレス軽減のため、リラクゼーション法や睡眠の質改善に努めるよう支援する。
腹部症状や便通の変化を記録し、悪化が見られる場合は早めに医療機関を受診するよう指導する。

類③-本類には現在該当する看護診断なし

類④-ガス交換障害

コード:00030

定義
酸素化と二酸化炭素排出の両方またはいずれかの一方が、過剰または不足した状態

看護記録(SOAP)の記載例

看護診断
(看護問題)
ガス交換障害
S(主観的情報)「呼吸が浅くて、少し動くだけでも息切れがする。」「胸が苦しい感じが続いている。」
O(客観的情報)SpO2が90%と低下しており、軽度のチアノーゼが口唇や指先に見られる。
呼吸数が1分間に24回と増加している。
聴診で両側肺底に湿性ラ音が確認される。
安静時でも呼吸困難の様子があり、顔色が蒼白。
A(評価)ガス交換が障害され、酸素飽和度の低下や息切れが見られる状態にある。肺胞と毛細血管での酸素と二酸化炭素の交換が不十分であり、酸素供給の不足により全身への影響が懸念される。
P(計画)酸素投与を実施し、SpO2を95%以上に維持することを目標とする。
呼吸が楽になるよう、セミファウラー位またはファウラー位で安静を保つ。
呼吸を楽にするため、腹式呼吸や呼吸リハビリの方法を指導する。
血液ガス分析や胸部X線検査を医師と相談して依頼し、ガス交換障害の原因を明確にする。
頻回にバイタルサインとSpO2のモニタリングを行い、呼吸状態の悪化に早期に対応できるようにする。

NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)&看護計画の記載例まとめ

当サイトでは、今回ご紹介した領域の他にも、NANDA-Iの看護診断に基づく看護記録(SOAP)&看護計画の記載例を多数まとめています。

ぜひ、日々の業務のご活用ください!

看護記録(SOAP)の記載例

領域1領域2領域3
領域4領域5領域6
領域7領域8領域9
領域10領域11領域12
領域13

看護計画の記載例

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領域4領域5領域6
領域7領域8領域9
領域10領域11領域12
領域13

引用・参考文献
T. ヘザー・ハードマン 編,上鶴 重美 訳:NANDA-I看護診断 定義と分類 2020-2023.医学書院.

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