看護計画 NANDA-Iに基づく記載例 領域5

【NANDA-I看護診断】領域5「知覚/認知」の看護計画の記載例まとめ【コピペ可】

この記事では、NANDA-Iの看護診断に基づく看護計画の記載例を公開しています。

今回は領域5「知覚/認知」です。

看護計画の書き方が分からない…と悩んでいる看護実習生、新人の方々はぜひ参考にしてみてください!

トコル
トコル

看護計画の作成ルールに関しては、コチラの記事(【完全保存版】看護計画の作成ルールと記載例まとめ【NANDA- I】)を参考にしてください!

【完全保存版】看護計画の作成ルールと記載例まとめ【NANDA- I】

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新人看護師
新人看護師

他の領域の記載例を知りたい!という人は、この記事最後にまとめているので見てみてね!

*ご紹介しているのはあくまでも記載例ですので、実際は担当する患者にあわせて修正してご使用ください。
*特に看護目標の部分はあえて抽象的な内容を含めています。参考の上、患者にあった具体的な目標に修正することをお勧めします。

【NANDA-I看護診断】領域5「知覚/認知」の看護記録(SOAP)の記載例まとめ【コピペ可】

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NANDA-I領域5「知覚/認知」の看護診断名一覧

NANDA-I領域5「知覚/認知」は、類①〜⑤に分けられます。

それぞれの診断名一覧は以下の通りです。

類① 注意
・半側無視

類② 見当識
本類には現在該当する看護診断なし

類③ 感覚/知覚
本類には現在該当する看護診断なし

類④ 認知
・急性混乱
・急性混乱リスク状態
・慢性混乱
・不安定性情動コントロール
・非効果的衝動コントロール
・知識不足
・知識獲得促進準備状態
・記憶障害
・思考過程混乱

類⑤ コミュニケーション
・コミュニケーション促進準備状態
・言語的コミュニケーション障害

類①-半側無視

コード:00123

定義
身体および付随する環境への感覚反応や運動反応、心的表象、空間性注意に障害のある状態。片側への不注意と反対側への過剰な注意を特徴とする。左半側無視のほうが右半側無視よりも重症で長期化する

看護計画の記載例

看護診断
(看護問題)
#1 半側無視
長期目標無視している側の空間を認識し、日常生活動作を自立して行えるようになる
短期目標介助を受けながら、無視している側の物体や空間に注意を向けられる
観察計画
(O-P)
無視している側の認識や注意の程度の確認
視覚・感覚の障害の有無と程度の把握
日常生活動作(更衣、食事、移動)における半側無視の影響の観察
無視している側の体のケア状況(清潔、痛み、怪我の有無)の確認
リハビリや訓練に対する反応や意欲の把握
無視している側に物を配置した際の反応を観察
患者の視覚的な集中力や注意力の変動を確認
無視している側への認知や注意の変化の記録
介助者がいない場合の安全性の確認(転倒リスクの有無)
無視している側を意識するようなリハビリ訓練の進捗状況
援助計画
(T-P)
無視している側に注意を向けるよう、声かけを行う
必要に応じて、無視している側への視覚刺激や触覚刺激を提供
無視している側に物を配置し、注意を引く訓練を実施
更衣や食事などの日常動作で、無視している側に配慮するよう指導
無視している側への視線誘導訓練(視線を左右に動かすリハビリ)
無視している側の身体を定期的に触れ、感覚刺激を与える
無視している側の手足を使う訓練や動作を促す介助
日常生活での行動(歩行、座位、立位)を無視している側に意識を向けて行う
定期的なリハビリテーションの実施(理学療法、作業療法)
転倒や怪我を防ぐための環境調整(無視している側に障害物を置かない)
教育計画
(E-P)
半側無視の病態とリハビリの重要性を説明
無視している側に注意を向けるための工夫(鏡や触覚刺激)の指導
家族に、無視している側から話しかけたり物を置いたりする方法を説明
無視している側を意識するためのセルフリハビリ方法を指導
無視している側に注意を促すための声かけや支援の方法を家族に説明
進行状況や改善の目安を共有し、焦らずに継続することの重要性を説明
転倒や怪我を防ぐため、無視している側の安全対策について説明
セルフケアや日常動作において無視している側に注意を向ける方法を指導
無視している側を認識しやすくするための視覚的・物理的工夫(色や音)を説明
日常生活の中での半側無視に対する家族の理解とサポートを促す

類②-本類には現在該当する看護診断なし

類③-本類には現在該当する看護診断なし

類④-急性混乱

コード:00128

定義
短期間に発症し、持続が3ヶ月未満の意識・注意・認知・知覚の可逆的障害

看護計画の記載例

看護診断
(看護問題)
#1 急性混乱
長期目標混乱のない安定した精神状態を取り戻し、日常生活に復帰する
短期目標混乱のエピソードが減少し、時間・場所・人物を正しく認識できる
観察計画
(O-P)
意識レベルと混乱の程度の観察
見当識(時間・場所・人物の認識)の確認
幻覚や妄想の有無の観察
夜間の覚醒や睡眠パターンの把握
突然の行動変化や異常行動の有無の確認
せん妄発作の頻度や持続時間の記録
薬物やアルコールの使用状況の確認
バイタルサインや水分・栄養状態の把握
言動に現れる不安や恐怖の有無の確認
急性混乱の原因となる環境的・身体的要因(痛み、感染症、薬剤など)の評価
援助計画
(T-P)
落ち着いた環境を提供し、過度な刺激を避ける
安全を確保するため、ベッド柵の使用や転倒防止措置を講じる
定期的にバイタルサインをチェックし、異常がないか確認
水分や栄養の補給を行い、脱水や栄養不良を防ぐ
混乱時に安心感を与えるため、患者に穏やかな声かけを行う
必要に応じて、夜間の睡眠を促す環境整備を行う(照明や静かな環境)
落ち着きを取り戻すための非薬物的アプローチ(音楽療法、リラクゼーション)を提供
見当識を改善するため、時計やカレンダーを患者の見える位置に設置
身の回りに慣れ親しんだ物を配置し、不安を軽減する
医師と協力し、原因となっている薬物や病態の調整を行う
教育計画
(E-P)
家族に急性混乱(せん妄)の原因や症状について説明
家族に対し、混乱時に穏やかに接するよう指導
見当識を保つためのサポート方法(名前を呼ぶ、時間を知らせるなど)を説明
十分な水分補給と栄養摂取の重要性を家族に説明
夜間の睡眠を促すために、過度な刺激を避ける環境づくりを指導
混乱時に慌てず、冷静に対応するための心構えを家族に伝える
せん妄の原因となる身体的・環境的要因を避ける方法を指導
定期的に医療スタッフに状態を報告するよう家族に促す
不安や幻覚が見られる場合の対処法を説明し、安心させる手法を指導
退院後もせん妄が再発する可能性があるため、早期に対応する方法を説明

類④-急性混乱リスク状態

コード:00173

定義
短期間に発症し、意識・注意・認知・知覚の可逆的障害が起こりやすく、健康を損なう恐れのある状態

看護計画の記載例

看護診断
(看護問題)
#1 急性混乱リスク状態
長期目標急性混乱を起こさず、安定した認識・行動状態を維持できる
短期目標せん妄のリスク因子を減らし、見当識を保つことができる
観察計画
(O-P)
見当識(時間・場所・人物)の確認
意識レベルや注意力の変化を観察
睡眠パターンや夜間の覚醒回数の確認
精神状態の変化(不安や混乱の兆候)の観察
薬物やアルコール使用の確認(せん妄のリスク要因)
バイタルサイン(特に発熱や低酸素)の観察
水分・栄養摂取量の把握(脱水や栄養不良のリスク)
痛みの有無やコントロール状況の確認
環境的ストレス要因(騒音、照明、過剰な刺激)の観察
既往歴としてのせん妄や認知機能障害の有無を確認
援助計画
(T-P)
見当識を維持するために、時計やカレンダーを患者の見える位置に配置
バイタルサインや水分・栄養状態を定期的に確認し、リスクを予防
適切な環境整備を行い、静かで落ち着いた空間を提供
睡眠を促進するため、昼間の活動を増やし、夜間の休息をサポート
せん妄のリスクが高い薬剤の使用を医師と相談し、必要に応じて調整
痛みがあれば、適切に評価し、鎮痛処置を行う
水分補給や栄養摂取を促進し、脱水や栄養不良を予防
知人や家族との面会を調整し、安心感を与える
日中にリハビリや軽い運動を促進し、身体的・精神的な活動をサポート
患者が不安や混乱を感じた場合、すぐに対応できる体制を整える
教育計画
(E-P)
家族に急性混乱(せん妄)のリスク要因と予防策を説明
家族に、患者の見当識を維持するための声かけや支援方法を指導
睡眠の重要性と、日中の活動量を増やす方法を説明
適切な水分補給と栄養摂取の重要性を説明
家族に、混乱の兆候を早期に認識し、すぐに報告するよう指導
せん妄のリスクが高まる薬剤について理解を促し、家族と共有
見当識を保つための環境整備(静かな場所、一定の照明)について説明
せん妄予防のために、適切な睡眠環境を整える方法を家族に指導
患者の精神的なサポートの方法(安心感を与える言葉かけなど)を説明
せん妄のリスクが高い時期に、特に注意が必要なことを家族と共有

類④-慢性混乱

コード:00129

定義
3ヶ月以上持続する、意識・注意・認知・知覚の不可逆性・進行性・潜行性の障害

看護計画の記載例

看護診断
(看護問題)
#1 慢性混乱
長期目標混乱が改善し、日常生活における見当識と判断力を維持できる
短期目標混乱の頻度が減少し、環境や人物、時間を部分的に認識できるようになる
観察計画
(O-P)
意識レベルと混乱の程度の観察
見当識(時間・場所・人物)の確認
記憶力や判断力の状態の観察
精神的な変動(不安、苛立ち、落ち込みなど)の確認
日常生活動作(ADL)の遂行状況の観察
睡眠パターンや夜間の覚醒頻度の把握
認知機能低下に伴う安全リスク(転倒、事故)の確認
慢性疾患や薬物治療の影響の評価
幻覚や妄想の有無の確認
混乱が生活に与える影響(コミュニケーション困難、社会的孤立)の把握
援助計画
(T-P)
患者の見当識を促進するために、定期的に時間・場所・人物を確認するよう声かけを行う
落ち着いた環境を提供し、過剰な刺激を避ける
安全な生活環境を整え、転倒や事故のリスクを低減(障害物の除去、照明の調整)
患者の認知機能に応じた段階的な日常生活支援を提供
生活リズムを整えるため、日中の活動を増やし、夜間の睡眠を促す
不安や混乱を和らげるために、安心感を与える言葉かけやタッチケアを行う
必要に応じて、認知リハビリテーションや作業療法を導入
定期的な水分・栄養補給を行い、身体的状態を安定させる
慢性的な混乱を軽減するために、治療薬の見直しや医師との連携を図る
家族や介護者とのコミュニケーションを図り、サポート体制を強化する
教育計画
(E-P)
家族に慢性混乱の原因と症状について説明し、理解を深めてもらう
見当識を保つための工夫(時間や日付、予定を共有する)の方法を説明
不安や混乱を感じた際の対処法(深呼吸や安心感を与える環境づくり)を指導
日常生活の中で、患者の認知機能をサポートする方法を家族に説明
家族に対し、混乱時の対応方法(冷静に接する、話をゆっくり進める)を指導
生活リズムを整えるための食事・運動・睡眠の重要性を家族に説明
患者の安全を守るために、住環境の整備(危険物の除去、適切な照明)の方法を指導
慢性混乱に伴う精神的負担を軽減するため、サポート体制の強化を促す
認知リハビリテーションの重要性と、継続的な取り組みの必要性を説明
早期に混乱の兆候を察知し、医療機関に相談する方法を家族に指導

類④-不安定性情動コントロール

コード:00251

定義
大げさで意図しない情動表出の爆発を抑えられない状態

看護計画の記載例

看護診断
(看護問題)
#1 不安定性情動コントロール
長期目標情動を安定的にコントロールでき、日常生活に支障が出ないようになる
短期目標感情の波が少なくなり、自分の情動に対して意識を持ち、コントロールできる
観察計画
(O-P)
情動の変動や感情の波の頻度を観察
急激な気分変動の引き金となる要因(ストレス、環境変化など)の確認
情動が日常生活に与える影響(人間関係、仕事や家事など)の観察
言動や表情、身体反応(緊張、手足の震えなど)の観察
ストレスレベルや不安感の観察
情動の変動に伴う行動(攻撃性、自己否定的な言動)の確認
薬物療法の効果と副作用の確認
睡眠パターンや睡眠の質の確認
感情表現の方法(言葉、行動)における問題点の把握
サポートが必要な場面やタイミングを記録
援助計画
(T-P)
感情を落ち着かせるためのリラクゼーション技術(深呼吸、瞑想など)の実施
急激な情動変動があった場合、落ち着くまでのサポートを行う
感情を整理するために、話を聞く時間を設け、安心感を提供
ストレスの原因となる環境的・心理的要因を軽減するための対応
必要に応じて、精神科医や心理士との連携を図り、専門的ケアを提供
日常的なストレス管理や感情のコントロール法(カウンセリングやセラピー)を導入
十分な睡眠を確保するため、睡眠環境を整え、睡眠衛生の改善を促進
身体的活動を増やし、運動による情動安定化の効果を促進
定期的に感情の変動パターンを記録し、原因と対策を明確化
家族や介護者に対し、感情の変動に伴う行動を理解し、サポートを依頼
教育計画
(E-P)
情動コントロールの重要性と、それが日常生活に与える影響を説明
感情の波が来たときの対処法(深呼吸、リラックス法など)を指導
ストレスマネジメントの方法(運動、趣味、リラクゼーション)を説明
家族に対し、感情変動時の対応方法(冷静に接し、話を聞く)を指導
生活リズムを整えるための睡眠や食事、運動の重要性を説明
自分の感情の波に気づき、それをコントロールするための技術を指導
精神的負担が強い場合、早めに相談することの重要性を説明
感情を表現する健全な方法(話し合いや自己表現の場)の提供を指導
患者自身が感情をコントロールできた際に、肯定的なフィードバックを行う方法を説明
長期的な情動コントロールのためのサポート体制(カウンセリング、サポートグループ)の利用を提案

類④-非効果的衝動コントロール

コード:00222

定義
自分や他者に悪影響をもたらす可能性を考慮せずに、内的あるいは外的刺激に対して、拙速で無計画な反応を示すパターン

看護計画の記載例

看護診断
(看護問題)
#1 非効果的衝動コントロール
長期目標衝動的な行動を抑え、適切な行動選択ができる
短期目標衝動的行動の頻度が減り、行動する前に一旦考えることができる
観察計画
(O-P)
衝動的な行動の頻度と具体的な内容を記録
衝動を引き起こす要因(ストレス、不安、フラストレーション)の観察
衝動行動が日常生活や人間関係に与える影響の確認
感情や気分の急激な変化の観察
衝動的な言動後の反応や後悔の有無を確認
物理的な危険を伴う行動の有無の確認
ストレスレベルや不安感の度合いの確認
適用されている薬物療法の効果と副作用の観察
衝動に対する患者の自己認識や意識レベルの確認
睡眠パターンや生活リズムの乱れの有無の確認
援助計画
(T-P)
衝動を抑えるために、感情が高ぶった際の深呼吸やリラクゼーションを実施
衝動的な行動を引き起こしそうな場面で、行動を一時停止する声かけを行う
患者の衝動行動を安全な環境で発散させるため、代替行動を提案(運動、創作活動など)
怒りやストレスが溜まっている場合、カウンセリングや心理的サポートを提供
ストレス管理や情動コントロールのためのカウンセリングやセラピーを導入
衝動的な状況が予測される場合、環境的な刺激を減らし、冷静になれる環境を整える
衝動的な行動を未然に防ぐため、事前に行動の選択肢を話し合う
身体的な運動や活動を増やし、情動やエネルギーを健全に発散させる
衝動的行動の後に、冷静に振り返りを行う時間を設ける
家族や介護者と連携し、衝動が強まった時に対応できるサポート体制を構築する
教育計画
(E-P)
衝動的な行動が自分や周囲に与える影響について説明
衝動をコントロールするための具体的な対処法(深呼吸、数を数えるなど)を指導
衝動的な行動を未然に防ぐためのストレス管理方法を説明
家族に対し、衝動的な行動が起こった場合の適切な対応法を指導
感情が高まった時に、自分の行動をコントロールするための方法を説明
衝動的行動の予兆を早期に察知し、自覚する方法を指導
日常生活の中で、衝動的行動を避けるための習慣作り(規則正しい生活、十分な休息)の指導
衝動的行動が予測される場面で、代替行動や回避方法を選択するよう指導
衝動をコントロールできた際に、自信を持ち、肯定的に評価することの重要性を説明
長期的な情動安定のために、カウンセリングやサポートグループの利用を勧める

類④-知識不足

コード:00126

定義
特定のテーマに関する認知情報がない、あるいは獲得していない状態

看護計画の記載例

看護診断
(看護問題)
#1 知識不足
長期目標健康状態や治療、セルフケアに関する必要な知識を身につけ、適切な行動ができる
短期目標自分の健康状態や治療内容について理解し、必要な質問ができる
観察計画
(O-P)
患者が現在抱えている健康問題に関する理解度を確認
治療や処置に対する患者の理解度の把握
セルフケアに対する知識不足による生活への影響(食事、運動、薬の服用状況など)の観察
患者の質問内容や質問頻度を記録
指示に従ったセルフケアの実施状況を確認
家族やサポートの有無およびその理解度を観察
患者が抱いている不安や疑問の内容の把握
患者の知識不足が原因で起こりうるリスク行動の有無(誤った薬の使用、適切でない食事など)の確認
患者が理解していないと判断される具体的な内容の特定
指導内容の理解度や、患者のフィードバックの確認
援助計画
(T-P)
患者の理解度に応じた個別の説明を行う(言葉を簡単にする、図やパンフレットを使用)
必要に応じて、繰り返し説明を行い、疑問が残らないようにする
説明を行う際は、時間をかけ、患者が理解できているか確認する
知識不足が原因で起こる可能性があるリスク行動を未然に防ぐための指導を実施
治療の目的や手順、期待される効果、副作用について具体的に説明する
患者が実際に行う必要があるセルフケア(投薬、運動、食事管理など)についての手順を示す
家族への説明を行い、家庭でのサポート体制を整える
必要に応じて、患者の理解度を評価し、わかりやすい教材やビデオなどを活用する
指導後の確認テストや口頭でのフィードバックを行い、理解度を再確認する
継続的に指導を行い、患者が自信を持ってセルフケアを実施できるよう支援する
教育計画
(E-P)
患者に対して、自身の健康状態や治療内容について分かりやすく説明する
セルフケア(薬の服用、食事、運動)の具体的な方法について指導
治療計画の目的と期待される効果、副作用を説明し、患者の理解を深める
生活習慣病や慢性疾患に関する知識を提供し、予防策を指導
繰り返し説明することで、患者が理解を深めるように配慮
患者が質問しやすい環境を整え、疑問があればすぐに質問するように促す
家族にも同様の説明を行い、日常生活でのサポートを依頼
視覚教材やパンフレットを用いて、患者の理解を促進
患者のライフスタイルや信念に合ったアプローチを取り入れ、納得感を持ってもらう
患者が健康やセルフケアに対して自信を持ち、積極的に取り組む姿勢を育成するための指導を行う

類④-知識獲得促進準備状態

コード:00161

定義
特定のテーマに関する認知情報のパターン、あるいはその獲得パターンが、さらに強化可能な状態

看護計画の記載例

看護診断
(看護問題)
#1 知識獲得促進準備状態
長期目標自分の健康状態や治療に関する知識を積極的に学び、セルフケアを実施できる
短期目標健康状態や治療内容について学び、具体的な質問や相談ができる
観察計画
(O-P)
健康状態や治療に対する患者の関心や学ぶ意欲の確認
患者が現在持っている健康や治療に関する知識の把握
患者が質問する内容や頻度を記録し、学びたい領域を特定
学習後のフィードバックを通じて、患者の理解度を確認
家族や支援者とのコミュニケーション状況の把握
学んだ知識をセルフケアに反映しているかの観察
患者が理解しやすい教材や学習ツールの評価
知識獲得が日常生活やセルフケアに与える影響の観察
情報提供に対する患者の反応や理解度の確認
知識不足がある分野や、特に強化が必要な分野の確認
援助計画
(T-P)
患者の興味や関心に基づいた適切な情報を提供
患者が理解しやすい形式での説明(図解、パンフレット、動画)を活用
質問しやすい雰囲気を作り、疑問があればすぐに解決するサポート
学んだ知識を実生活で活用するための具体的な手順を指導
患者のペースに合わせ、段階的に学習内容を提供
患者が自ら知識を探求できるように、信頼性のある情報源を紹介
学んだ内容を実際に行動に移せるよう、簡単な実践を促す
家族にも患者の学びを支援するためのアプローチを説明
学習した知識が適切に反映されているか、継続的に観察とフォローアップを行う
患者の学習状況に応じて、追加の情報や資料を提供
教育計画
(E-P)
患者に対し、健康状態や治療に関する基本的な知識を提供
セルフケアに必要な具体的な知識とその重要性を説明
質問することの重要性を強調し、疑問があれば積極的に聞くように指導
患者が自分で情報を得るための信頼できる情報源(ウェブサイト、資料)を紹介
学んだ知識を日常生活にどう取り入れるかを具体的に指導
患者の学びを支援するために、家族にも情報提供を行う
定期的なフォローアップで、学習内容を確認し、不足があれば補足指導
視覚教材や説明動画を用いて、理解しやすい教育を提供
健康に関する情報を整理し、自分の状況に合ったセルフケアができるよう支援
患者が知識を活用し、健康管理や治療に積極的に取り組む姿勢を育成する指導を行う

類④-記憶障害

コード:00131

定義
日常生活動作(ADL)の自立を維持しながらも、ちょっとした情報やスキルが、永続的に覚えられないか、思い出せない状態

看護計画の記載例

看護診断
(看護問題)
#1 記憶障害
長期目標日常生活に必要な情報を適切に覚え、安定した生活を送れるようになる
短期目標重要な情報や出来事を忘れにくくし、日常生活に支障がないようになる
観察計画
(O-P)
短期記憶・長期記憶の状態を定期的に評価
記憶障害が日常生活やセルフケアに与える影響を観察
忘れている内容や頻度を記録
記憶力低下の原因となる薬物や疾患の確認
記憶障害による不安やストレスの有無を観察
日常の行動や会話の中での記憶の抜け落ちを確認
記憶を補完するためのメモやアラームの使用状況を確認
家族や周囲とのコミュニケーション状況の観察
記憶力改善に向けたリハビリテーションの効果を評価
記憶障害が進行していないか、定期的に検査データを確認
援助計画
(T-P)
日常的にメモやアラームを使って、重要事項を補完するサポートを行う
環境を整理し、記憶に頼らず行動できるようにサポート
規則正しい生活リズムを整え、記憶力の維持を促す
記憶力を強化するリハビリテーション(記憶ゲームや認知トレーニング)の導入
日常生活のルーチン化を図り、記憶に頼らず行動できる環境作り
忘れやすい情報は、視覚的なヒントやアシストを活用
家族や介護者に対し、記憶補助具(メモ、カレンダー、スマートフォン)の使用を支援
患者が不安にならないよう、穏やかな声かけや安心感を与える対応を行う
定期的な会話や交流を通して、記憶力維持のための刺激を提供
進行性の記憶障害がある場合、医師と連携し、薬物治療やリハビリテーションの調整を行う
教育計画
(E-P)
記憶障害について理解し、適切な対応方法を説明
日常生活で使える記憶補助ツール(メモ帳、スマートフォンアプリなど)の使用方法を指導
生活リズムを整えることで記憶力をサポートできることを説明
家族に対して、記憶障害に対する適切な接し方やサポート方法を説明
ストレスが記憶力に悪影響を与えることを説明し、リラクゼーション法を指導
忘れた場合でも焦らず、周囲に助けを求めるように説明
定期的な脳のトレーニング(読書、パズル、ゲームなど)の重要性を説明
食事や運動が記憶力維持に役立つことを指導
記憶の欠落を補うための実用的なヒント(視覚的な手がかり、色分けなど)を説明
記憶障害が進行した場合に備えて、早期に医療機関に相談する重要性を説明

類④-思考過程混乱

コード:00279

定義
認知機能が崩壊し、概念やカテゴリーの発展・推論・問題解決に関わる精神機能に影響を及ぼしている状態

看護計画の記載例

看護診断
(看護問題)
#1 思考過程混乱
長期目標思考過程が整理され、日常生活において論理的かつ適切な判断ができる
短期目標思考の混乱が減少し、自分の考えを整理して表現できる
観察計画
(O-P)
思考過程の混乱の程度や頻度を観察
会話や行動における思考の一貫性や論理性を確認
記憶力や集中力の状態を観察
患者が状況を理解できているか、思考の認識力を評価
ストレスや不安、緊張が思考過程に与える影響の観察
不適切な判断や誤解による行動の有無を確認
混乱が起こるトリガー(環境要因、身体的疲労、薬物の影響など)の確認
日常生活やセルフケアにおける思考混乱の影響を記録
重要な決定を行う際の判断力や決定過程を観察
認知機能検査の結果や思考混乱の進行状況を定期的に確認
援助計画
(T-P)
思考が整理しやすいよう、ゆっくりと落ち着いて話しかける
複雑な指示や情報は、簡単なステップに分けて説明する
日常生活で使うチェックリストやメモを活用し、思考の混乱を減らすサポート
思考が混乱した場合、話を整理し直す時間を設ける
落ち着いた環境で、過剰な刺激を避け、思考を整理しやすくする
問題解決が必要な場面で、段階的なサポートを提供し、自信を持たせる
決断を下す際に、患者が冷静に考えられるように支援する
必要に応じて、認知リハビリテーションを導入し、思考過程を改善する
介助者や家族に、ゆっくりと丁寧に説明し、思考のサポートを依頼
患者が思考の混乱を感じた際、焦らずリラックスできるようにリラクゼーション技術を提案
教育計画
(E-P)
思考過程の混乱が起きやすい状況やその対処法を説明
ストレスや不安が思考に与える影響を説明し、緩和法を指導
家族に対して、思考の混乱時の適切な接し方を説明し、サポート方法を共有
思考を整理するための手段(メモ、チェックリスト、段階的な手順)の使用を指導
複雑な情報を理解しやすくするための工夫(図示、例示)の重要性を説明
日常生活の中で思考を整理しやすくするルーチン化の提案
思考が整理できない場合に、自分で気づき、対処する方法を教える
リラクゼーション法(深呼吸、瞑想など)を活用し、落ち着いて思考を整理する方法を指導
定期的に家族と患者の状況を共有し、サポート体制を強化
思考過程の進行状態や改善状況を定期的に評価し、必要な対策を適宜導入

類⑤-コミュニケーション促進準備状態

コード:00157

定義
情報や考えを他者と交換するパターンが、さらに強化可能な状態

看護計画の記載例

看護診断
(看護問題)
#1 コミュニケーション促進準備状態
長期目標自分の意見や感情を適切に表現し、効果的なコミュニケーションが取れる
短期目標基本的な意思疎通ができ、自分の思いを他者に伝えることができる
観察計画
(O-P)
患者のコミュニケーション意欲の確認
現在の言語能力や非言語コミュニケーションの把握
患者が他者との会話にどの程度参加できているかを観察
表情や身振り、目線などの非言語的サインの観察
患者が発する言葉や表現の一貫性や明確さを確認
認知機能や理解力の状態を観察
コミュニケーションに対する障害(聴力、発音、認知障害など)の有無を確認
日常生活でコミュニケーションが不足している場面や状況の特定
他者の話を理解し、適切に反応できているかの確認
家族や支援者とのコミュニケーション状況の把握
援助計画
(T-P)
コミュニケーションを円滑に行えるよう、穏やかな声かけや積極的な傾聴を行う
患者のペースに合わせたゆっくりとした会話を心がける
図やカード、ジェスチャーなどを用いて、非言語的な表現を補完する
言葉を使った自己表現が難しい場合、書く、指差すなど代替手段を提供
自信を持って話せるよう、小さな成功体験を積み重ねるサポートを行う
家族や介護者に対し、適切な声かけや、コミュニケーションの仕方を指導
意見を求めたり、選択肢を与えることで、患者の積極的な発言を促す
話し合いや対話を通じて、患者が安心して意見を表現できる環境を提供
コミュニケーションの進展に合わせて、段階的に課題を与え、自信を育てる
理学療法士や言語聴覚士と連携し、コミュニケーションスキルを向上させるリハビリを導入
教育計画
(E-P)
患者に対して、コミュニケーションの重要性とその意義を説明
自分の意見を表現することの大切さを伝え、日常会話で積極的に使うよう指導
コミュニケーションをサポートするためのツール(コミュニケーションカードやアプリ)の使用方法を説明
家族や介護者に、患者との適切なコミュニケーション方法を指導
困難な状況でのコミュニケーションの工夫や対処法を患者に説明
患者が不安なく話せるよう、リラックスする方法(深呼吸や間を置くなど)を指導
質問や意見を伝える際、簡潔で明確にする方法を教える
患者が誤解を恐れずに発言できるよう、肯定的なフィードバックを提供する方法を指導
日常生活の中で、意見交換を通じてコミュニケーションを促進する方法を提案
家族との定期的な対話やフィードバックを通じ、コミュニケーションの進展を確認し、支援を継続

類⑤-言語的コミュニケーション障害

コード:00051

定義
象徴(シンボル・記号)システムを受け取る・処理する・伝える・用いる能力のいずれかあるいはすべてが、低下・遅延・消失した状態

看護計画の記載例

看護診断
(看護問題)
#1 言語的コミュニケーション障害
長期目標自分の意思や感情を言語で適切に表現できる
短期目標基本的な言語でのコミュニケーションができ、自分の思いを簡潔に伝えられる
観察計画
(O-P)
言語表現の能力(発音、語彙、文法)の観察
会話における患者の反応や理解度の確認
言葉を使った意思疎通がどの程度できるかを観察
患者の言語的な混乱や言い間違いの頻度の確認
会話中に非言語的手段(ジェスチャー、表情など)をどの程度使用しているかの確認
言語的コミュニケーションが困難になるトリガー(疲労、ストレス)の把握
コミュニケーション障害が日常生活に与えている影響を確認
理解力に関する問題(言葉の意味の取り違え、指示の不理解)の観察
言語的な誤解が発生した際の患者の対応方法の確認
言語障害の進行や改善の状況を定期的に評価
援助計画
(T-P)
ゆっくりとしたペースで話し、理解を確認しながら会話を進める
必要に応じて、ジェスチャーや絵カードを使用し、言語を補完する
言葉を使った自己表現が難しい場合、書字や指差しなどの代替手段を提供
患者が自信を持って話せるよう、褒めや励ましの言葉を積極的に使用する
患者が発する言葉を繰り返し確認し、誤解がないように対応する
家族や介護者に対し、適切な声かけや、ゆっくりとしたコミュニケーション方法を指導
理学療法士や言語聴覚士と連携し、発話能力を向上させるリハビリを導入
日常会話で頻繁に使用する言葉やフレーズを繰り返し練習させる
会話が混乱しないよう、単純で具体的な表現を使用して会話を行う
会話がうまくいかない場合も焦らず、状況に応じた対応を継続
教育計画
(E-P)
患者に言語的コミュニケーション障害について説明し、原因と対応策を伝える
言語表現の重要性を説明し、適切な発音や言葉の選び方を指導
言語的な障害を補うための代替手段(ジェスチャー、絵カードなど)の使用方法を説明
家族や介護者に、患者の言語的困難を理解し、適切にサポートする方法を指導
患者に自信を持ってコミュニケーションできるよう、練習の場を提供することを促す
言葉の練習や会話の機会を増やし、スムーズなコミュニケーションを促進
言葉が出にくい場合でも、無理せずゆっくり話すように指導
コミュニケーションの際に焦らず、相手の理解を確認しながら進める方法を説明
定期的なリハビリテーションの重要性を家族と患者に説明し、継続的な参加を促す
患者が言語的に苦手な部分を把握し、それに応じたサポートを行うため、日々のフィードバックを共有

NANDA-Iの看護診断に基づく看護計画記載例のまとめ

当サイトでは、今回ご紹介した領域の他にも、NANDA-Iの看護診断に基づく看護計画の記載例を多数まとめています。

ぜひ、日々の業務のご活用ください!

領域1領域2領域3
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領域10領域11領域12
領域13

引用・参考文献
T. ヘザー・ハードマン 編,上鶴 重美 訳:NANDA-I看護診断 定義と分類 2020-2023.医学書院.

-看護計画, NANDA-Iに基づく記載例, 領域5